● ● ● ● 7月6日 ● ● ● ●

司会 吉澤 一彦 (テレビ朝日アナウンサー)
島本 真衣 (テレビ朝日アナウンサー)
ゲスト 土井善晴 (料理研究家 フードプロデューサー)
久保田直子(テレビ朝日アナウンサー)

【放送内容】
今回は、1974年から続くテレビ朝日の伝統の料理番組「おかずのクッキング」の
土井善晴さんと久保田直子アナウンサーをゲストに家庭料理のこだわり、
家で料理を作ることの楽しさ、豊かさそして番組の魅力についてたっぷりとお話を伺いました。

土井善晴プロフィール
1957年日本の家庭料理の第一人者として知られる故・土井勝の次男として 大阪に生まれる
スイス 、フランスでフランス料理を 大阪の「味吉兆」で日本料理を修業
1988年から「おかずのクッキング」(毎週土曜あさ5時25分から放送)を担当
現在、テレビ・ラジオ・新聞や雑誌と多くのメディアにわたって活躍中。

スタジオ1

☆「おかずのクッキング」が長い間支持されている理由
●土井善晴さん(料理研究家・フードプロデューサー)の話
「番組ではまじめにしっかり料理を捉えていて、基本を大切にしている。
いろいろ料理の工程があるのではなく、できるだけコンパクトに、
かつ手を抜いた気にならなくて、立派なおいしい料理ができるのが理想。
いつもそういうことを考えている」

☆番組のコンセプト「おかずのクッキングは『作ることを楽しむ暮らし』
家族と暮らしと食べることについて考えていく番組です」の意味

●土井善晴さんの話
「料理はよく食べる部分だけがクローズアップされるが、
その背景にはお母さんの仕事がきちっとあって、
実はその中に「料理をする楽しみ」がある。
料理しながらきれいだなと感じたり、ハッとする場面がたくさんあって、
楽しく料理をすることでそれらを発見してもらいたいと思っている」

「普通の人は、当然料理のプロじゃないのだから、
『こうしなければならない』と固く考えずに、
楽に、楽しく、おいしく料理をしてほしいと願っている」

●久保田直子(テレビ朝日アナウンサー)の話
「土井先生と一緒に番組に出演させていただいていて、
食べるだけじゃなくて目で楽しんだり、野菜を切るときの音を
楽しんだりなど五感を使ってお料理することを教えてもらった。
以来料理することが楽しくなりました」

☆『おかずのクッキング』流の料理とは?
●土井善晴さんの話
「日本料理は日本という風土を背景にしている。
四季があってその季節にある旬のものを食べる。
それもできるだけ生のものがおいしい。
旬の食材はもともとおいしいものだから、
いかにまずくしないかを考え、なるべく手数を減らしたほうがおいしいと思う」

「よく家でお父さんがチャーハンを作るとき、
しょっちゅう混ぜながら料理をすることがあると思うが、
プロとは火力が違って家庭の火力は小さいので
必要以上に混ぜると料理の温度を下げてしまうことになる。
だから焼け色がつくまでじっくり待ってからタイミングよく返してやる。
たとえばそういうこと。」

「料理を作る際、簡単だと思っていることこそ実は奥が深い。
とにかく基本を大切にしながらわかりやすく伝えていきたい」

☆土井善晴が考える「家庭料理」
●土井善晴さんの話
「愛する人のためにいろいろ考えながら作るのが『家庭料理』だと思っている。
一口食べておいしいものではなくて、食べ進むうちに『おいしかった』と感じるものが『家庭料理』だと思う。
毎日食べるものだから少し物足りないくらいのところに照準を合わせて作ると毎日食べても飽きないと思う。」

「家庭では薄味とかいろいろな味を経験する。
『食育の問題』もあるが、極端な話ちょっとくらい古くなったものでも家で出すことがある。
でも口に入れたときに『あやしいな』と思って、親が『これ食べるのやめなさい』ということになり、
そこで食べてはいけないものの経験ができる。
家庭料理を通じていろいろなことを経験することで、子供たちの判断力も養われると考えている」

☆土井善晴の家庭料理の原点
●土井善晴さんの話
「私自身が子供のときに大勢の家族の中で食べていた母の味が家庭料理の原点だと思う。
海老フライやローストチキンなど外国の食べものが家庭に入ってきたのが
ちょうど中学一年生のときでとても印象に残っている。
また父が時々手打ちうどんを作ってくれた。
お餅をついたとか、お好み焼きをしたとか、イベント的なことも印象に残っている。
しかし普段は夏といえばナスの田舎煮みたいなものとかをよく食べていた。
当時のおかずは白いご飯がよく食べられるような、濃い味つけになっていたが、
今は、ご飯は少なめで、薄味のおかずがたくさんあって食べるというのが家庭では普通なのだと思う」



VTR1 

料理のレシピは進化する
「おかずのクッキング」34年間の放送の中には、料理のレシピにも数々の進化がありました。
たとえば家庭料理の定番「ひじき」でも。

ここで土井さんは、「新・ひじきの五目煮」を紹介
今までのだし汁ではなく、水で炊き込み、油を極力抑え、生姜を加えることで、
本来ひじきの持つうま味を引き出す。食べるとあっさりした印象。
このように時代の気分に合わせて料理は日々進化している。



スタジオ2

☆料理は日々進化する
●土井善晴さんの話

「料理の味は時代に応じて変わっている。
今の暮らしは、一日の運動する量も減っていたりして、昔と比べると料理の味があっさりしている。
昔は何でもだしをとることが大切だと思われていて、よく味を重ねることをしていた。
味噌汁でもだしの味が濃いほうが良いと昔は言われてきたが、
それでは味噌の風味とけんかしてしまい重い味噌汁になる。
だからだしを水で薄めてやると味噌の風味が活きてくる。
料理をする際に何がおいしいのかを際立たせるためには、
だしを薄くしたり油の量を少なくしたりするほうが,今は食べやすくなっているのだと思う」



VTR2

『おかずのクッキング』のこだわり
こだわり1 構成会議に土井善晴先生が必ず参加
収録1週間前に行われる構成会議には土井先生が必ず出席します。
番組で紹介する料理を通して何を伝えるのか、土井先生はスタッフと共通認識を作っていきます。


こだわり2 番組と連動してテキストを発売
番組と連動してレシピが掲載された「おかずのクッキング」のテキストも発売。
番組からの情報をもう一度確認できるようビジュアルにこだわり、家庭料理の楽しさ・豊かな生活を提案。
新たな書き下ろしコラムもあってこちらも細部にこだわっています。


こだわり3 器で季節感を演出
収録前に用意されるたくさんの器。料理と季節に合わせ、土井先生のお気に入りの器を
奈良県生駒市のお店から毎回お借りしています。毎回、用意する器は100種類以上。
土井先生自ら、選びます。旬の食材にこだわるだけではなく、器で季節感を演出するのが
狙いですが、料理は作るだけでなく、こうやって目でも楽しむもの。「見ていて美しい」は、
「美味しい」に通じるというのも番組の提案なのです。



スタジオ3

☆番組制作のこだわり
●土井善晴さんの話

「季節を暮らしの中に取り入れるということは、料理の中では楽しみがいっぱいある。
そういう季節感を意識するのは素敵なこと。日本は器の選択肢は世界一だと思う。
器を楽しむのは日本人の特権。器を持って食べるのは日本人くらい。器にもTPOがある」


☆若い人に伝えたいこと
●土井善晴さんの話
「料理を普段やらない、基本がわからない人に限って、
いざ料理をするときにクリエイティブなことをやりたがる。
クリエイティブなことが料理だということになると、それはもしかしたら料理で遊ぶことになる。
私たちは食べ物で遊んではいけないし、食べ物を食い散らかしてはいけない、と教えられてきた。
まずは『焼く』とか『切る』とか『蒸す』とか『炒める』といった
料理の基本や先人の知恵をきちんと学ぶべきだと思う。
またこれからはきちんと日本料理を覚えたいという人が増えてくると思う」

☆今後の抱負
「よく『料理は愛情』というが、実は料理することそのものが愛情で、
家族のためにお料理をすることは無償の愛なのだと思う。
つまり家で料理を作ってもらっているということは実は愛されていることなのだと思う。
また一人暮らしの人でも自分で自分の料理を作るというのは、やはり自分を愛することにつながる」

「より多くの人が家で料理を作るようになればいいなと願っている。
そのためにもっと番組を通じて家庭で料理をすることの楽しさ、
豊かさを伝えていきたいと思っている」

●久保田直子(テレビ朝日アナウンサー)の話
「料理をすることで日々の暮らしの中にいろいろな発見や心の余裕が生まれる、
という楽しさがあるので、これからも私はこだわってお料理をしていきたいと思っています」



《第74回 系列24社放送番組審議会放送番組審議会委員代表者会議からの報告》
4月18日に開催されました第489回放送番組審議会で「サンデープロジェクト」について審議されました。
「サンデープロジェクト」は日曜午前10時から放送。1989年の放送開始から今年で20周年目を迎えた
歴史あるニュース情報番組です。

家族形態や生活スタイルの変化、さらにはインターネットの普及によるメディア環境によって、
今は自らの意思で検索をし、接触できる時代になった。
メディア環境が変化しても、テレビでなければ果たせない役割が厳然としてある。
それはやはりジャーナリズム性と、テレビの持つ公共的な使命ではないか。それをとことん追求して欲しい。
単に危機感だけを煽るのではなく、問題の本質をよく人々に知らしめるようにして欲しい。
キー局とローカル局が連携して環境問題の番組を作って欲しい。
グローバルな視点と国内、そして、地域に根ざす視点、そういったものをクロスさせて番組を掘り下げて欲しい。

番組では、テレビをご覧の皆さまからのお問い合わせ、ご要望をお待ちしています。
次回の放送は、7月20日(日)の予定です。