● ● ● ● 6月7日 「メディアリタラシー実践プロジェクト」 ● ● ● ●


司 会 吉澤 一彦(テレビ朝日アナウンサー) 本間 智恵 (テレビ朝日アナウンサー)
ゲスト 下村健一(市民メディアアドバイザー)

【放送内容】「民放連メディアリテラシー実践プロジェクト」
今年の2月、2008年度、“民放連”日本民間放送連盟の
「メディアリテラシー実践プロジェクト」の報告会が行われました。
今回は、高校生がテレビやラジオの番組作りに挑みました。
どんな気づきがあったのか、その様子を、ご紹介します。


Get Adobe Flash player



スタジオ1

吉澤)
下村さんといえば、テレビキャスター、ジャーナリストというイメージが強いのですが。

下村)
最近は、情報の受け手側、つまりメディアリテラシー活動に力を入れています。

吉澤)
民放連のメディアリテラシー実践プロジェクトについて教えてください。

下村)
あまり難しく考えることはありません。様々な情報が飛び交う世の中で、
情報のキャッチボールを上手くやろうというのがメディアリテラシーということなんです。



VTR1

○岡山放送の実践報告
岡山県と香川県の2つの県に跨った放送エリアを持つ岡山放送では、
互いに相手に対して抱いている地域のイメージを描くことから始まりました。
知っていそうで知らない相手のこと。浮かぶイメージが、
実は、テレビや映画などメディアを通じての一面でしかないことに
気づいてもらうのが狙いです。
岡山、香川の高校生は、相手の県のイメージをまとめたVTRを交換しあい、
自分たちの地域はこんなイメージなのだということを知って、
今度は、自分の県を表現するする番組作りに取り掛かりました。
テーマは、それぞれ「桃太郎」と「うどん」。

○南海放送の実践報告
このプロジェクトではじめて、ラジオのメディアリテラシーに取り組んだ南海放送。
ラジオだけでなく、携帯の動画機能やインターネットを使った
コミュニティ作りの活動に取り組みました。
高校生たちは、町中で「あなたの使っているアイテムは?」について、取材。
取材した映像は、南海放送のホームページ内にある特別サイト「マホラマシーン」にアップ。
ラジオ番組でリポートを高校生たちは取材経験を積んで、ラジオ番組宣伝制作、
最後はラジオの生放送に出演しました。



スタジオ2

吉澤)
ラジオ局として初参加の南海放送ですが、ラジオに対する関心が今の10代では、
正直薄いでしょうから、大変だったのそうですね?

下村)
薄いどころか、初めはラジオのチューニングの仕方もわかりませんでした。
しかし、お年寄りがケータイを使いこなせないのと一緒の話で、道具はあまり重要ではない。
道具はなんでもよくて、コミュニケーションを豊かで正確にしていくことが大切。



VTR2

○チューリップテレビの実践報告
富山県のチューリップテレビは、平成2年、県3番目の民放テレビ局として
開局した社員70名の若い局です。今回の実践プロジェクトには、
服部寿人さんを中心に8名の局員が参加しました。
「住民ディレクター」制度に取組んできた下地があって、
今回、メディアリテラシーに取組むのです。
2008年7月から、4ヶ月のカリキュラムで、最終的には、
高校生たちが3分30秒の作品を作り、その活動をまとめて放送しました。
二つの高校の3チーム、10人が参加し、9回のワークショップが行われました。
局員を中心に、地元富山大学の学生たちがサポート。
東京大学大学院准教授の水越伸さんが全体のアドバイスを行いました。
まずは、「富山大のCMを作ってみよう」というテーマに取り組みました。
来年受験する高校生が「この大学に入りたい」と思うような作品を作る、というものでした。
しかし、砺波(となみ)高校の女生徒3人が作った作品が、スタッフの間に波紋を投げかけました。
それは「駐輪禁止」の看板の脇に、自転車を置いて撮影した映像。
カリキュラム折り返し地点で、大きな問題。プロジェクトメンバーが集って激論が交わされました。



スタジオ3

吉澤)
下村さんは、あの映像をみてどう思われましたか?

下村)
メディアリテラシーの現場では、こうしたケースがよくあるのです。
悪意を持ってやっているわけではなく、表現の工夫のひとつとしてやっている。
こうしたときに、ただ単に「うそはダメ」、というだけではだめです。
悪意はなくても、事実でないことが混じる可能性を受け手側が知ることも大切です。

吉澤)
危険なのは、そういう風に作ることが当たり前となってしまうことですね。

下村)
チューリップテレビのスタッフも、高校生にきちんと話すために、
どこまで許されるのかといったことをはっきり意識する。こうした学びあいが重要なのです。



VTR3

カリキュラムも後半。いよいよ3分半の番組作り。テーマは、高校生が自由に選ぶことに。
まずは一人一人がやりたい番組テーマをプレゼンします。
メンバーの意見を班ごとに模造紙にまとめて発表。
企画会議から2週間後。砺波高校“かしまし娘3人組”は、構成をどうするか、
サポートのスタッフを交えて話し合いました。テーマは“制服”決まったのですが・・・
構成をどうするか、議論が続きます。好きな制服のイラストを見せ、
アンケートをとることにしました。果たして…。

中間発表の日、砺波高校“かしまし娘3人組”の制服についての作品を見た、
他のメンバーからは、一方的な主張ではないか、主旨がはっきりしない、などという意見が出ました。
皆の意見を受けて、砺波高校の3人、構成をどう変えるか、相談中。
校長先生の取材申し込みをする一方、OBやOGでもある学校内の先生の意見を聞くことにしました。
話を聞いて行くと貴重な意見が…
どうしても欲しいのは校長先生の見解。意を決し、校長先生を訪ねると、カメラの取材はNG。
しかし、校長先生は「制服議論の前に身なりをきちんとすべきではないか?
制服以外にも、取り組まなければならないテーマがたくさんあるのではないか」と彼女たちに話しました。
色々な立場の意見も必要とわかった3人娘。最終的に仕上がった作品を上映したあと、
3人は「メディアのこと以上に貴重な体験だった」と4ヶ月を振り返りました。



スタジオ4

吉澤)
最初は制服を変えたい!という自分たちの気持ちを訴えるだけの作品が、
かなり変わりました。その過程で彼女たちが、気づいたことは?

下村)
彼女たちの最大の変化は、自分達への“取材”を深めたということです。
それに気がついたという事が一番だったのではないでしょうか?
それから、この後の気づきも大切です。例えば、校長先生の扱いに関しては、
カメラはNGでしたが取材に答えてくれたのに、
作品では「NG」というようないわば悪者扱いともとられかねない表現をしてしまい、
それがチューリップテレビで放送されました。
もしかしたら本人は傷ついているかもしれない。
そういうことも、分かっていくということが、大切なことだと思います。
メディアリテラシーはこのように、継続していくことが大事だと思います。

吉澤)
ありがとうございました。



VTR4 放送番組審議会からの報告 「放送一般について」

○テレビ朝日の番組や、テレビ全般に関するご意見やご要望、
  詳しく知りたいテレビの仕事などのご質問、なんでも結構です。
  あて先は
  郵便番号106−8001テレビ朝日 番組「はい!テレビ朝日です」
  インターネットの場合は番組ホームページから入力してください。

   



番組ではテレビをご覧の皆様からのご意見ご要望を募集しています。
「テレビ朝日の番組や、 テレビ全般に対するご意見やご要望」 「くわしく知りたいテレビの仕事」など 何でも結 構です。

あて先は、〒106-8001 テレビ朝日「はい!テレビ朝日です」係
インターネットの場合は、番組ホームページ www.tv-asahi.co.jp/hai/ から入力してく ださい。

番組で紹介させていただいた方を含めて毎月5名さまに
テレビ朝日「デジタル 5チャンネルグッズ」をプレゼントします。住所・氏名を必ずご記入ください。

次回の放送は、6月21日(日)の予定です。