● ● ● ● 9月21日 ● ● ● ●

司会 吉澤 一彦 (テレビ朝日アナウンサー)
島本 真衣 (テレビ朝日アナウンサー)
ゲスト 村川 透 (映画監督)

【放送内容】  「監督 村川透 ~土曜ワイドの舞台裏~」
30年以上の歴史を持つ「土曜ワイド劇場」。
その人気シリーズ「鉄道捜査官9」の撮影現場に密着しました。
村川透監督は、松田優作と組んだ数々の映画作品、「西部警察」「はぐれ刑事純情派」などのテレビドラマを手懸けてきた巨匠。
今回は、村川透監督をスタジオゲストに迎え、監督の仕事、「土曜ワイド劇場」の魅力、演出の秘密に迫ります。


スタジオ1

吉澤)
監督の思い出に残っている作品というのは?

村川監督)
「蘇る金狼」ですね。
松田優作という稀有な存在の役者さんと出会って、彼も楽しんで、
思い切って芝居をしたという結果が、ああいう面白いものに出来上がったという事で
私と作品を(たくさん)作っていますけれども、あれが私の中で、一番楽しい思い出というか、
胸が一杯になる気持ちが今こみ上げてきました。

吉澤)
「土曜ワイド劇場」と、他のドラマとの違いは?

村川監督)
映画の延長だと自分は思っています。時間が長ければいい、短ければいい、
とういうのではなくて、映画は一時間半前後がちょうどいい。
この「土曜ワイド劇場」もまさに、その長さで、は私の資質にあっている。楽しんでやっています。



VTR1

「鉄道捜査官」シリーズ、今回は、旅情あふれる会津トロッコ列車が舞台。
そこを一泊二日で旅した新米捜査官の立花(金子昇)。
土産のつもりが、なんと血染めのナイフ。
立花が旅先で出合った謎の女を手がかりに、花村警部補(沢口靖子)たちは会津へ向かいます。
しかし、そこで出合った新たな事件。怒涛の展開に、目が離せません。

ロケ先の会津若松市役所にお邪魔すると、警察署に看板を張り変え、撮影中です。
撮影が早いと言われる村川監督、とにかく、動くこと動くこと。必要な指示を与えると、すぐに本番。
現場の交通整理も監督自ら行い、流れが途絶えた瞬間、またすぐに本番です。

○村川監督のコメント)
「監督は率先垂範。自ら動いて示す。基本ですね。自分で動いた方が早いし、自分ですべてを引っ張ってきた。」

予定より1時間早く、この撮影は終了です。
村川監督のコメント)
「撮影はリズムなんですよ。」
そういう監督の撮影台本は、真っ白。
通常、細かくカットを書込むものですが。

高畑助監督のコメント)
「今でこそ多少のメモ書きはしているみたいだが、
読んだ段階で、全て頭の中に出来上がっている。そこが凄いところです。」

 

会津若松駅では、立花が会津トロッコ列車に乗って移動するシーンの撮影です。

台本ではわずか2行、台詞もないト書き。
しかし、監督、気にいらないことが…。
到着列車の案内が「団体列車」表示されているのが、臨場感に欠くというのです。
困った、と、言うより早く行動。監督、自ら駅事務所に交渉を始めました。前代未聞。

村川監督のコメント)
「今、団体列車になっちゃってるわけでしょ。あれじゃ困るわけですよ。~頼みに行って変えてもらった。」
監督の熱意に、快く案内の表示を変えていただき、撮影を再開しました。

村川監督のコメント)
「我々の撮りたいものを撮る。ぜったい撮りたいものを撮る。」
わずか2行のシーンですが、撮影は続きます。今度は、列車の入線シーンの撮影。
これは台本にありません。さらに、監督の視線の先には、時計がありました。

村川監督のコメント)
「俺たち、列車の中に入るんだよね。10時4分も撮っておく?」
改めて台本を見直しても、やはりわずか2行。ホームの列車と立花の顔の描写だけです。

村川監督のコメント)
「カットの積み重ねですから。文字はともかく、画で説明していってわかりやすく、しかも臨場感があって。」

次は車内での撮影。座席にいる立花の表情を撮るのですが、出発ぎりぎりまで指示が続きます。
出発早々、立花役の金子さんの表情を撮影しようとしたカメラマン。
監督、すかさず。
村川監督のコメント)
「街中はいらない。田園風景になったら回そう。」

ほどなく田園風景が広がって来ました。これが監督が求めたイメージなのです。
トロッコ列車の撮影を終え、待機していたロケバスで次へ移動。

沢口靖子さんのコメント)
「監督の現場は早いから、こちらで『俳優部OK』の状態にしておいた方がいいかもしれないですねえ。」

金子昇さんのコメント)
「変な間があくっていうのがまずない現場ですね。」



スタジオ2

吉澤)
いやあ、監督、忙しいですね。
何かやっていないときはないですね。

村川監督)
そうですね(笑)三つ先のことを考えてやっているのですよね。

吉澤)
周りの方は大変なのでは?

村川監督)
そうだと思います。
いつまでも助監督かたぎが抜けない監督だって言われています(笑)
まあ、(VTRを見て)自分で撮りたい画を撮るということを、
常に持っているんだなとあらためて思いました。

島本)
監督のお仕事というのは?

村川監督)
大勢の人で一つの目的に向かって作りますよね。
俳優さんは俳優さんでいいところを出さないといけないだろうし、単なる演出ではなくて、
全体の責任を全部持ちながら、将来も考えながら、演出していくとか、
ドラマのこととか、次のドラマのことも考えてとか、・・・そういう全体の責任を持つということが、
監督だと思うのですよね。
単なる演出ではない、監督とはそんなものだと思いますよね。



VTR2

「土曜ワイド」に欠かせないパトカーは、
専門のスタッフが、撮影現場まで運びます。

しかし、そのままでは公道を走れないため、回転灯や警察名に目張りしての移動です。
車を運んだドライバーさんが衣装を着て、警察官に早代わり。
このシーンは、地元の警察に許可を頂き、道路を封鎖し、安全に充分配慮して撮影したもので、スタッフ総出の大作業となりました。

こちらは、ロケ隊が宿泊するホテルの前。衣装スタッフが、ロケバスの中へと積み込んでいました。
一日に使う衣装は、ハンガーラック4個になることも。これでも今回用意した衣装の半分。残りはホテルにおいてあります。
ドラマでは、一日で何シーンも撮影するため、シーンが変わる度に着替えが必要となり大騒ぎ。
沢口さんが駅から出るシーンを撮っている最中(さいちゅう)、ロケバスの中は、次の支度が始まりました。
撮影の終わった沢口さんが、次のシーンの着替えにやってきました。

沢口靖子さんのコメント)
「着替えはいつも いつもバスの中です。」

着替えだけではなく、外での撮影では、ヘアメイクをバスの中で行うことも。
駅前に、美術スタッフのトラックが到着しました。
ドラマの中で使う鞄などを用意するのは、「持ち道具」と呼ばれる美術スタッフ。
撮影に合わせて、そのつど必要なものを確認し、出演者へ渡すのです。
美術の車、中は、どうなっているのでしょうか?

美術スタッフのコメント)
「役者さんの靴、かばん、アクセサリーなどをそれぞれ区分けしています。
そのほかエキストラのものとか、パトカー用、鑑識さんのものとか。」

会津若松駅前では、鞄を抱えた持ち道具さんが、役者さんたちの到着を待っていました。
この鞄全部、次のシーンが出番。スケジュールで再度確認。
役者が到着するとすぐに、鞄やケースが渡され、
撮影に入りました。沢口さんたちが会津に到着する場面です。
今度は、美術スタッフが、小道具として会津みやげの紙袋を、金子さんに渡しました。
ホームでの別れの場面でした。
この後、突然の雨。しかし、列車の時間が決まっているため、撮影は続行。

画がつながらなくなるため、スタッフは、列車についた雨の雫を丁寧に拭い出だしました。
助監督は、エキストラの人たちへの動きや演技を指示しています。
この列車が停車しているわずかな時間で、撮り終えなければならないのです。
皆の気持ちが一つになって、撮影終了。

鉄道捜査官シリーズに初参加の金子昇さん。
ドラマ冒頭、鉄道捜査隊に現れるという登場シーンで、あることを考えていました。

金子昇さんのコメント)
「ガッツポーズをとるというシーンがあるのですが、皆さん考えているポーズではないポーズを。」
その登場シーンがこちら。監督も思わずガッツポーズの演技。金子さん、してやったり!
監督大興奮の初登場です。



スタジオ3

吉澤)
今回初登場の金子昇さん、頑張っていましたね。

村川監督)
面白かったですよ。どういう演技をするかな?と。
彼なりに考えてきていて、ああいう“ハネた”ことをやってほしいということを、
見事に第一回からやりましたから、私と思いは同じだなと。

吉澤)
映画とテレビの違いは?

村川監督)
私は映画からテレビへ軸足を移しましたから、軸足を移すにあたって、
私なりの理由づけがありまして、面白くなければテレビでない!
と私自身思っていますから。映画でもそうですけど。
映画はお金払って見ますよね?テレビは普通、ただで見れます。
しかしそれと正反対の事がありまして、映画はお金を出した以上見ますよね。
テレビは、つまらなければ消されてしまいます。
見続けてもらうにはどうするか?そこが一番のポイントだと思うのですよね。



VTR3

村川組、次の撮影場所に到着。ここは、磐梯山を望む、猪苗代湖天神浜です。
まっさきに飛び出したのは村川監督。撮影するのは、四輪駆動車の疾走と、
金子さんのアクションシーン。監督、ハイテンション。
村川監督のコメント)
「カットは 頭の中に入っているのでどこから撮ってもいいのだけど、みんなが分からないから。」
カメラマンをはじめ技術スタッフの準備はすぐに終わりました。ところが・・・!
村川監督のコメント)
「急がせ!早く! おーーーーーい!」

肝心の役者さんがまだなのです。監督、かなりご立腹。
すぐに、役者さんたちも移動しました。まずはワンカット目の撮影。
走り出した村川監督。監督と沢口さんのイメージが食い違うのです。
それによって、沢口さんの演技も変わってきます。監督、シーンの説明を始めました。
監督は、車に気付いたらすぐに「逃げて」と叫んでほしい。
しかし、沢口さんはもっと近くなってから叫ぶだろうと考えます。
納得しないと演技に入れない沢口さんです。監督の必死の説明に沢口さん、納得で撮影開始。
続くアクションシーンに、監督のテンションも次第に上がっています。
走る、怒鳴る。村川監督の熱血演出は、まだまだ続きます。

沢口靖子さんのコメント)
「アクションシーンになると、いつもこんな感じですね!楽しいのですって!(笑)
緊迫感が画に出ていますね」

村川監督のコメント)
「一人(監督)のイメージを大切にして、みんなで作り上げるというのが映画ですから、楽しいのですよ!」



スタジオ4

吉澤)
監督、幾つになられるのですか?

村川監督)
70歳を過ぎました(笑)

吉澤)
あの動きあのテンションは尋常じゃないですよ。

村川監督)
ありがとうございます。

吉澤)
アクションシーンになると血が騒ぐ?

村川監督)
アドレナリンが過度に湧き上がるんじゃないでしょうか?(笑)

吉澤)
次、映画を撮るとしたら、時代劇を撮りたいという話も。

村川監督)
時代劇は制作費がかかるとか、いろいろ制限があります。
それじゃなければ、そうじゃないものは何かと考えたときに、コンパクトな楽しい映画を撮れるはずなんですよね。
「ガルシアの首」みたいにとことんいくみたいなハードボイルドな時代劇もあるのではないかと。

吉澤)
最後に「鉄道捜査官」の魅力を。

村川監督)
鉄道が走るあの姿、美しいですよね。
そして沢口さんが事件の謎を解決していく、サスペンス的な楽しさもあります。

吉澤)
ありがとうございました。



○土曜ワイド劇場「西村京太郎サスペンス 鉄道捜査官⑨」
  10月11日(土)よる9時放送

○テレビ朝日開局50周年記念 土曜ワイド劇場「西村京太郎トラベルミステリー50 山陽~東海道連続殺人ルート」
  9月27日(土)よる9時放送 *こちらも村川透監督の作品です!







番組では、テレビをご覧の皆さまからのお問い合わせ、ご要望をお待ちしています。
次回の放送は、10日5日(日)の予定です。