● ● ● ● 1月17日 「中央区・大人のためのメディアリテラシー入門@」 ● ● ● ●


司 会 吉澤 一彦(テレビ朝日アナウンサー) 本間智恵 (テレビ朝日アナウンサー)
ゲスト 水越 伸(東京大学 大学院 情報学環 教授)

【放送内容】「中央区・大人のためのメディアリテラシー入門@
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2009年10月から12月の3ヶ月間、「ろっぽんプロジェクト」(テレビ朝日と東京大学の共同研究)が
全面的に協力して開催された中央区の「大人のためのメディアリテラシー入門」。

全5回のこの講座での最終目標は、「3分間の番組」をつくること。

参加した中央区のみなさんが、架空のテレビ局「築地市民テレビ」のキャスターとなり、
中央区についての番組作品を企画から立ち上げました。

企画会議から、実際街に出ての取材、さらには、テレビ朝日の館内見学など、
さまざまな体験をしながら、最終回では、多くのプロのテレビスタッフの協力のもと、収録にのぞみます。
どれもが、生まれて初めての体験という中、発信する側に立つことで、
「メディアリテラシー」について考えていきます。




スタジオ1

吉澤)
この番組でも度々取り上げてきましたが、「メディアリテラシー」の説明をお願いします。

水越)
メディアリテラシーというのは、メディアの読み書き能力と普段言われますね。
台湾などでは「媒体素養」と言われます。
テレビ、新聞などのメディアについて、それがどういう成り立ちなのか、
どう作られているのか、どう自分たちが関わればいいかについての、「たしなみ」や「素養」と考えてください。

本間)
この講座のねらいは?

水越)
普通は小中高校生などの青少年とメディアリテラシーということが多いのですが、
今回は大人の方々を相手にするということで、いつもと違うところにトライしていくということが、
テレビ朝日としても東京大学としても、とても新規性がありました。

もうひとつは、座学や講義形式でやるのではなく、実際に番組のようなものを
作ってみることを通して、「媒体素養」を学ぶということにあります。

吉澤)
5回の講座で、テレビ朝日見学などもあり、最終的にグループでテレビ番組をつくった訳ですね。

水越)
はい。正直、テレビ朝日の方も我々も大人を相手にどうやってやればいいのか
という不安感もありましたが、非常に面白くなりました。



VTR1 講座1回目〜2回目

10月7日。中央区の築地社会教育会館で講座の第一回が行なわれました。
参加者は、50代、60代を中心とする中央区にお住まいのみなさん28名。
水越先生が、講座のはじめに行なったのは「テレビのイメージを絵にしてください」という課題。

突然のミニワークショップに皆さんとまどいながらも、絵を描いていきます。
つぎはこれを使っての自己紹介。少し恥ずかしがりながらも、教室内は和やかな雰囲気に。
続く、講義では、メディアリテラシーの定義なども教わります。

休憩を挟んで、キャスター経験もあるテレビ朝日・鮫島慎司コンプライアンス統括室長の講義。
視聴率や、スポンサーなど、テレビ番組のしくみについてのお話と、
「ニュースができるまで」というVTRを視聴しました。

最後の質疑応答では、さすが大人のみなさん、するどい質問が寄せられました。
「コメンテーターを選ぶ基準は?」「日本の地域をどうやってわけて放送しているのか」鮫島室長もたじたじでした。
講義終了後のスタッフミーティングでは、急遽次回のプログラムを高度なものに変更することを検討しました。

講座の2回目は2週間後。水越先生の「メディアのいろいろ、世界のテレビについて」の講義からスタート。
つづいて、グループに分かれていよいよ番組づくりに入ります。

「築地市民テレビ」という架空のテレビ局で放送する、「3分間の番組」を作ることに。
中央区に関する情報をまとめて講座の最終回に発表、番組として収録します。

まずは、どんな番組にするのか、企画会議を始めました。
中央区について知っていること、自分だけが知っていることを書き出します。

「築地市場についてグルメ以外の情報」「ワンコインのランチがある」などたくさんの企画の種が発表されました。



スタジオ2

吉澤)
講座のはじめに「テレビのイメージ」という絵を描いてもらっていましたが、どんな狙いがあるのでしょう。

水越)
普通は、講座はプリントなどを配って先生がいろいろとしゃべるというところから入りそうじゃないですか?
それを裏切る形で「えっ、絵を描くの?」みたいな感じで入る意外性と、大人の方なので、
同席した方の緊張を解く狙いがありました。絵にすると言葉で言う以上に、違いが見えてきます。

吉澤)
水越先生は、「民放連メディアリテラシー実践プロジェクト」など、
中高生向けの取り組みを10年近く実践された訳ですが、
今回は50代、60代の大人のみなさんが相手でだいぶ違った印象を持たれたのでは?

水越)
実は、はじめはどうしようかと思っていました。しかし、結果的には逆で、変わらなかったですね。
メディアリテラシーは学校などで長く教えてきたわけではないので、
60歳でも小学生でも基本は同じでした。

ただ、大人は人生の経験値が高いので、陰影のある質問だとか、
含蓄のあるアイディアが出てきたのは、予想を超えていました。

VTRを見ていただいた通り、かなり突っ込んだ質問もくる受講生のみなさんでしたので、
まずは皆さんがテレビについて思っている疑問に答えなくてはならず、
プログラムを急遽変更したりしながら、僕たちも学ぶことが多かったですね。



VTR2  講座3回目、取材活動

講座の3回目は、テレビ朝日のスタジオ見学です。
皆さん、初めてテレビ局に入るとあって、すこし緊張気味。
「報道ステーション」や「スーパーJチャンネル」のセットが組まれている第4スタジオや、
アートセンター(美術)などを見学後、あることに挑戦しました。
実際にBSニュースなどで使用されているタジオで、キャスター体験をしようというのです。
配られたのは、ニュースと天気予報の台本。実際にスタジオに入ってVTRに合わせて原稿を読んでいきました。
なかなかうまくできない受講生たち。しかし、とても楽しんでいました。

最後は、生放送の「ANNニュース」を見学。「築地市民テレビ」と同じ、
3分間の番組を体感することで、次第に作品の方向性も見えてきた様子。
見学の後は、多くの参加者が会場に残って企画のつめの作業を行ないました。
講座も後2回。この後、各グループ教室を飛び出して、取材活動に出かけます。
生まれてはじめての、テレビ取材をする側にたつのです。
はたしてどんな作品ができあがるのでしょうか。



スタジオ3

吉澤)
ここまで見てきて印象はいかがでしょうか?

水越)
やはり大人というのはすごいなと。講座のはじめに4つのお願いがあると伝えました。
その中で、「批判的だけど楽しくやろう」というのがありますが、期せずしてそういう風になりました。
局員との「対話と対決」ということもありましたが、それも理屈を言わずともみなさんおやりになっていました。
やはりこの世代の方々が日本を支えてきたのだと実感しました。

今回、築地市民テレビという架空の物を作るうえで、
アメリカやヨーロッパにある小さな規模の公共放送などを想定しましたが、
その意味合いを今回の生徒さんたちは、一発で理解していたと思います。
実際に、小さなテレビ局が集まってネットワークで放送していく動きが出てきているので、
今回、このような試みは、今後のテレビのあり方を考える上でも面白いアイディアをもらえたのではないでしょうか。

吉澤本間)
ありがとうございました。






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次回の放送は、2月7日(日)を予定しています。

「中央区・大人のためのメディアリテラシー入門」講座の、続きは、2月21日(日)の放送予定です。