1月10日


21世紀を迎え、テレビ界も新しい時代の幕開けとして注目されています。 そこで今回は、今後テレビの持つ使命について「鳥越俊太郎さん」「やくみつるさ ん」に話を伺いました。

 司会 佐藤紀子アナウンサー
武内絵美アナウンサー
 ゲスト  今村千秋コメンテーター

「ニュース・報道」について (インタビュー:佐藤紀子アナ)

鳥越俊太郎 元新聞記者。
現在「スクープ21」メインキャスター。
現場を重視した鋭い視線で事件の本質に迫る。自称「ニュースの職人」

Q.「ニュースの職人」の由来は?
A. 多くは「ジャーナリスト」と紹介されますが、「ジャーナリスト」という言葉に当てはまる日本語の訳がない。日本の出来事を伝える者として日本語にない言葉を使いたくなかった事が1つ。もう1つは、自分自身の事を考えてみると「本当にニュースが好き」自分にとっては「仕事」であり「趣味」であり、ニュースに携わっている自分がベストのような気がする。・・・これはまさしく「職人」、ということで自らの事を「ニュースの職人」を呼ぶことにした。


Q.ニュースとは何だとお考えですか?
A.ニュースとは「心の栄養素・ビタミン・カルシウム」であると思う。
「ニュース」を大きな意味でとらえると「情報」という言葉に置きかえることができると思う。
この情報というのは「心の栄養素」であり、体に栄養を取り込まなくては、人は行動できない。
それと同じことで「情報」を取り込むことで、人は正しい判断ができる。その情報「心の栄養素」を伝えるのが報道である。


Q.テレビの影響を一番実感した事件は?
A.「桶川・女子大生ストーカー殺人事件」
 はじめ写真週刊誌が報道したが、犯人逮捕後の取材はなかった。記事を読み「おかしい、何かある…」と思い取材を始めた。番組で報道をするとすぐに県議会が動き始め、県警に検証チームができた。内部調査が始まると色々なことが判明。国会で「ストーカー規制法」の成立。この法の成立が異例とも言える速さで進んだことに「報道した」というテレビの影響が少なからずも関係していたように思う。
 併せて「報道被害」についても考えさせられる事件でもあった。
 昔に比べて、取材陣の数が多く、それだけでも取材対象者を威圧し、近隣の住民にも迷惑をかけている。自分の局だけ…という感覚での取材が、一歩引いてみるとかなりな取材合戦になっている。
 もう1つは、被害者のイメージが事実とは違うかたちで伝えられてしまうこと。
 「桶川の事件」では、被害者の家族が「娘は2度殺された」と言っていた。
 1度は「犯人と警察の怠慢に」もう1度は「メディアに」これらの事実は、真剣に考える必要がある。
 自分たちだけ …という「個」の考えではなく、全体の意識として考えるべきものである。



「バラエティー・情報番組」について (インタビュー:佐藤紀子アナ)

やくみつる 風刺漫画家。漫画家になって20年。
大のテレビ人間を自負する。目にした世の中の動きを漫画に書き、時として時代を鋭く切る。「やじうまワイド」などのコメンテーターとして登場。
本人は世の中の動きをぶつくさ言いながら漫画を書いているだけ…という。自称「小言漫画家」

Q.最近話題の映画「バトルロワイヤル」について
A.何でも見て自分なりに感じることが必要。権力が色々な干渉をし過ぎたりするのはどうかと思う。国会とかで問題になるのは良いが、政治家が作品の演出などにまで意見するのは「大きなお世話」だと思う。結果、映画は世の中的に話題になって、いろいろな話し合いの機会ができた。
 15・16歳が自分たちで判断する力を信じるべき。自分の言葉で意見を喋れる ようであれば、フィクションか否か等ということは判断できるはず。


Q.バラエティー番組については?
A.バラエティー番組は番組として成熟している時期であり、視聴者の方も番組内の「お約束」を理解してみる力量を持ってきていると思う。視聴者の理解している力を認めるべき。
 「悪影響うんぬん」という指摘は当てはまらないと思う。
 バラエティーで笑えなくなってしまったらオシマイだなと思う。


Q.「テレビの見方」というテーマで講義をするとしたら?
A.「一日の番組を編成するような気持ちで」「一人一人が時間割りを作るつもりで」いろいろな番組を見てみろと言うと思う。
 そして、偏った見方でテレビを見ないこと。多くのジャンルを見ることで「こんな人もいる」「こんな考え方もある」という事を感じてほしい。そして翌日の友達同士の意見交換につなげてほしい。テレビというのは見るときは1対1の情報になるが、それを友人等との会話を通じて、横に広げてほしい。これらのことは「メディアリテラシー」にもつながる。そして、自分と違った多くの意見を受け入れることも出きるようになる。

「メディアリテラシー」:メディア(テレビなど)の情報が正確かどうか、偏っていないかどうか、何を伝えているか…等を読みとく力を養うこと。


Q.今後のテレビについて
A.BSデジタルなどでのテレビの双方向性。これはややもするとインターネットにすりよりかけている傾向がある。これは危険なこと。個々に発信する狭い情報にどんどんなっていくようではいけない。テレビはマスに情報を提供し、横のつながり「生の人間同士のつながり」を大切にしていく必要があると思う。


「今回のインタビューを通して」
いずれにしてもテレビが人々にとって「かかせない存在であること」「生活に多大なる影響をあてえていること」を再度認識。送り手としてはこれらのことを真剣に考える必要があると考えます。

次回の放送では今話題のなっている「表現の自由にかかわる法規制」の問題を取り上げたいと思っています。
そこで、皆様からのご意見を募集いたします。「新しい法律の立案」に対して皆様のご意見を番組にお寄せください。
メール・郵便・・・等でお待ちしています。

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「はいテレビ朝日」ご意見募集 係