● ● ● ● 3月2日 ● ● ● ●

司会 吉澤 一彦 (テレビ朝日アナウンサー)
島本 真衣 (テレビ朝日アナウンサー)
ゲスト 五嶋 正治(玉川学園 講師)
荏本夕紀子(玉川学園 高等部2年)
小森羅奈(玉川学園 高等部2年)
高橋亮人(玉川学園 高等部2年)
長谷川眞優(玉川学園 高等部2年)
廣瀬華子(玉川学園 高等部2年)
山路ひかる(玉川学園 高等部2年)

【放送内容】

今回は、玉川学園の高校2年生およそ300人の生徒たちによる
週に一度の必修科目の授業を通じて、一年かけて自分たちの
映像作品を作った授業の様子を紹介。
先生や生徒の皆さんにこの一年振り返ってもらい、
どんなことを学んだのか、お話を伺います



VTR−1

番組作りの始まりは、「企画」作り。5分間の番組を作るという制約の中で、
どんなテーマを盛り込み、それをどう表現するか、悩みながらも、
320人全員、一本ずつの企画ができました。完成した企画は、
班ごとでプレゼンし、一本に絞っていきます。
「興味が持てる?」「テーマは?」「メッセージ性は?」激論を交わし、
企画を、1枚1分5枚の絵コンテに まとめました。
ここまで、2ヶ月。6月の授業は、カメラの操作や取材許可の取り方、
著作権など番組づくりの基本的なノウハウ。クランクインは、夏休み。
部活や予備校、忙しい合間を縫って、振り返れば、思い出の“夏”。
こうして撮影した素材を、編集したのは年末。ここでも議論を重ね、
64本の作品がついに完成しました。

○五嶋正治さん(玉川学園 講師)の話
「あくまでも番組を企画し、作るのはプロセスに過ぎない。
今年の一月からは他の班が作った番組を見る“読み解き”の
授業を1ヶ月間にわたって行いました」



VTR−2

読み解きとは、創り手の意図やメッセージを考えることですが、
そのヒントが、みんなで作ったTV番組表。作り手たちが、
100字以内で番組を紹介したものですが、この中から投票で、
人気作品ベスト5を決めるとあって、あの手この手で、魅力紹介。

○五嶋正治さん(玉川学園 講師)の話
「教室に40台のパソコンを設置して、全64作品見られるようにした。
生徒の読み解きの様子を見ていると、口コミで『あの作品が面白そうだ』と
いわれたところにみんな集まって見ていた。
自分たちが作った作品はみんな自信を持っていたと思うが、他の作品を
いろいろ見比べることによって『自分たちの作品はあまりよくなかった』と
気づいたり、反省したりする、そういうことが実は大切なポイントだと思っている。
作品を見た後、全員で人気投票を行います。人気投票の結果は、
今の視聴率と同じというか、必ずしも出来のよい作品が上位にくるとは
限らない傾向がある。」



VTR−3

最終結果の前に、生徒の皆さんの評判が高かった3作品を紹介します。
まず一作目は、「透明人間になったら」。透明人間の出現で、学園は大騒動。
日頃のやりたいことが爆発した作品です。
続いては「クイズ!雑学王!」。このタイトル、どこかで見たような。
この番組、ただホワイトボードに答を書くという作業の繰り返しですが、それが
妙におかしい。
そして「アナタノコトガスキダカラ」。CMの名台詞をタイトルにしたこの作品。
後で気がつく別れた彼女への想い、その切ない情感を音楽に乗せて語った作品です。

○五嶋正治さん(玉川学園 講師)の話
「今回、生徒が作った64作品を見ると、テレビの影響がとても強い傾向にあることがわかる。
とくにバラエティ系の番組が多かった。」



VTR−4

生徒が制作した作品「運命の分かれ道」。
もし、未来に何が起こるか分かっていたら、私たちは、別の選択をしているかもしれない。
そんなテーマを掲げたのが、この作品。テストを前に、怠ける自分。頑張る自分。
2つの選択の結果は、この後、意外な結末が待っています。

○廣瀬華子さん(玉川学園高等部2年)の話
「試験前に勉強する場合、まったく勉強しない場合の2つを見せた後に
地震が起こり、どっちに転んでも結果、リセットされてしまう。これを
見て自分だったらどちらを選びますか、と考えてもらいたい。」

○高橋亮人さん(玉川学園高等部2年)の話
「地震が起きたシーンで他の生徒の『地震だ!』という声や。本人の心
の声で『揺れてるよ!?』という声を入れたらもっとメッセージが伝わ
るのではないかと思う。」

○小森羅奈さん(玉川学園高等部2年)の話
「試験前に勉強する場合、まったく勉強しない場合の2つを見せるとき
に文字や心の声を入れたほうがもっとわかりやすくなると思う。

○五嶋正治さん(玉川学園 講師)の話
「この作品について私はあまり高くは評価していない。撮影する前の強
い思いが、結果として作品に出ていなかった。伝えたいメッセージをき
ちんと作品で伝えられなかった、というのは残念。しかし、うまく伝
わらなかった、と感じることがこの授業の大切なポイントだと思っている。」



VTR−5

続いての作品は「独裁サイト」。世の中、嫌なことばかり。
そんな女子高生の携帯電話に送られてきたのは、嫌なものすべてを消せる
「独裁サイト」。
ログインして、ダレもいない世界を手に入れるのですが・・・。
この作品は、高校生と携帯電話のかかわりを描いた作品です。

○高橋亮人さん(玉川学園高等部2年)の話
「教室の生徒がみんな消えているシーンで主人公がその様子を見て一瞬
笑っているが、あれは生徒がいなくなったことに半信半疑で思わず苦笑
いしてしまったことを狙った。」

○山路ひかるさん(玉川学園高等部2年)の話
「(主人公小林そらを演じてみて)もっと聞き取りやすくセリフを言えた
ら良かったと思う。後で作品を見て、主人公の小林そらになりきるのが
必要だと感じた。」

○長谷川眞優さん(玉川学園高等部2年)の話
「作品を後から見て、カメラアングルや撮り方がワンパターンだと感じ
た。もっと工夫したほうが良かった。」

○廣瀬華子さん(玉川学園高等部2年)の話
「高校生の私たちにとってケータイはとても身近な存在なので作品を見
てとてもリアリティを感じた。」

○荏本夕紀子さん(玉川学園高等部2年)の話
「効果音をうまく使っていて怖さを表現していたと思うが、音楽も使えば
もっと面白い作品になったのでは、と感じた。」

○五嶋正治さん(玉川学園 講師)の話
「作品を作り上げて他の人にいろいろ感想を言ってもらってそこから
何かを感じることが大切だと思う。」
「コンピュータを道具のように使うこと。みんなで力を合わせてひとつの
作品を作り上げること。この2つの観点から生徒が作った2つの作品
『独裁サイト』と『運命の分かれ道』はとても評価は高いと思う。」

○荏本夕紀子さん(玉川学園高等部2年)の話
「自分たちの班はそれぞれ部活動などで忙しく、うまく時間を使って
作業を進めようと思っていたが、編集で予想外に時間がかかってしまって、
仕上がりが完全に納得いくものではなかった。
でも作品作りの過程を先生に評価していただいたことはとてもうれしい。
作品作りを終えて、今度は普段自分たちが見ているテレビ番組の見方が変わった。
放送される番組の裏側の興味が湧いてきた。」

○小森羅奈さん(玉川学園高等部2年)の話
「今まではただテレビ番組を見ているだけだったが、一年間の番組作りを経験して、
今度はドラマを見ていてもカメラのアングルとかに目がいくようになった。」

○五嶋正治さん(玉川学園 講師)の話
「生徒たちは苦しかった時期もあったと思うが、作品を作り上げて
楽しかったといってもらえたら自分としては大変うれしい。
みんなで話し合ったり、ナレーションやセリフを考えたり、番組作りを 通して
みんなが言葉で表現することの難しさをいろいろ感じたと思う。
今、活字離れといわれている日本の国語教育の中で、実践的に言葉で
表現することの難しさを体験した授業なのではないかと思う。」

《第487回 放送番組審議会からの報告》
■2月15日に開催されました第487回放送番組審議会報告では、
  『クイズ雑学王』について審議されました。『クイズ雑学王』は水曜よる8時から放送。
  『今すぐ使える雑学』をキーワードに多彩なゲストとともに学びながら楽しく見られる番組です。
  次のような意見が出ました。
この番組はどこから見始めてもすぐに入っていける。
途中からでも番組をそのまま楽しめる。
司会の爆笑問題が、他局の番組の司会のときのように、
変なツッコミがなくてすごく良いと思う。
あのままの司会が続いたら大変良いのではないか。
いまひとつエキサイティングではない。
緊迫感が出ない。
ひとつは解答者の数が多すぎるような気がする。
この時間帯にふさわしい解答者にしたらよいのではないか。
雑学というのは本当は役に立たないことが雑学なので
あってこれを見ると役に立ちますよ、というのは
売りにならないのではないか。
番組名の割にはどこに狙いがあるのかということがわからない。



番組では、テレビをご覧の皆さまからのお問い合わせ、ご要望をお待ちしています。
次回の放送は、3月16日の予定です。