● ● ● ● 1月27日 ● ● ● ●

司会 吉澤 一彦 (テレビ朝日アナウンサー)
島本 真衣 (テレビ朝日アナウンサー)
ゲスト 玉木健之(愛媛朝日テレビ 報道制作局チーフ・プロデューサー)

【放送内容】
愛媛朝日テレビのメディアリテラシー教育
愛媛のテレビ局が初めて取り組む、メディアリテラシー。教えるスタッフも、
参加する女子高生も、初めてのことばかり。初めてづくしに、
てんやわんやの特別授業2ヶ月間。今回は、そんな試行錯誤の日々に密着しました。



スタジオ(1)

吉澤)
なぜ、愛媛朝日テレビがメディアリテラシーに取り組むことになったのでしょうか?

玉木)
民放連でメディアリテラシーの企画を募集しているから、出してみてはどうかと
薦められたことがきっかけです。小さい局がどこまでできるかわからないがやってみようと。

吉澤)
どういった生徒を対象に?

玉木)
県内の高校生に公募をかけて、3つの高校が集まりました。
結果的には女子高生17人となりました。

吉澤)
このプロジェクトはどんな組織で行いましたか?

玉木)
特定の部署だけではなく、全社をあげて取り組もうと考えました。
私がプロジェクトのリーダーを努めました。
最終目標は、四国遍路をテーマにした3分番組を制作し、夕方のニュースで
実際に放送することです。

VTR(1)

道後温泉と夏目漱石の名作「坊っちゃん」で知られる愛媛県松山市にある
愛媛朝日テレビは、1994年設立、社員約60名の若いテレビ局。
愛媛朝日テレビがメディアリテラシーのプロジェクトに取り組み、最初に行ったのは、
勉強会。言葉は知っていても、その意味は何?まずは勉強会から始まりました。
愛媛大生も参加し、今回のプロジェクトに参加する全スタッフが揃い、3日間の研修。
講師は、東京大学の水越 伸先生。メディアリテラシーの意義、目的、何をどう教えるか。
このころ、スタッフの不安は、短期間で、テレビ番組作りのノウハウが
教えられるものだろうかということにありました。
それに対し、水腰先生は、生徒に教えすぎてはいけない。この言葉にホッとしたような、
逆にわからなくなったような・・・勉強会は夜遅くまで続きました。

一ヶ月後、いよいよ、プロジェクト初日。松山商業、済美平成中等教育学校、
松山南砥部分校以上3校、17人の女子高生たちがやってきました。
まずは、テレビの現場の雰囲気になれてもらおうと、実際の番組セットを使っての
自己紹介。続いては、「アイスブレイク」文字通り、初対面の硬さを溶かして
仲良くなろうと、生徒も講師も一緒になって、山手線ゲーム!
実技の第一は、カメラの使い方。教えるのは、スイッチを入れて、録画するという
基本の動作だけ。あえて、テクニックは教えません。
そして実際の撮影。課題は、局内を撮影すること。回していいテープの時間は、5分。
つまり、「取材」を経験してもらおうというのですが、とはいえ、流石(さすが)は女子高生、
いきなり!スタッフもどっきり、社長を直撃。
砥部分校は、局のマスコットキャラクターを見つけると、それを使って、自分たちが登場。
撮影の後は、全員で上映会です。

午後は、くじ引きでテーマを決めて、3分間のミニ番組を作るというもの。
撮影、編集、放送という番組作りの流れを実体験します。
松山商業のテーマは、「社員食堂潜入」果たして、どんな作品になるのでしょうか?
砥部分校は松山名物「坊っちゃんを探せ」。はたして、見つかるかな?
「アナウンサーに聞く」をテーマに引いた済美平成は、愛媛朝日の川越アナウンサーを
取材します。
済美平成は事前に、プロでも噛んでしまいそうな早口言葉を準備しました。
これは、生徒たちのアイディア。早口言葉もオリジナルです。
撮影した後は、ビデオを編集。カットを選んで繋ぎ、3分間の作品にする。
という、初めての編集作業に、皆、四苦八苦。
そんな生徒たちを支え、テレビ局のスタッフとの間を繋ぐのは、愛媛大生の役割。
制限時間がきました。しかし3校中2校が間に合いません。
それだけ編集には時間がかかるということを生徒たちは学びました。
そして未完成ながら上映会が行われました。

スタジオ(2)

吉澤)
この時点ではカメラのことはまったくわからずやったわけですよね?

玉木)
カメラの基本的な使い方を教えただけでした。

吉澤)
でもそれぞれ良くできた作品になってますよね?

玉木)
そうですね。
最低限度教えなければいけないことをやってきてしまったのです。
画と音の使い方がうまいですし、僕らが何年か掛かって身に着けたことが、
最初からできていました(笑)
それゆえ何をこれから教えていけばいいのか悩みました。

島本)
「お遍路」と女子高生ということで合宿を行ったとか?

玉木)普段見かけるお遍路さんのことを、もっと知ってもらおうと
実際にお寺に行き1泊2日の合宿を行いました。

VTR(2)

8月7日、一泊二日の合宿が行われました。
今回の総合テーマである「お遍路」を体験と、取材が目的です。57番札所(ふだしょ)永福寺から、
58番仙遊寺までの2.5キロ、実際に歩きました。
地元とはいえ、「お遍路さん」は女子高生とは無縁の世界。直接話を聞いたり、
気付いたことを写真に撮ったり、最後に、まとめて発表する予定になっています。
第58番札所仙遊寺は、鬱蒼(うっそう)とした木立に囲まれた山上にある古刹。
そこでの修行はまず、座禅。次に写経ですが、願いは・・・恋愛成就。
乙女の本音がついポロリ。

翌日は、午前6時からの朝(あさ)勤行(ごんぎょう)。眠いやら、足が痛いやら。
しかし、心が落ち着いてくるのも、不思議な体験。続いて住職の法話。
お世話になったお寺を綺麗にして、お遍路は、次の札所へ旅立ちます。
生徒たちが実際に「お遍路」を体験して、感じたことは何か?
それを、撮った写真と文章にまとめて発表する。これが合宿の課題です。
発表は、合宿に参加しなかったスタッフの前でチームごとに行います。
発表しているうちに、何を伝えたいのか曖昧なことに気がつき、声が小さくなりました。
このあと、チームごとに番組のテーマを決め。
その前に、愛媛朝日テレビのスタッフたちは、自分たちが感じたことを
番組に盛り込むことの大切さと難しさを伝えたのです。

それぞれテーマが決まりました。松山商業の番組テーマは、「お遍路に咲く笑顔」
済美平成は「お遍路とグルメ」に決定。松山南砥部分校は、
今回の自分たちの体験をテーマに、「お遍路」に対する心の変化をドラマにして、
伝えることにしました。

スタジオ(3)

吉澤)
テーマ絞りには、きっと相当苦労したと思いますが、どんなアドバイスを?

玉木)
松山商業の場合は、「新旧お遍路の違い」をテーマとしてやろうとしていましたが、
下見に行ってみたら、自分たちが考えていたものができないと、
スタッフに相談に来ました。
そこで今回、下見で回ってみて自分たちが良かったと思ったことを整理して
もう一度テーマを考え直してみたらどうか?とアドバイスしました。
そして彼女たちが考えたテーマがあのテーマだったわけです。

吉澤)
玉木さんのお話を聞いているときちんとメディアリテラシーしているな、
と感じますね(笑)
制作過程でのエピソードは?

玉木)
途中で飽きるかもしれないと心配していました。
彼女たちのために、局内にスタッフルームを用意してあげましたのですが、
毎日遅くまで残って企画を考えたり、小道具を作っていたり、
集中してやっていたのにはびっくりさせられました。

VTR(3)

※高校生が作った3分間の番組3作品をダイジェストで紹介。

スタジオ(4)

吉澤)
玉木さんは、2ヶ月、指導されてのご感想は?

玉木)
とにかく楽しかったね、というのがスタッフみんなの感想ですね。
次はどうしようか?という意見も出ましたし。
さらに高校生たちと一緒に何かに取り組む、ということが無かったですから、
生の声を聞けたのは良かったですね。
愛媛朝日テレビを身近に感じるようになったとも言ってくれました。
それは嬉しかったですね。
吉澤)
今後の予定は?

玉木)
今回ほど大規模ではないにしろ、出前授業みたいな形で我々が
学校へ出かけて教えたりしたらどうかという意見も出ています。
今回、関われなかったスタッフも参加できるようにしていければと
思っております。

吉澤)
ありがとうございました。


番組では、テレビをご覧の皆さまからのお問い合わせ、ご要望をお待ちしています。
次回の放送は、2月3日(日)の予定です。