
● ● 12月3日 ● ●
今回は、11月16日に決定した「プログレス賞」の受賞作品の紹介と11月分の
「放送番組審議会」の報告です。
■「プログレス賞」」受賞作品発表
「プログレス賞」とは
「PROGRESS」とは、進歩・向上などを意味する言葉。
この賞は、制作者達の日々の努力の過程を評価していこうという目的でもうけられた
賞であり、対象作品は、テレビ朝日系列24局が去年の4月から今年の3月までの1
年間に制作・放送した番組。
その中から、各局の放送番組審議会が優秀なものを選出し、その作品に贈られるもで
す。
作品のジャンルは問いませんが、評価の基準は、地域に密着したテーマ、それぞれの
放送局ならではのこだわりのある作品であるかどうかという点です。
今回の受賞作品は下記の作品です。
今回の受賞作品
| 最優秀賞・・・ |
名古屋テレビ特集「良心の軌跡・法廷から昭和を見た男」
(制作:名古屋テレビ放送) |
【選考のポイント】
・・・「日記」という映像的に非常に表現の難しい素材を使い、軍国主義時代の日本、
その流れにのみこまれながらも「NO」を突きつけてきた一人の男(軍人)の孤独な戦
いの跡を赤裸々に伝えている点。この番組によって主人公の遺言とも言える証言に初
めて光りがあてられたという点。 |
| 優秀賞・・・ |
報道特別番組「封印された危険地図・危険を知らされるということ」
(制作:広島ホームテレビ) |
【選考のポイント】
・・・人間の生命に関わる情報が公開されていない。「なぜなのだ?」そんな取材者
の素朴な疑問から取材ははじまり、行政の危機管理の甘さを鋭く指摘。この問題は
「広島県」という一地域だけのことではなく、全国的な問題であるとショッキングな
点をスクープ。これらの点が「報道ドキュメンタリー」として高く評価された。 |
| 奨励賞・・・ |
テレメンタリー2000「かえってきた生き物たち・蕪栗沼と不耕起農法」
(制作:東日本放送) |
【選考のポイント】
・・・1年にわたっての丹念な取材によって、新しい農業の可能性を説得力を持って
具体的に描いた点。「不耕起農法」を非常にわかりやすく説明している。小さい生き
物等の撮影は実に大変だが、ディレクターが生き生きと取材をし、本人の伝えたいメッ
セージをしっかり持っている点。 |
| 奨励賞・・・ |
新春特番「希望の歌声・レーナ・マリア大分コンサート」
(制作:大分朝日放送) |
【選考のポイント】
・・・主人公の生き方を通してバリアフリー社会の現実という
課題を素直に表現している点。 |
《今回の総評》・・・桂 敬一
(テレビ朝日 放送番組審議会委員長・東京情報大学教授)
いずれも、地域に根ざしてドキュメンタリーを作っている。地方ならではの視点が
その土地の今の問題を映し出している。
最優秀賞については、最優秀賞については、他の作品とは、多少違い「地域出身者」の一出来
事でとどまるモノではなく、話題性としてはむしろ日本の戦前から戦時中にかけての
日本が暗転に転がり込んでいく時を写しだしている。この重さは、キーステーション
が制作するのもに匹敵。この点が、ほかの3作品の「地域密着型ドキュメンタリー」
を圧倒していた。
■《放送番組審議会》報告
審査対象番組:「年中夢中!コンビニエンス」
次のような意見が出ました。
- 現代のエッセンスがコンビニ。そう意味では良いところに目をつけたと思う。し
かし、制作者側の面白いと思うモノと視聴者側の期待しているモノとの感覚が多少の
ズレを感じる。検討して欲しい。
- コンビニを舞台に人間模様にスポットを当てれば面白さがでるのではないだろう
か?今後に期待。
- いわゆるコンビニ族が、どのような生活をしているのか?コンビニ依存症などの
生態観察をクローズアップしても面白いのではないか?
- 将来的には一方的に番組を送るのではなく、コンビニを通して番組と視聴者の双
方向的コミニュケーションを図っていくというアイデアが隠されているように思う。
こういう番組がこれからもっと開発されていいのでは。
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