● ● ● ● 6月1日 ● ● ● ●

司会 吉澤 一彦 (テレビ朝日アナウンサー)
島本 真衣 (テレビ朝日アナウンサー)
ゲスト 綿貫 冬樹(テレビ朝日 美術制作センター)

【放送内容】
今回は、テレビ局のもうひとつの顔「アレンジメントスペース」を特集します。
そこは番組のセットや小道具など美術資材の一時保管場所であり、
美術スタッフたちの作業スペースでテレビ局の人も実は知らないひとが多い場所です。
短時間のセットチェンジやさまざまな制約の中、「アレンジメントスペース」を舞台とした、
テレビ番組制作を支える職人の世界に密着します。

VTR−1

「アレンジメントスペース」は、文字通り準備のスペース。
3スタジオ、4スタジオ、5スタジオの3つのスタジオとつながっています。
そこには番組のセットが一時的に保管されたり、
「報道ステーション」で登場する松井やイチローなど
「日本人メジャーリーガー」の巨大人形(一体約100万円!)や
照明さんがスタジオで使用する4メートル50センチの脚立、
セットの土台となる木の箱(箱馬)などさまざまなものが置かれています。

3スタから5スタまでの3つのスタジオは生番組を中心に使用されています。
週末は、セットの撤収と建て込みが同時に行なわれるため、
火事場のような大騒ぎとなります。
金曜午後1時5分、「ワイド!スクランブル」の本番が終了。
この後、怒涛の62時間が始まります。番組終了と同時に、
美術の各パートが一斉にセットの解体作業を始めました。
平日は、ここから朝の「スーパーモーニング」、昼の「ワイド!スクランブル」を
生放送していますが、週末は、2つの番組のセットは解体され、
「アレンジメントスペース」へと運びだされ、保管されます。
限られたスペースを有効に使うため、各番組のセットが
きちんと整列して保管されます。セットを作る大道具さんが必ず履いている、雪駄。
これはセット建て込みや撤収の際、脱いだり履いたりすることが多いためだそうです。
そしてわずか1時間で、スタジオは空っぽに。「アレンジメントスペース」では、
次の番組のセットが優先。
撤収したセットとすれ違うときも、終わった番組のセットは道を譲ります。
スタジオでは月に一回の「朝まで生テレビ!」のセットの建て込みが始まりました。
放送まで10時間以上ありますが、照明を仕込んだり、
カメラ調整やリハーサルなどを行うため、2時間以内にセットを
完成させなければなりません。
一方、この時間、「報道ステーション」と「スーパーJチャンネル」のセットがある
スタジオでは、中学生の生徒の皆さんがスタジオ見学を行なっています。
その後、夕方の「スーパーJチャンネル」の照明セッティングが始まりました。
4メートル50センチの脚立が大活躍しています。隣には
「模型作業場」があります。ここは、ニュースで使う模型を作る工房です。
ニュースの模型は、緊急を要することが多く、短時間での作業となります。
一つの模型が、形や色、雰囲気を伝え、ニュースがわかりやすくなる。
ここに、ニュースを支える職人の仕事場がありました。夕方4時53分。
「Jチャンネル」の生放送がスタート。そして夜7時。本番が終わると、
すぐセットの一部を解体、夜9時54分からの
「報道ステーション」のセッティングにかかります。
注目は、「Jチャンネル」のセットの一部が、「報道ステーション」のセットと合体!
限られた準備時間と、スペースを活かすセットデザイナー究極の工夫でした。
その他にも、様々な工夫を凝らしたセットについて、「報道ステーション」の
セットをデザインした井磧伸介さんに話を伺いました。

○ 井磧伸介さんのコメント(テレビ朝日 美術制作センター)
「セットのイメージコンセプトは『地球を感じる』。ということで
メインキャスター古舘伊知郎さんの意見もあり、その象徴として 24トンの水を入れた。
番組のイメージカラーは、えんじ・深緑・黄緑・黄色の4色に白と決め、
セットにもその色を活かした。当初は植栽を入れるという
セットプランはなかったが、やはり季節感を出した方が、ニュースとしては
良いだろうと植栽、植木、お花を季節ごとに配置し、四季の変化を演出している」

セットの2階へ上がってみました。すると、上はテラスの雰囲気。
見えない部分にもちゃんと気を使っているのがわかりました。
夜、9時54分。「報道ステーション」がスタート。
日付が変わって土曜日深夜1時20分。
「朝まで生テレビ!」の生放送が始まりました。熱い激論が交わされる
スタジオの外、「アレンジメントスペース」は、しばし、休息を迎えていました。

○綿貫 冬樹さん(美術制作センター)のコメント
「『アレンジメントスペース』はたくさんの番組を運んだりするため、
その通り道のスペースを確保しなければならない。 スペースに限りがあるため
各番組のセットをいかにきちんと整理して保管するかについてかなり気を遣っている」



VTR−2

美術制作センター高原篤さんの案内で、巨大エレベーターに乗って
美術倉庫を案内してもらうことに。巨大エレベーターは、
間口3,5m 奥行き 10,4m 高さ 4mの大きさで4トントラックが
そのまま入る大きさです。美術倉庫はテレビ朝日で最も広い倉庫。
多くの番組のセットや小道具、その他、衣装やかつらなども眠っています。
また倉庫の一角では、ドラマのセットを制作。

数時間前には、「朝まで生テレビ」が熱い討論を繰り広げていたスタジオで、
土曜夜11時15分から「スマステーション」が放送されます。
人気番組のセットはいったいどのように作られていくのでしょうか。
作業は、昼12時から始まります。何もないスタジオに、ヘルメットを被った2つの影。
ベテラン美術進行の齋藤直純さんと、この春、入社したばかり、
新人美術進行の森みどりさんです。「美術進行」は、「大道具」「小道具」などの
美術スタッフをとりまとめ、美術の準備をスムーズに進める役割を担っています。
齋藤さんは、「スマステーション」の担当で、新人の森さんは、齋藤さんに付いて
「美術進行」の仕事の流れを勉強します。
セットは「青図」と呼ばれる図面を元に毎回組み立てられていきます。
午後0時15分。「大道具担当」がセットの建て込みを開始。
セットの組み立ては、家作り、ビル作りの迫力。それを短時間で行なうのですから、
事故がないよう注意するのも「美術進行」の仕事です。
真剣な表情で作業を見守る新人森さんですが、初めての現場に圧倒され、
齋藤さんの後を追うのも遅れがち。
「スタジオの掃除は誰がするのか?」という森さんの質問に対し、
齋藤さんは「何事も気がついた自ら率先してやりましょう」とアドバイス。
森さん、大事なことを教わりました。早速スタジオを掃除する森さん。
メインステージのセッティングでは裏側からセットを飾る電球やイルミネーションなど、
電飾の仕込みが行なわれています。電飾の仕込みが終わると、
メインステージの完成です。午後1時30分。続いての作業は、
巨大モニターのセット。通称「モニター担当」の専門スタッフが、
ひとつひとつ積み重ねて、設置します。
午後1時45分。「電飾担当」がセットに大量のライトを仕込みます。
午後2時30分。今度は「小道具担当」の登場。椅子やテーブル、
壁掛けなどでセットを飾り付けていきます。齋藤さんたちも手伝います。
午後3時50分。最後、花などを飾りつけるのは「装飾担当」の作業です。
今日、10度目の掃除を行なう新人森さん。作業開始から6時間で、
ついにセットが完成しました。
そして午後11時15分。「スマステーション」の放送が始まりました。
曜日が変わって日曜午前0時24分、放送終了。
この後、明日の番組のセット作りが控えているため、美術スタッフは、
一時間でスタジオを元に戻します。慌しく作業が始まりました。
撤収を手伝う森さんも、動きに疲れが見えています。
午前1時30分、スタジオは元の空に。隅では、齋藤さんと森さんが掃除をしています。
今回で11度目、ゴミを仕分けて、「美術進行」の最後の仕事が終わりました。
その直後、勢いよく運び込まれたのは、日曜昼放送の
「サンデースクランブル」と、日曜夜放送の「やべっちFC」のセット。
このスタジオから、日曜は、この2本の番組が、放送されます。
2つのセットが競うように組み立てられ、深夜なのに熱気があふれています。
午前4時、2つのセットが完成。
日曜午前11時45分、今週も「サンデースクランブル」の放送がスタート。
そして夜11時30分には、「やべっちFC」がスタート。
放送終了後、「やべっちFC」のセットか解体され、月曜朝から放送する
「スーパーモーニング」と昼放送の「ワイド!スクランブル」の
セットの建て込みが行われます。「アレンジメントスペース」はまさに
美術スタッフの汗や夢で一杯になる場所でした。

○綿貫 冬樹さん(美術制作センター)のコメント
「昼夜問わず美術制作の作業は行っているが、番組を見てもらう人に
喜んでもらうのが、美術制作の一番のやりがいだと思っている」


番組では、テレビをご覧の皆さまからのお問い合わせ、ご要望をお待ちしています。
次回の放送は、6月15日(日)の予定です。