● ● ● ● 12月2日 ● ● ● ●

司会 吉澤 一彦 (テレビ朝日アナウンサー)
島本 真衣 (テレビ朝日アナウンサー)
ゲスト 木村 寿行(放送番組審議会事務局 番組審査室長)

【放送内容】

今回の番組は、第13回「PROGRESS賞」を受賞した素晴らしいドキュメンタリー4作品をご紹介。
「PROGRESS賞」は、テレビ朝日系列24社の放送番組審議委員会が、前年度の4月から今年3月までに
放送された番組の中から優秀な作品を選んだものです。この賞は、テレビ朝日系列24社の番組審議会委員が推奨する
「最高の賞」と位置づけられるもので、放送番組のより一層の質的向上、系列各局の制作力の向上をめざして制定されました。

※「PROGRESS」とは進歩・向上・成長を意味します。
番組制作者の日頃の努力を応援していこうというものです。


奨励賞

テレメンタリー2007「もう一度会いたい・・・犯罪被害者の親が歩いた1533日」
制作 東日本放送


○番組内容
この作品は、娘の死の真相を直接、犯人に問いたい、と民事裁判を起こした
犯罪被害者、曳地(ひきち)正美さん夫婦の1533日の記録です。
加害者との対面を果たし和解に応じた曳地さんは、遺族が蚊帳の外に
追いやられてしまう司法制度への疑問を訴え、活動を始めます。
そんな矢先、癌に倒れ、病の床で、自分たちの想いを一冊の本にまとめました。

●ディレクター 藤井尚弘さんの話
「被害者遺族のおかれている現状を多くの人に知ってもらいたかった。
その中でもがき苦しんだ両親が活動してきた軌跡、司法の壁を
乗り越えていったところを一番見てほしい。」


奨励賞

メ〜テレドキュメント「切り捨てられた被爆〜原爆症認定訴訟の行方」
制作 名古屋テレビ放送


○番組内容
原爆症認定訴訟の原告第1号である甲斐昭さん。
被爆者援護法のもとに国は原爆症認定を行っていますが、
被爆者健康手帳を持つおよそ26万人のうち国が原爆症と認めた人は
わずか2,280人。1パーセントにも及びません。
この作品は、原爆投下直後、救援のために広島市に入り被爆した
甲斐さんらが、国を相手に原爆症認定を求めた戦いの記録。
原爆の爆発の後に広島市や長崎市に入った“入市被爆者”の
実態を明らかにしています。

●ディレクター 安藤則子さんの話
「60年近くたっても原爆の本当の恐ろしさはほとんど解明されていない、
ということを知って『被爆国なのになぜこんなにわからないままなのだろうか、
隠されているのだろうか』ということにすごく驚きました。」


優秀賞

「夢は大人になるまで生きること〜沖縄とモンゴルを結ぶ3000キロの絆〜」
制作 琉球朝日放送


○番組内容
モンゴルにある「沖縄の家」。ここは、沖縄のNGO団体が支援を行い、
親のいない子供たちが暮らしています。彼らは「マンホールチルドレン」。
貧困に陥った両親から棄てられ、マンホールで生活している子供たちです。
彼らを支援しているのが、沖縄のNGO団体の代表、池間哲郎さん。
この作品は、日本とモンゴル、そして、アジアの貧しい子どもたちのために
東奔西走(とうほんせいそう)する池間さんの姿を追っています。

●ディレクター 喜久里逸子さんの話
「モンゴルの子供たちはたとえ貧しくとも親を大切にしたりだとか、
友だちを大切にしたりだとか、といった基本的な心を忘れずに生きている。
そういう子供たちの姿を池間さんは伝えているが、池間さんの活動を通じて
『生きる力』というのをあらためて考えてほしい、と思いました。」


最優秀賞

「指揮者 岩城宏之 最後のタクト」
制作 北陸朝日放送


○番組内容
この作品は、「オーケストラ・アンサンブル金沢」の生みの親であり、
世界的指揮者、岩城宏之さんの晩年18年間を追いかけた記録。
カメラに映ったのは、壮絶な人生でした。1987年、岩城さんは、
10万人に一人といわれる難病を患い、手足に後遺症が残ります。
指揮者としては致命的ともいえる後遺症。
さらに、2度に渡る癌の宣告が岩城さんを苦しめます。
咽頭癌を摘出、手首の皮と肉で、人工の声帯を作り、奇跡の復活を遂げます。
18年間で30回を超える手術を繰り返し、それでも諦めない岩城さん。
さらに、大きな夢に挑みます。70歳を過ぎた岩城さんは、
まだ誰もやったことのないベートーベンの第一から第九までの交響曲を
大晦日の一日で連続演奏しようと考えました。
簡単ではありませんでしたが、ついにその夢を実現させました。
生涯にたった一度伝説を作ったつもりでした。しかし翌年、メンバーから
もう一度、岩城さんとベートーベンの連続演奏会をやりたいという
声が上がり、岩城さんもその熱意に押されます。ところが岩城さんに
思いがけない宣告が待っていました。肺がんでした。
肋骨を押し広げたり切って、右肺の下の部分を摘出。入院を1ヶ月早めて復帰。
その年の大晦日、再び10時間コンサートを成功させました。
肺を切ったことを少しも感じさせない10時間でした。

●ディレクター 北村真美さんの話
「岩城さんは60歳どころか70歳を過ぎて『僕10時間コンサートをやるよ』
とおっしゃった。人生はいくつになっても自分の意思しだいでもう一度自分に
光を当てることを許されているのだと、このとき確信しました。」

プログレス賞 最優秀作品
「指揮者 岩城宏之 最後のタクト」
制作 北陸朝日放送
は、
12月27日(木)10時30分〜11時25分放送予定です。
《第484回 放送番組審議会からの報告》
■10月25日、大分で「第73回テレビ朝日系列24社放送番組審議会委員代表者会議」が行われ、
「放送番組全般」について意見発表が行われました。

(番組・編成について)
最近「見たい番組が減っている」「テレビはつまらなくなった」と感じている人が多いと言われているが
「心に残る」「共感が持てる」「テレビを介したポジティブな人間関係を作れる」ような、質の高い番組作りが今こそ必要。
(報道・情報番組)
各局ともニュース内容が同じ。テレビ朝日だけでもひとつの題材をもっと深く掘り下げる姿勢が欲しい。
(亀田親子問題とメディアの報道姿勢)
亀田親子の傍若無人さは、これまで黙認してきたのにメディアをあげてバッシングに走り出した。
今回は、日本のメディアのあり方を象徴している。
(ネットワーク)
系列局制作のドキュメンタリーなど優れた作品をぜひ全国に向けて放送して欲しい。

■11月16日開催された審議会では、「サンデー!スクランブル」について審議されました。

「サンデー!スクランブル」は、毎週日曜午前11時45分から1週間の出来事をより深く、
独自の取材を加えさらに新しいニュースを先取りしていく情報番組です。

(司会・コメンテーター)
黒鉄さんとテリーさんの相乗効果が、思いがけない感じでノリの空気を作っているところが面白いと思う。
(朝青龍・亀田関連)
朝青龍と亀田親子の問題をみんながうんざりだというのは、試合の後のごたごたをいつまでも取り上げているからだと思う。
(視聴率)
いい視聴率をとるためにはどうすればいいのかというと、我慢をするということではないか。
それが長い単位で見ると最短の方法ではないか。目先のことを考えていると逆に視聴率というのは
失われていくのではないかという気がする。
(全体的に)
最近のニュースやワイドショーは、ものすごく細切れになっているが、この番組は非常にポイントが
絞れていて大変落ち着いて見られる。そして一つ一つをしっかり取り扱ってくれる。

番組では、テレビをご覧の皆さまからのお問い合わせ、ご要望をお待ちしています。
次回の放送は、12月23日(日)の予定です。