● ● ● ● 5月20日 ● ● ● ●

司会 吉澤 一彦 (テレビ朝日アナウンサー)
島本 真衣 (テレビ朝日アナウンサー)
ゲスト 加藤理佐(スタイリスト)

【タイトル】

「番組を陰から支える スタイリストの仕事」

【放送内容】

毎日のように、テレビに登場する、アナウンサーたち。衣装にもご注目。
その衣装は、“スタイリスト”が用意したもので、番組内容に合わせて、毎回準備します。
一見華やかな仕事に見えますが、スタイリストは、センス、そして体力。
なかなか大変な仕事です。今回はその仕事についてご紹介いたします。


スタジオ1

吉澤)
テレビ番組のスタイリストの仕事というのをご説明いただくと。

加藤)
スタイリストとは、俳優やモデル、アナウンサーなどの衣装、
アクセサリーなど集め、実際にコーディネートするまでの職業。

吉澤)
加藤さんのお母様は、日本のスタイリストの草分けと伺っていますが。

加藤)
テレビ朝日で初めてスタイリストという仕事についた人間です。


VTR1

スタイリストの仕事は、どう進められているのか?
加藤理佐さんのある平日の動きに同行しました。
まず訪ねたのは、洋服メーカーのプレスルーム。
ここは、マスコミに貸し出する衣装が置いてあり、いわばショールームです。

ここでは、「題名のない音楽会21」の久保田直子アナウンサーの衣装の準備。
実際のステージで進行する番組だけに、舞台映えも必要と、条件が厳しくなります。

加藤さんの話
「ポイントは可愛らしいこと。」


今回、借りた衣装は5着にもなります。週の頭に借りて金曜日に返却

加藤さんの話
「衣裳難の時期が、年に2回くらいある。その時期が来ると、どこで借りようかと頭を悩まします」


続いて、もう一軒メーカーへ。
ここでは、人気バラエティー、「くりぃむナントカ」に出演している
大木優紀アナウンサーの衣装の返却です。
この日のレンタルと返却が終わり、品川から、今度は六本木の事務所に戻りました。

すぐに久保田アナウンサーの衣装を広げました。組み合わせる靴を決めるためです。
靴はコーディネートの要。「題名のない音楽会21」では、
4足の靴をあらかじめ買い取っておき、衣装に合わせて、使いまわしています。
加藤さんが揃えるものの範囲は?

加藤さんの話
「衣装のほかにインナーやストッキング、靴、アクセサリーなどです。」


単に洋服だけというわけではないのですね。毎日の番組はもっと大変。
スケジュールをやりくりして、レンタルの約束をとらなければなりません。
翌日、向ったのは、昨日アポイントをとった場所です。
今日は、平日早朝の「やじうまプラス」に出演している、島本アナウンサーの衣装です。
どんなコンセプトで選んでいるのでしょうか?

加藤さんの話
「イメージは、朝の番組なので可愛いけど上品みたいなものを選んでいます」


その結果、今回は春らしいパステル調の衣装となりました。
この後、加藤さんはテレビ朝日に向いました。
衣装を選んで、スタイリストの仕事が終わったわけではありません。
局に着いたら、早速、アイロンかけ。

加藤さんの話
「持ってきたときにシワがついているからアイロンは必ずかけます。」


衣装を借りるのは、スタイリストの仕事の、ほんの一部に過ぎないのです。
アクセサリーもスタイリストの仕事。翌日、加藤さんが訪ねたのは、青山の専門メーカーでした。
「題名のない音楽会21」の久保田直子アナウンサーのアクセサリーを選ぶのですが、
合わせる衣装も持参し、トータルコーディネート。

加藤さんの話
「ファッションのイメージとしては、音楽会や、
家族と高級なレストランへ出かけるときに身に着けるものです」


プレスルームにある膨大なアクセサリーから、一点一点選び、衣装と合わせて確認します。
このやり方なら、確かにイメージがわきます。

加藤さんの話
「前は服の色だけを覚えて借りに来ていたのですが、いざ合わせてみると
長さが合わなかったりしてうまくいかなかった」


今回はブルーの服に合わせて、白のネックレスを選んだようです。
なるほど、首周りのアクセントになりますね。

世田谷区にある昭和女子大学人見記念講堂。「題名のない音楽会21」は、
ここで収録が行われます。
今日は2週分の収録です。加藤さんは、台本で進行のチェックをした後、
持ってきた衣装をスタッフと一緒にカメラテスト。
ここで、思わぬ結果が起こりました。

加藤さんの話
「カメラテストをしてもらったら、一着だけ画面にちらつくので
駄目になりました。残りの四着の中から決めてもらいます」


使いたいと思って借りた衣裳でも、こんなこともあります。
結局、5着のうち1着を諦めました。
さて、加藤さん、何やらメモを作っています。これは、ブランドロゴ・・・。

加藤さんの話
「番組の最後に借りてきた衣裳のロゴを衣裳協力という形で
載せてもらいます。その条件でメーカーから服をお借りしているので。」


控え室では、司会の久保田直子アナウンサーがスタッフと打ち合わせ中。
傍らでは、加藤さんが衣装にアイロンをかけ始めました。
本命の2着はもちろん、予備として準備した2着にも丁寧にかけていきます。
どれを使うことになっても、準備はオーケー。
さらには、急な衣装変更にも対応できる、プロの心がけです。

衣装に着替え、ネックレスを身につける久保田アナウンサー・・・。
普段はラフな格好が多い久保田さん、素敵です!
衣装が決まると本番に弾みがつくのは、アナウンサーも同じ。
番組の収録が始まりました!この一瞬が、スタイリスト冥利というのでしょうか。
加藤さんの表情も輝いていました。


スタジオ2

吉澤)
ところで、スタイリストの7つ道具というのがあるそうですが?

加藤) ガムテープはレンタルした靴など傷つけないよう、ソールの部分に貼ったり、
衣裳のほこり取りなどにも使います。
両面テープ、携帯できるアイロン、折りたたみのアイロン台、
裁縫道具 水の入った容器、延長コードなどを用意しています。

島本)
スタイリストさんが本番でどんなことをしているのか、
一番忙しい日曜日の加藤さんに密着しました。


VTR2

午後2時。
新番組の初日は、出演者はもとより、スタッフも緊張のとき。
この日、収録したバラエティー「すくいず!」では、
加藤さんは、久保田直子、大木優紀、両アナウンサーの衣装を担当しています。
大木アナウンサー、しっとりとした衣装ですが、
加藤さんと何やら靴のサイズが微妙に合わず、気になる様子。
加藤さんは、中敷で調整しました。これもスタイリストのお仕事。
この番組は、CGと合成するため、スタジオ内は青一色。
衣装にも、青や赤などが使えないという色の制約があり、衣装を揃えるのにも苦労しました。
それでも、予想外のことがあり、カメラを通しての衣装チェックは欠かせません。

大木アナの話
「番組は色の縛りがあって大変だと思うのですが、そんな中でも
私好みの衣裳を用意してくれているので、いつも感謝しています」


ところがトラブル発生。
久保田アナウンサーが何度も行き来きしているのは、この動きでできるパンツのしわが
CGの障害になっているというのです。まさに想定外。

加藤さんが走り出しました。地下1階のスタジオから、4階にあるロッカーまで。
急いでとりに行ったのは靴でした。ここに予備の靴が保管されているのです。
衣装を変えると靴も変えなければなりません。
想定外にも咄嗟に対応、これぞプロ。グレーのパンツに、今、用意した茶色の靴で、
番組の収録は始まりました。加藤さんも一安心。

「すくいず!」の収録が始まると、加藤さんはスタジオを抜け出しました。
島本アナウンサーが出演する「やじうまプラス」の衣装の準備。
衣装と靴を確認すると、アイロン台を準備、
今夜は担当する生放送があるため、アイロンがけの準備です。
そして向ったのはニューススタジオ。
加藤さんは、夕方のニュース情報番組「ANNスーパーJチャンネル」土日放送分も
担当です。つまり、この日は掛け持ち。
担当は山口 豊アナウンサーの衣裳。
本番直前、山口アナウンサーの衣装を直していきます。山口アナウンサーの衣装は、
すべて買ったもので、10着のスーツを基本に加藤さんが、
毎回、コーディネートしています。
生放送中は、スタジオ脇で、突発の出来事や衣装のトラブルに備え、放送をチェック。
番組が無事終わると、使った衣装は、クリーニングのため、持ち帰ります。

山口アナの話
「衣装はセンスなのですよね。彼女はとてもセンスがいいのです。
それに、アナウンサーというのは、着るもので雰囲気がガラっと変わってしまうのです。
その点はいつも感謝しています」


今度は、加藤さん、ピンクのワンピースを準備しています。今まではちょっと違った感じ。
この衣装は、「やべっちFC」の前田有紀アナウンサーの衣装です。
「ビビットな色の衣装を使いたい」という番組スタッフの意向を受けて選んだ衣装です。
前田アナウンサーキャラクターにぴったり、可愛い感じに決まりました。
番組の演出に合わせながら、出演者の個性を生かすのもスタイリストの仕事です。
本番が始まりました。しかし、加藤さんの姿がスタジオにありません。
今度はどこに?いました。控え室でまたしてもアイロンがけ。
「やべっちFC」場合、本番が始まると、衣装を直す時間がないので、
ここで放送を見ているとか・・・。
エンディグテーマがかかると、加藤さん、またまた走り出しました。今度はどこですか?
再びニューススタジオでした。
「やべっちFC」の後に放送される「ANNスポーツ&ニュース」のキャスター、
荻野志保子アナウンサーの衣装も加藤さん。
衣装はあらかじめ、荻野さんに渡していますが、やはり本番前には最終チェック。

本番が始まりました。
放送開始を見届けると、再び第3スタジオへ向かい前田アナウンサーのフォローへ。
時計は、既に午前1時を回っています。長い一日でした。控え室に戻った加藤さんにも
疲労の陰が…。まだ帰らないのでしょうか?

加藤さんの話
「まだですよ。島本アナウンサーが来るまで待っています。
週に一度くらいは顔を合わせないと」


週のはじめ、加藤さんは、「やじうまプラス」の衣装の説明のために、
午前2時に出勤する島本アナウンサーをこうやって待っているのです。
島本アナウンサーが出社してきました。
番組は毎日早朝のため、加藤さんは本番には立会いません。
その代わりに週の前半の衣装を月曜の朝に、加藤さんと打ち合せをして決めるのです。
午前3時を回る頃、加藤さんの長い一日が、ようやく終わりました。


スタジオ3

吉澤)
スタイリストに憧れる女の子が随分いますが、どうやったら、なれるものですか?

加藤)
スタイリストの学校などで勉強して、まずどの分野で仕事をしたいか雑誌なのか、
テレビ番組などでやりたいのか、先に見極めることが重要です。

また、さまざまな人達と接することが多いのでコミュニケーション能力が必要です。

吉澤)
加藤さん、今日はありがとうございました。


番組では、テレビをご覧の皆さまからのお問い合わせ、ご要望をお待ちしています。

次回の放送は、6月3日(日)の予定です。