● ● ● ●3月1日 ● ● ● ●

司会 吉澤 一彦 (テレビ朝日アナウンサー)
本間 智恵 (テレビ朝日アナウンサー)
ゲスト 駒谷真美 (昭和女子大学 人間社会学部 初等教育学科 准教授)

【放送内容】 「幼稚園児のメディアリテラシー!?」
メディアリテラシー教育への取り組みが、幼稚園でも行われようとしています。
昭和女子大・駒谷真美准教授らの研究と積極的に情報教育に取り組んでいる
玉川学園幼稚部の「思い出CM作り」の活動を紹介。
子供たちとテレビ・メディアの付き合い方について考えていきます。



スタジオ1

○駒谷真美(昭和女子大学 人間社会学部 初等教育学科 准教授)の話
「ある調査では、テレビを見始めるのは1歳未満で66パーセントといわれ、まさにリモコンがガラガラ代わりです。
だいたい生後3ヶ月頃からテレビを見始めて、6ヶ月頃からテレビへの関心が芽生え、
ハイハイする頃はアニメの画面に向かって突進するようになる」
「テレビの良い影響として、語彙力や問題解決能力、社会性が伸びると言われている。
また攻撃的な番組を見ると遊びに取り入れたりする傾向がある。
欧米ではテレビを見ながら保護者や先生が適切に子どもたちに語りかけることで
“向社会行動”といった良い行動が増えた、という調査結果も出ている。
これから子どもたちにテレビの使い方、付き合い方、遊び方をきちんと教えていく必要がある、と考えている」



VTR1

幼い子どもたちは、テレビとどんな付き合いをしているのでしょう?
3歳から6歳、4人の子どもの例を見てみましょう。

3歳児とテレビ
まずは、お兄ちゃんと2人兄弟の妹、3歳のりんかちゃんです。

(1)テレビとの出会い  1歳になる前から
(2)好きな番組  アニメ番組
(3)1日にテレビを見る時間 3時間
りんかちゃんは、テレビでわからないことは、すぐにお母さんに質問。
3歳のりんかちゃん、テレビの中は、<現実のこと>と思っているようです。

4歳児とテレビ
お姉さんと2人兄弟。4歳のみずきちゃんは、テレビが大好き。
(1)テレビとの出会い  生後6ヶ月くらいから
(2)好きな番組  アニメ番組
(3)テレビを見る時間   1週間に1,5時間
テレビを見るとき実に、表情豊かなリアクション。
テレビと現実の違いに気づきはじめるのはこの頃。
4歳のみずきちゃん、テレビは現実じゃないから、主人公とは会えない。そう答えました。

5歳児とテレビ
5歳のなぎちゃんはアニメが大好き。
(1)テレビとの出会い  生後6ヶ月くらいから
(2)好きな番組  アニメ番組
(3)1日にテレビを見る時間   1,5時間
テレビを見るとき、内容を具体的にいろいろ説明してくれます。
5歳くらいになると番組の内容も、かなりわかってきます。
5歳のなぎちゃん、フィクション、ノンフィクションの違いに気づき始めているもののその区別はあいまいです。

6歳児とテレビ
最初に登場した、りんかちゃんのお兄さんが、りくとくん6歳。クイズ番組が大好き。
(1)テレビとの出会い  1歳から
(2)好きな番組  アニメ・戦隊ヒーロー・クイズ番組
(3)1日にテレビを見る時間   2時間

テレビで好きな番組を見るときはかなり集中して見ます。
6歳のりくとくんは、テレビと現実の違いがかなりわかるようになり、その理由
も、自分なりに説明できます。



スタジオ2

○駒谷真美(昭和女子大学 人間社会学部 初等教育学科 准教授)の話
「6歳くらいになるとテレビに集中して一歩進んだ見方をしている。
だんだん一人前の視聴者として発展成長していく」



VTR2

東京・町田市にある「玉川学園」は、幼稚園、小学校から大学まで一環教育の総合学園です。
幼稚部では、5歳の年長さんを対象に去年9月から知識の理解、
物事に取り組む姿勢、生活力、社会性をより高めるために、
「言語・数量・運動」の特別教育「チャレンジプログラム」を実施しています。
そこで「メディアであそぼ!」という3日間の特別プログラムが組まれました。
駒谷先生も参加し、幼稚園の先生たちと具体的なカリキュラムを作成しました。

メディアであそぼ!(各45分)
1日目 CMへの興味・理解
2日目 CM作り
3日目 CM発表 

「メディアであそぼ!」1日目。最初の狙いは、コマーシャルに興味を持たせること。
「テレビ 見よう」と先生。大喜びの子どもたちですが、実は、ここで、コマーシャルを流します。
戸惑う子どもたち。「これって宣伝じゃん!」との声が起こります。
次に先生が、「CMって何?」と質問してみると「来て下さい、見てください、買ってください」と答える子どもがいました。
コマーシャルの意味や目的についても、理解していることがわかりました。
続いて、教材ビデオ「広告小学校」を使い、番組より短いことや、
キャッチフレーズがあるなどコマーシャルの特徴を学びました。
「広告小学校」は、電通と東京学芸大学が開発した
子どもたちの思考力・判断力などを養うコミュニケーションプログラムです。
ここで、今回の目的、自分たちでコマーシャルを作るということが発表されました。



スタジオ3

○駒谷真美(昭和女子大学 人間社会学部 初等教育学科 准教授)の話
「欧米では7〜8歳の時期にCMのことを理解するといわれている。
ところが今回、5〜6歳で理解していることが明らかになった。
なぜCMを作るのかというとキャッチコピーやCMソングがあったり、
メッセージを伝えるのに非常にわかりやすいため。
CM作りといっても映像を作るわけではなく子どもが入る大きなテレビフレームを用意して、
その中に子どもたちが入ってCMを発信する。そこでテレビ(CM)の送り手になることを理解してもらう」



VTR3

「メディアであそぼ!」2日目。コマーシャル作りです。ここで大きなテレビフレームの登場。
テレビには送り手がいることを体験します。そしていよいよ、グループに分かれてコマーシャルを作ります。
テーマは、「幼稚園の楽しい遊び」の紹介。
まずは、テーマ決めですが、みんな自分の考えを上手く伝えることができるのでしょうか?
あるチームでは女の子の「大縄とび」に対し、ひとりの男の子が「ウルトラマンごっこ」と譲りません。
そこで先生はコマーシャルが15秒しかないのでひとつに決めるよう伝えました。
時間が短いことを再確認し、ひとりの女の子が、みんなでよくやる遊びを新たに提案しました。
この提案にみんなが賛同し、テーマは「ドッジボール」に決定! 
一方、こちらのチームも、3人の女の子と2人の男の子で意見が対立。
ここで、ひとりの女の子から新たな提案が・・・。
「多数決にすると少数派の意見が負けてかわいそうだから、少数派の男の子の意見を採用したらどうか」
それでもまだまだ二転三転ありそうです。
そしてこちら、「ドッジボール」のチームは、「キャッチボールと違うから面白い」
「ボールを投げるときが面白い」などコマーシャルで伝える内容を、話し合っています。
そしてひとりの男の子が、言葉ではなく体で表現しようと大熱演。
コマーシャルの形がだんだん出来てきました。

「メディアであそぼ!」3日目、コマーシャル発表です。
まず、男女の意見がわかれたこのチーム。
結局、「大縄跳び」をテーマにCMソングを作ってコマーシャルを作りました。
次は、ドッジボールチームです。ドッジボールの魅力をキャッチフレーズにしてコマーシャルを作りました。



スタジオ4

○駒谷真美(昭和女子大学 人間社会学部 初等教育学科 准教授)の話
「今回のCM作りをやってみて、楽しかったと答えた子どもが95,4パーセント。
またやりたいと答えた子どもが95,3パーセント。
また難しかった、大変だったと答えた子どもが66,2パーセントという結果が出た。
CM作りは初めての体験。難しいけど興味を持って真剣に取り組めた、といえる。
小学校に上がる移行期にまた同じ子どもたちでこの取り組みを行っていきたい。
どんな結果が出るか楽しみにしている」
「家庭でもお母さんと子どもでテレビを見て、お母さんから主人公の気持ちを子どもに尋ねたり、
お母さんの気持ちを伝えたりして、テレビ日記をつけるとよい。
これからテレビをコミュニケーションツールとしてどんどん活用していってほしい」


<第8回中学生フォーラムのご報告>

2008年12月、BPO「放送と青少年に関する委員会」主催、
第8回中学生フォーラム「激論!ニュース番組」が、開催され、
中学生モニター15人とNHKと民放各局のニュース番組制作者との意見交換が行われました。
また、東京大学の橋元教授からはメディアの信頼度の調査結果から情報番組の低さが指摘されました。
さらに「これからのテレビ報道のあり方」などについて、話し合いが行われました。




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次回の放送は、2009年、3月15日(日)の予定です。