スタジオ(1)
吉澤:
私たちは今、テレビ朝日1階のアトリウムにいますが、ご覧下さい!
W杯の日本代表チームを応援する巨大な垂れ幕!
「絶対に負けられない戦いが、そこにはある!」。
矢島:
このテレビ朝日からの熱いメッセージに負けることのない熱い魂、熱い解説でおなじみの松木安太郎さんをお迎えして、「W杯ドイツ大会直前スペシャル対談」をお送りします!そして、サッカー実況でもおなじみテレビ朝日の田畑祐一アナウンサー、
角澤照治アナウンサーにも加わってもらいます。
田畑アナウンサーは、日本代表の応援ジャージで登場!
「もうすっかり気分はドイツ!」こちらも熱い!
田畑:
(立ち上がって)松木さんの熱さに負けないようにこれは漢字で日本列島の
地図が書いてあるんですよ。
ジーンズにもサッカーボールの刺繍が入っています。
矢島:
気分はドイツということですね!
吉澤:
日本代表メンバー23人を最初にご覧になった時の印象は?
松木
残念ながら落ちてしまった選手もいましたが、バランスの良い選定だと思います。
吉澤:
ジーコ監督は「大きな大会の貢献度から選んだ」と語ったが、
ここから見えるジーコ戦略は?
松木:
ワールドカップという舞台を考えますとそういう経験豊富な選手がひのき舞台で活躍できるというジーコ監督の考えもあるんでしょうね。
吉澤:
シンデレラボーイとして注目された巻選手、経験は浅いが、彼の良さは?
松木:
運動量が豊富、高さがある、そしてゴール前に必ず顔を出しますよね。その辺が彼の良さだと思います。
吉澤:
中田、中村、大黒…、カギ握るのは、やはり海外組ですか?
松木:
そうですね。しかし90分というゲームの時間を考えると、後から出てくる選手が、
体力的にも精神的にも、プレー的にも安定した選手が必要になってくると思います。
そういった意味では、大黒選手の存在は大きいですね。
吉澤:
海外組と国内組のコミュニケーションは問題ないのか?
Jヴィレッジでは中田(英)選手に対して他の選手が積極的に話しあうという場面が見られました。
松木:
それはすごく良いことだと思います。合流してまもない選手でも、仲間がどういうプレーヤーかというのは、お互い分かっているはず。ですから、チーム全体としてどうやって攻めていくのか、どうやって守っていくのか、そういうコミュニケーションはこの合宿で充分取れたのではと思います。
吉澤:
それはジーコ監督が前々から言い続けてきたことが形になりつつあるということですか?
松木:
合宿でのジーコ監督の表情を拝見すると相当満足度が高かったと思います。
吉澤:
高校生相手に22点取っても素直に喜べないのでは?(笑)
松木:
いや、高校生とはいえ22点取ったって事は相手のチームに対してプレッシャーかけますからね。大きいですよ。
吉澤:
点を取るということが重要ということですね。
VTR(1)
日本代表が1次リーグで対戦する3か国をご紹介しておきましょう!
○オーストラリア
日本代表チームの第1戦は、6月12日のオーストラリア戦。
オーストラリアは、1974年の大会以来、実に32年ぶり2度目の本大会出場!
しかし選手の顔ぶれは、ほとんどがイギリスなど、ヨーロッパでプレーする選手たち。
監督は前回大会で韓国をベスト4に導いた名将ヒディンク。
日本にとっても油断のならない相手。
○クロアチア
日本代表チームの第2戦は、6月18日のクロアチア戦。
クロアチアは、日本と同じ3大会連続出場!98年にはワールドカップ初出場でいきなり堂々の3位!
前へ前へと猛烈な勢いで攻めまくるチームで、
3月には、ワールドカップの優勝候補、アルゼンチンを下し、勢いに乗っている。
レギュラーは、ほとんどが国外組で、
前線には、長身で決定力のある選手がそろっている。
○ブラジル
日本代表チームの第3戦は、6月22日のブラジル戦。
ブラジルチームは、世界代表と呼べるほどの超豪華メンバー。
しかも、戦力の充実ぶりもまた他の追従を許さない。
2002年、ワールドカップの王者!超一流選手たちの華麗なるテクニックやパワーは、観客はもちろんのこと対戦相手までも魅了する。
攻守のバランスにも問題はなく、6度目の世界一を目指すブラジルに死角は見当たらない。この巨大な壁に日本代表はどう立ち向かっていくのか。
スタジオ(2)
●予選突破は?どう勝ち抜くか?
吉澤:
さて、グループFはきびしい組み合わせ、という見方もありますが、
松木さんなら、この戦いをどう勝ち抜いていくか?
第1戦はオーストラリア戦。
松木:
3戦あるんですけど、まず日本チームが考えなければならないのは第1戦目ですね。
ジーコ監督は1戦目は3バックでやると言っています。
攻めのパターンは加治選手、三都主選手相手のゴール近くでプレーできる時間が長いと、日本にとってはすごい良いと思いますね。
中田選手や福西選手が攻撃に参加出来るようになると充分勝機はあると思いますね。
吉澤:
オーストラリア戦、まあこれは勝ちます!
松木:
もちろん勝ちます!
吉澤:
そして第2戦はクロアチア戦。
松木:
これは日本にとって、とても重要なゲームになります。
吉澤:
でもクロアチアは強いです!
松木:
強いですけど、サッカーはやってみなければ分からないですからね!(笑)
吉澤:
メンバーは?
松木:
もしオーストラリア戦でうまくいけば、そのまま変わらないと思います。
それよりもどういう布陣でどう戦うかということのほうが重要ですから、
玉田選手、大黒選手、小笠原選手、小野選手、巻選手と・・・!
FWの選手がどんどん出てきて、点を取って勝つという、
そういう展開を期待したですね。
吉澤:
そして第3戦はブラジルです。
松木:
まあ、ブラジルは別物の考えていいのではないでしょうか(苦笑)
田畑:
そこまでは勝ち点4というのは取っておきたいですよね。
吉澤:
ブラジル戦あきらめないでどうなりますかね?
松木:
ブラジルが2勝して日本と戦うと・・・僕の頭の中にはしっかり入っています。
日本がそれまでに勝ち点4で引き分けと・・・どうですか?
一同:
(笑い)
吉澤:
松木さんに日本代表が勝ち抜くための3つのポイントを挙げていただきました。
ポイント(1)
|
「先取点」 国際試合の場合先取点を先に取ったほうが有利。 |
ポイント(2)
|
「90分トータルでのゲームマネージメント」 ゲームは90分ある。
立ち上がりの1分で点をとっても取られても、残りの89分のゲームを落ち着いてどうチームが戦うか、これはベンチも含めてですね。 |
ポイント(3)
|
「熱い魂(最後まであきらめない)」 最後まであきらめないというチームのペースを守ることが大切。 |
VTR(2)
サッカーの面白さは、勝ち負けや、
選手たちのプレーだけではありません!
実況アナウンスや解説が、サッカーの魅力を伝える
大きな役割をしています。
スタジオ(3)
●サッカー中継の舞台裏
吉澤:
田畑アナ、角澤アナがW杯ドイツ大会の予選を勝ち抜かせたという思いがしないでもないですが。
田畑:
いいえ、一緒に応援していた思いが通じたという感じではないでしょうか。
角澤:
共に戦ってきたという気持ちはありますね。
吉澤:
松木さんとのコンビもお互いツーカーではないですか?
角澤:
綿密な打ち合わせをやっているんじゃないですか?ってよく聞かれるんですけど、
松木さんとは普段から・・・
松木:
そうですね、お菓子食べながら・・・
角澤:
お酒のみながら、やっているという感じですね。(笑)
吉澤:
実況する人間も、ああ、この試合だめだなって思ってはいけないのですよね?
田畑:
アジアカップの時に、松木さんには本当に勉強させていただきました。
松木さんが「まだあきらめるな、まだあきらめるな」って。
松木:
そのときスタッフの方が僕のことをしら~っとした顔で見るんですよ。
まさかそんなことが起きないだろうって。
VTR(3)
2004年に中国で行われたアジアカップ準々決勝日本対ヨルダン戦。
一対一の同点で前半後半が終了。勝敗の行方はPK戦に突入。
ところが中村俊輔、三都主が立て続けにミス。
しかし日本代表の守護神川口が、スーパーセーブを連発。ヨルダンを下し見事、準決勝に進出したゲーム。
最後まであきらめない松木さんの魂が乗り移ったかのような、幕切れでした。
スタジオ(4)
●サッカー中継の舞台裏
田畑:
実は負けたらその日の夜に荷造りして、中国から日本に帰らなければいけなかったんですよ。
実況している間に荷造りの事を考えていましたから(笑)
そう思いながら喋っていたら、松木さんが「いや、まだ分からない!まだ分からない!」と言っていて、結局ヨルダン戦に勝ってしまった。しかも次のバーレーン戦も一人退場させられて、ロスタイムまでで1点負けていたんですよ。それでも逆転して勝っちゃった!選手もそうだが、実況する自分たち自身も絶対にあきらめてはいけない。
吉澤
角澤さんが実況すると、最終的には涙の声になると・・・!?
一同:
(爆笑)
吉澤:
あれは興奮と高揚と喜びですか?
角澤:
たぶん昨年2月の、日本対北朝鮮戦のことを仰っていると思うんですけど(笑)
VTR(4)
昨年2月に行われたW杯アジア地区最終予選対北朝鮮戦の実況は、
角澤アナウンサーと解説 松木さんのコンビ。日本中が感動の渦に包まれました。
角澤:
あの時は大黒選手がゴール決めた時に声が「あ~~~~~っ!」という感じになってしまって、しかも松木さんが間髪入れず、「おおぐろ~~~~~っ!」
松木:
あの時はくらっときました。酸欠状態みたいな(笑)
僕の場合、解説というよりもベンチに座っているコーチみたいな感じですから。
角澤:
解説兼応援団長みたいな存在ですよね。
吉澤:
熱い実況熱い解説、これが日本代表を強力に後押しするという、我々が見ているとそういう感じがします。
松木:
ほんの少しでも可能性があるうちは我々の気持ちがチームに伝わってくれると良いです。
サッカーは1点を取る重みが違いますから、その時の感激度は大きいです。
吉澤:
そうはいっても我々は放送に携わる人間、冷静さも失ってはいけないと思うのですが、そのために色々資料も作っていらっしゃるとか。
田畑さんはパソコンをいつもお持ちだとお聞きしましたが。
田畑:
パソコンの中には資料があって、選手などの全データが入っている。
試合の場合はそれをプリントアウトして解説の方にお渡しします。
吉澤:
角澤さんもパソコン派ですか?
角澤:
私はアナログ派でノート。 このノートの選手などのデータが。ポイントは赤ペン
です。
なぜ赤ペンかと言いますと、赤というのは集中力と闘志を掻き立てる色だと、
先輩
の飯村アナウンサーから教わりまして、それを10年間続けています。
でも僕しか読めませんし、下手すると自分でも読めなくなってしまうことがあります(笑)
溜まったノートは後々の実況に役に立つこともあります。
吉澤:
これを身に着けていれば日本は勝つんだというものはありますか?
田畑:
僕はハンカチ一枚でもいいから、日本代表グッズを身に着けるようにしています。
一緒に戦っているぞと言う気持ちで。
角澤:
僕は実家が日蓮宗のお寺なんで、数珠を持っていきます。
吉澤:
松木さんは、中継の際必ずお持ちになるものはあるんですか?
松木:
ジャケット類は気にしますね。
矢島:
勝ちジャケットがあるんですか?
松木:
僕的にはあるんですね。これを着てれば負けないみたいな。
大体勝率が高いのは1着なんですけど。
●サッカー実況の難しさ
吉澤:
サッカー実況の難しさは、ほかのスポーツと比べてどんなところですか?
田畑:
基本的にはフィールドが広いところで行われる競技ですので、
放送席がメインスタンドの上のほうにある。しかも陸上のトラックが間に挟まって
いる場合が多い。遠い選手は100mも先にいる。そこで行われている攻防を見分ける難しさ。
吉澤:
選手の動きは分かるでしょうけど、誰だっていうのは分からないのでは?
角澤:
基本的には背番号なんですけど、背番号が見えない場合ドリブルしている動きや
体の特徴でも見分けられなくてはいけない。
矢島:
モニターと実際の試合、どちらを見ているのですか?
田畑:
基本は実際の選手たちです。
広いエリアでボールが動くので、自分の目で常に全体をとらえていなくてはいけない。
モニターには頼らない。
角澤:
基本は肉眼で見ているんですけど、プレー中に今ボール持っている選手以外の人がモニターにアップで写ることがある。
テレビを見ている人はモニターの画面を見ているので、その選手のことについて触れなくてはいけない。
テレビを見ている人の視点にも立たなくてはいけないところが難しいところ。
吉澤:
野球などと比べると、「間」も違いますよね。サッカーは45分常にボールが動いてま
すよね、その辺は?
田畑:
難しいです。一瞬も気が抜けない。目を離した隙に何かが起こるということがあります
から。
吉澤:
松木さんは解説する立場からいかがですか?
松木:
テレビを見ている人はその画面から流れる情報しかないので、そこをまず中心にしなければいけないなと思っています。
あと、ゲーム中、カメラさんがぱっと撮った映像にこちらもすぐに反応したり、私が喋ったことに対して、カメラさんほうが反応してくれたりと、サッカー中継もチームワークがあってはじめて、良い放送がお届けできるのではないかと思っています。
お年寄りの方や初めてサッカーを見たという人たちにも分かるような解説、放送を心がけています。皆さんどうもありがとうございました。
吉澤:
今回のテレビ朝日が中継する「クロアチア戦」のテーマは、もちろん!「絶対に負けられない戦いがそこにある。」このテーマで実況します!
2006FIFAワールドカップドイツ大会日本対クロアチア戦は
日本時間の6月18日日曜日 よる10時キックオフです。ぜひお見逃しなく!
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