10月21日

司会  :

吉澤一彦アナウンサー
武内絵美アナウンサー


  今村千秋コメンテーター

ゲスト : 水越伸・・ 東京大学大学院情報学環 助教授
「メディアリテラシー」の実践・研究を行う。

【放送内容】

今回は「メディアリテラシー」についてお送りします。


 「メディアリテラシー」とは

新聞・テレビ・・・等の「メディア」からの情報を
一方的な「受け手」になるだけでなく、
メディアの仕組みや現状などをよく知り、情報の選択をし、
そのことを生活に活かす。また、能力を身につけることをいいます。

今回の「米・同時多発テロ」は、
一方では「情報戦」とも言われている。
アメリカは、アフガニスタン空爆と同時に救援物資を投下。
その中に「ラジオ」が入っていた。
このラジオ投下の役目は何か。
アフガニスタンの主な情報源は「ラジオ」。
アメリカは、まず、地元のラジオ放送局を爆撃し、投下したラジオから、イギリスの
BBCやVOA(ボイスオブアメリカ)を通し、
アメリカ側のメッセージ、情報を現地の言葉で流し、伝えるためである。

したがって、今回の戦争は、
メディアが発達した現代ならではのもの。
また、世界中でアメリカ側とアフガニスタン側の戦況情報が入り混じって伝えられて
いる。

つまり、どんな状況かを自分で判断する力ガ必要になってくる。
ここに視聴者の「メディア・リテラシー」という行為が大切になってくる。

 「メディアリテラシー」の始まり

1930年代、イギリス。
当時、印刷技術の向上になどで大衆向け雑誌や新聞が大流行した。
宗教をはじめとする、あらゆるジャンルの情報が氾濫した。
そのことより国の伝統的文化を衰退させてしまうのではないかという危惧とともに
大量の情報から子供達の守る「予防措置」として授業に取り入れたのがはじまり。

時代が進むにつれ、あらゆる手段で情報が流れる世の中になり
「メディアリテラシー」の研究も活発になってきた。

1989年、カナダのオンタリオ州。
学校のカリキュラムに初めて組み込んだ。
オーストラリアでもほぼ全域でメディアリテラシー教育が取り入れられている。

フランス・ドイツをはじめとするヨーロッパ諸国、ロシア・オーストリア
フィリピン・香港・ラテンアメリカ・イスラエル・南アフリカ共和国・・・等

世界各国で実施さている。

アメリカでは
今やケーブルテレビや衛星放送、さらにインターネットも加わり多チャンネル時代。
ニューヨークのケーブルテレビ局MNN。
ここでは、市民が作ったオリジナルの作品を次々と放送できるシステムがある。
ある一定の条件を満たした作品であれば、無料で利用ができる。
必要に応じて、制作機材などを借りることもできる。
このように映像を制作して表現する一連の行為も「メディアリテラシー」につなが
る。

(スタジオ)
独自の文化を大切に思うという背景がある国ほど「メディアリテラシー」についての取り組みが充実している傾向にある。(水越氏 談)

「リテラシー」    ・・・ 本来は、読み書き能力のこと。
「メディアリテラシー」・・・ メディアを使いこなす能力。その能力をつける行為全
般。


メディアは、
「表現」「受容」「使用」の要素が重なり合って存在している。
これらの要素のバランス均等にとりながら情報を理解する必要がある。
どこかに偏っていると情報を読み違えるおそれがある。(水越氏 談)

「使用」・・・ メディア機器を使用すること。
  ex:スイッチを入れる。チャンネルを合わせる。PCをセットする。
「受容」・・・ 新聞・テレビ等の情報を読んだり見たりすること。
「表現」・・・ 情報を自ら発すること。
  ex:番組をつくる。ホームビデオを撮る。自分のHPを作る。
 《現在の日本》

日本でも「メディアリテラシー」についての研究・教育が盛んになってきている。
教育のカリキュラムにも取り入れている学校もある。
たとえば、
福井県の中学校・丸岡中学校では、授業でビデオ作品を作り、その過程を体験し、出来上がってからも「制作者として、視聴者として」話し合いも持っている。

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