●米田裕一(編成制作局1部)さんの話
「大学院では自動車のバンパーを支える円柱の金属の研究をしていた。
一方で芸人を目指して『M-1グランプリ』に挑戦するなどしたが挫折してしまった。
それでもナントカお笑いの世界に挑戦したくてテレビ朝日に入社した」
VTR-1
☆企画会議
番組制作の始まりは、週一回の企画会議。スタッフが集まって企画内容を検討します。
メンバーは、プロデューサー、ディレクター、構成作家そしてADさん。
この日打ち合わせていたのは番組の人気企画「からいやつら」。
この企画は5種類の辛さの料理からくじ引きで試食し、辛さを当てるというもの。
会議では笑っていますが、実際は、結構辛くて芸人、泣かせ。
ところで、新人米田さんの姿は?いました!会議室の隅っこでぽつんと、一人!!
おっと、突然、動いた。会議中にどこへ? 資料を持ってきました。
パシリ担当!?これも大事なお仕事。米田さん頑張れ!
☆リサーチ
企画が決まったら、使う料理のリサーチです。
米田さんは、電話で「からし蓮根」のリサーチ中。
飛び切り辛い「からし蓮根」て、あるのでしょうか?「からし蓮根」、辛さの調整は可能。
ただし、東京では手に入らないことがわかり、「からし蓮根」はボツに。
電話だけではありません。
この日の米田さん、あれこれ仕事が山積み。
※ADさんの仕事
スケジュール表作成、会議室予約、資料コピー、書記、後片付け、電話連絡、リサーチ、
資料作成、収録打ち合わせ、出演者駐車場予約、出演者楽屋予約、弁当手配、
収録場所セッティング、買出し、台本コピー、楽屋作り、弁当配り、ゲスト誘導、リハーサル、
収録アシスト、デジタイズ、書き起こし、テロップ原稿FAX、VTR運搬、編集立会い、
ナレーション原稿コピー、OAテープ納品、視聴率表作成などなど
そしてアシスタントの女の子のエスコートもADさんのお仕事。
アレアレ!?米田さんの鼻の下、伸び切っていますよ~~~。
●『くりぃむナントカ』チーフディレクター小田隆一郎さんのコメント
「ADさんの仕事は同時にいろいろな人からいろいろな仕事をふられる。
しかも自分のペースでできない。
何かやっているところに『これやって』と言われる。
自分もADのとき、人にペースを握られて同時進行でいろいろな仕事を
こなすのは実はこんなに難しいことなんだと実感した」
さて、今度は、料理のリサーチの続き。とはいえ、説明も交渉も先輩ADが。
と、いきなり200倍辛い、「ペンネアラビアータ」。試食は米田さんがすることに。
無反応?・・・200倍の辛さ、後からきました!!2人は「ペンネ」でいける!と確信した様子。
●米田裕一(編成制作局1部)さんのコメント
「ようやくお客様気分が抜け『うわっ!くりぃむしちゅーさんだ』というのがなくなってきた。
今はどうやって面白くしているんだろう?とか、ようやく2段階目の面白さに頭がいき始めた。
うれしいというのからだんだん楽しいというか、番組を作る側に頭がシフトしていっている気がする」
☆シミュレーション
リサーチ結果を持ち寄っての検討会議。お題は「ペンネ」と「ユッケ」の二品。
次回の料理は、この2品を実際に試食し、どちらかに決定。
米田さんがプッシュするのは「ペンネ」。ちょっと気になり、ここで、もう一度試食。
チーフディレクターの小田さんが来ました。いよいよ、試食の始まり。
まずは、「ペンネアラビアータ」から。本番同様、くじを引き試食します。
用意した辛さは、1倍から200倍。米田さんの試食。キマシタ!大当たりの辛さ200倍。
しかし米田さんのリアクションを見て小田チーフ、ちょっとイマイチの表情。
では、「ユッケジャンクッパ」はどうでしょうか?真っ赤なスープに、大量の唐辛子。
200倍の料理に当たったのは?奥村ディレクターでした。
食べるなりその辛さにもだえ苦しみ、ついに失神!?
これこれ、このリアクションがコーナーの狙いです。『ユッケ』は料理としては問題なし。
問題は、見た目で辛さがすぐバレてしまうこと。
小田チーフは次回の「からいやつら」を『ユッケ』で行うことに決定。
その辛さを200倍から300倍に上げて、色味でからさがバレないように料理人と
打ち合わせることを米田さんに指示。
そして検討会議のあと、奥村ディレクターから米田くんのリアクションについてツッコミが入りました。
バラエティのディレクターは、やって見せてナンボの世界。
芸人さんの上をいくリアクションが必要だというのですが・・・。
200倍のからさの「ユッケ」を食べてリアクションの特訓。それにしてもマジ辛い!
☆料理人と打ち合わせ
見た目で辛さがバレては、企画が盛り上がらない。
そこで、米田さん、辛さが違っても同じ色味になるよう電話で料理人に交渉です。
米田さんが任された「ユッケ」の色味、果たしてうまくいくのでしょうか!?
●米田裕一(編成制作局1部)さんの話
「料理を食べて、リアクションすることは、カメラさんが撮影する際の重要な練習にもなるので、
平気な顔して食べてはダメ、というのがディレクターの教えだった」
「テレビ局に入社する前はテレビ番組しか見ていないから、例えば、くりぃむしちゅーさんの
番組についたら、毎日くりぃむしちゅーさんに会って収録をしてそのあと反省会をかねて
一緒に飲みに行ってみんなで盛り上がって、夜遅くまで飲んだあと『また明日もがんばりましょう!』
といって別れて次の日もまたくりぃむしちゅーさんと仕事して・・・だと思っていた。
しかし現実的には毎日、制作スタッフはリサーチや会議、シミュレーションなどをやっていて、
実際くりぃーむしちゅーさんに会えるのは1週間に1度だけだとわかった」
「毎日忙しいが休みの日は、家でお笑いのDVDを見て『ここは面白いがここはつまらない』など
ノートに書いたりしてディレクターの真似事のようなことをやっている。
休みなのに仕事のようなことをやっていてそれが自分のリフレッシュ法になっている」
VTR-2
☆制作会議・収録準備
台本が上がってきました。前日会議は、この台本を元に、本番の段取りを確認するもの。
・・・しかし普段は温厚な小田チーフ。今日は、相当、お怒りの様子。
そのわけは先週のロケの失敗。事前のシミュレーションが諸々の事情で出来ず、
結局本番でビルに「ビ・ン・カ・ン」のビル文字を出そうとしたのですがうまくいきませんでした。
シミュレーションを積み重ねて、本番に臨む。これが小田流バラエティ。
この日、小田チーフはシミュレーションの徹底を指示しました。
深夜1時。本番まであと10時間。7人いるAD全員が集合しました。
「あんな怖い小田さん、見たことがない」打ち合わせに熱がこもります。
米田さん、明日の担当は「弁当配り」と「料理人の受付」です。打ち合わせの後に、
収録の準備が始まります。台本をコピー。出演者のための“カンペ”書き。
カンペは、台本をスケッチブックに書き写したもの。これもADの仕事。
カメラや照明、音声などの技術が来る前に、スタジオのセッティング。
控え室に出演者の名前を張り出し、台本などを置いて、楽屋作りが終われば、
やっと事前の準備が終わりました。午前3時過ぎ。ADさんたちが、スタッフルームに戻ってきました。
そして、今日、初めての食事、ハンバーガーをぺろり。
さらに別番組のロケであまった弁当を発見、米田さん、弁当もペロリ。
ハンバーガーが昼食分で、弁当は夕食分だというのですが。午前4時。
本番まであと7時間。米田さん、まだ打ち合わせ中。
●米田裕一(編成制作局1部)さんのコメント
「他の人よりキャリアが浅い分、番組制作のことをわかっていないのは事実。
そのせいで周りの人に迷惑をかけてしまうことがある。でもそこは開き直って
『知らないんだもん。これから覚えていくワイ!』と心の中で思って毎日の仕事を行っている」
これまで気付いたことをメモしたという米田くんの秘密ノート。
そこにあったのは、米田さん、一年間のAD修行の結集でした。毎回、用意する弁当の数。
小田チーフのこだわるシミュレーションの大切さ。
仕事の中で気付いたことが、ぎっしり書きこんでありました。
☆本番当日
本番の3時間以上前にカメラや照明などの技術スタッフが準備を始めます。
こちら、新人AD米田さんは「弁当配り」。たかが弁当、されど弁当、大事な仕事です。
続いて、「ユッケジャンクッパ」の料理人をスタジオにご案内。ここで、「色味」のチェック。
自分が打ち合わせしただけに、気になります。収録前のスタッフリハーサルは、本番さながら。
もちろん、実際に試食します。本番同様、くじ引き。
300倍が当たったのは、米田さんでした。試食した米田さん再び悶絶!?
モンスター級の辛さを食べたタレントの反応とそれをどう撮影するか。
このリハーサルは、その検討をつけるためのものです。いよいよ本番!
米田さん、大声で出演者を呼び込みます。出演者が揃い、米田さん担当の「ユッケジャンクッパ」も
準備できて、収録は予定通りスタート!本番は、全力疾走のノンストップ。
そのために、準備を重ねてきたのです。新人AD米田さん、笑って盛り上げ、無事収録終了。
●米田裕一(編成制作局1部)さんの話
「シミュレーションをやって番組制作する上での失敗がいろいろ見られるのが面白い。
こういう風にしたら失敗する、ということがわかったり、たとえ失敗した企画でも自分だったら
こうしたら出来るのでは、とか考えている。また電話でリサーチしてゼロから仕込んだものが
番組になって、最後編集したVTRを納品するところまで立ち会うことが出来るのは
ADならではの仕事で面白い」
「ディレクターに信頼される一人前のADになるのが近い将来の夢。
もちろんその先にはディレクターとして面白い番組を作るのが夢」
テレビ朝日の地デジ新CMが完成
地デジでは、テレビ朝日は5チャンネル。それを紹介するCMの新バージョンが、
誕生しました。今回のCMは、女性アナウンサーの日常がテーマ。その制作現場を取材しました。
VTR-3
テレビ朝日本社前の時計で撮影するのは、下平さやかアナウンサー。
音楽に合わせて、♪10チャン、5チャンと、歩きながら楽しそうに歌うというものですが、
歩きと歌、双方に気をとられて・・・。
●下平さやか(テレビ朝日アナウンサー)のコメント
「いつもの仕事と違うので勝手がわからなくて難しかったです」
テレビ朝日のセットで撮影するのは、上宮菜々子アナウンサー。
新しい地デジ大使に選ばれ、このCMでも、ラストカットを飾る重要な役どころです。
しかし本番でいきなりNG、緊張のあまり、NG連発。
同じカメラの前でも、普段のスタジオとは、どうも違います。
●上宮奈々子(テレビ朝日アナウンサー)のコメント
「恥ずかしかったです。笑顔がかた過ぎると思って。
いつものスタジオはコメンテーターさんを見たりMCを見たりいろいろあるので
同じところをずっと見てちゃんとセリフも言って手の位置もって考えると緊張してしまいました」
こちら、セットの裏側には、堂真理子アナウンサー。
本番直前、『アナログ10チャン地デジは5チャン』台本の台詞を覚えようとする真っ最中、という設定。
監督から「堂アナウンサーの上司 松苗部長が上から見ているつもりで」とプレッシャーをかけられ、
堂アナウンサー、ハイテンション。必死のあまり、逆にコミカルな動きも。
●堂真理子(テレビ朝日アナウンサー)のコメント
「『アナログ10チャン地デジは5チャン』とずっと言い続けていると
あれっ!?どっちだろうって思えてきちゃって混乱した。
あとは目線だったりとか細かい焦っている表情を出すのがすごく難しいなと思いました」
夜のテレビ朝日前に、おでんの屋台が登場。屋台に感激の大木優紀アナウンサー、
演技も忘れ、おでんをパクリ!なじみの屋台で、ご主人とのやりとりという設定。
なんだ、大木アナウンサー、いつものことですよね。「5チャンネルです!」何気ない会話のように、一言。
しかし、いつもようにはいかないようです。難しい!!
●大木優紀(テレビ朝日アナウンサー)のコメント
「本当にセリフは一言なんですけどその一言をいかに自然に言うか、というのがあれだけ難しいとは思わなかった」
そしてついにCMが完成しました。
※地デジではテレビ朝日は5チャンネル
※2011年7月には完全デジタル化し、それ以後、アナログ放送は見ることが出来なくなります。
地デジ対応のご準備はお早めに。
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