主題歌Music

小田 和正 『風を待って』 (ソニー・ミュージックレーベルズ)

上川隆也コメント

小田和正さんの歌声からは、いつも風が吹いてくる。
語りかける詩に寄り添いながら、時に激しく、時に悲しく。
その色や風向きを様々に変えながら、聴く者の心に吹き寄せる。

これまで『遺留捜査』に寄せて下さった2篇の歌声からは、慰撫の風がそよいでいた。
やはりそれぞれに色も風向きも違う風は、何処かで誰かを癒やして吹き抜けていった。

そしてこの冬、新しい風が吹き寄せる。
今までより少し力強く、けれどやっぱり慰める様に、柔らかく。
暖かく。

凍えそうな木曜日の夜は、この風を待ってみて下さい。

三輪祐見子(テレビ朝日プロデューサー)コメント

この曲を初めて聞かせていただいたのは、昨年の6月のことでした。
緊急事態宣言が4月に発令され、我慢我慢の自粛生活も2か月を過ぎ、不安もピークな状態でした。誰もが経験したことのない事態で、出口のないトンネルに迷い込んだ状態。正解のわからない情報に翻弄され、果たしてこれはいつまで続くのか、そして果たして終わる日が来るのか、心から不安でした。
そんな時、この『風を待って』を聞かせていただきました。小田さんが「きっと大丈夫。思うようにはいかなくても」と歌ってくれた瞬間、自然に涙が溢れてきました。
ものすごく不安で、でも毎日は過ぎていく中、「きっと大丈夫」と言ってくれて…心の緊張がほどけて、とても楽になったのを覚えています。

遺留捜査は今年でシリーズ10周年を迎えます。シリーズ最初の撮影をしている最中、東日本大震災が起こりました。あれから10年。また新たな試練を経験している最中ですが、遺留捜査のドラマのテーマは変わりません。突然亡くなってしまったり、志半ばで亡くなってしまった方々。そんな方々の思いを遺留品から読み解いて、残された人へお伝えする糸村刑事の優しさは不変です。
小田和正さんには、これまでも『小さな風景』『やさしい風が吹いたら』と遺留捜査には欠かせない主題歌をお願いしてきました。シリーズ10周年の今年も、主題歌のお願いを快諾していただき、心から感謝しております。ドラマを通じて、そして小田さんの『風を待って』をラストに聞いていただき、張り詰めた毎日の緊張を解きほぐし、優しい時間が皆さまにも届きますように。そんな思いを込めて、今年の『遺留捜査』をお届けします。