■スタジオ(1)
○吉澤
「関東エリアの12の小さな支局は、どのような重要な役割を
果たしているのでしょうか?」
○加藤センター長の話
「事件・事故・災害など、ニュースな現場にいち早く駆けつけることができる。
他社に負けないよう、ニュースの情報を視聴者の方々にいち早くお届けする。
それが視聴者の信頼を得ていくためには重要なこと。
地域に常に密着し続けていることで、より広く、深く取材することができる。」
■VTR(1) ●東京城東支局
人口1300万人の大都市東京。この東京エリアの城東地区をカバーしているのが、
JR綾瀬駅の近くにある「城東支局」。小さなマンションの一室。
支局員はひとり。中里(なかざと)真也さん、31歳。独身。
この城東支局の特徴は、小菅にある東京拘置所の取材が多いことです。
●中里さんの話
「事件・事故はもちろん、東京拘置所が近いため、拘置所周りの取材が多い。
ライブドアの堀江被告が逮捕された時は、拘置所にすぐに行った…。」
日常は支局で待機。事件などが発生した場合、いつでも取材に飛び出せる態勢をとっています。
●中里さんの話
「ニュースは、常に観ている。他局のニュースを観ることのほうが多い。
他局が何をやっているか、気になる。」
夕方のニュースが終わった午後7時。本社から、何も連絡がなければ帰宅します。
中里さんが向かったのは、お弁当屋。
中里さんの晩ごはんは、ほとんど毎日お弁当。これには、理由があります。
突発的な事件や事故が起きた時には、すぐ支局へ戻り取材に
出なければならないため、食堂などでゆっくりと食事をすることは無理だからです。
●中里さんの話
「24時間 365日食事中でも、入浴中でも、事件、事故、発生すればすぐに出動
の連絡が本社から入る。」
「携帯は命です。肌身離さず持っています。」
※(食事中に実際に本社から取材要請の電話が鳴る)
本社から緊急の取材要請です。企業の不正輸出がらみで、
荒川区にある会社に警察の家宅捜索が入るとの情報。
すぐに、現場に向かってくれ、とのことです。カメラを取りに、急いで支局へ戻ります。
帰宅時間も重なり、渋滞のなか、現場へと急ぎます。
●中里さんの話
「道路状況は夜ですので、昼間よりはまだいいんですが…。」
支局を出て15分ふたたび、本社から連絡が!
●中里さんの話
「撤収します。警察の家宅捜索が終わってしまったので取材は行かないことになりました。」
こういうことも、しばしばあるそうです。
1月25日。
この日、二日前に逮捕され、東京拘置所に拘留されたライブドアの堀江被告が、
拘置所を出て、東京地検に向かうという情報が入ってきました。
中里さんが現場に着いたのは、午前6時半。中里さんが、まず始めたのは
カメラポジションを決めること。 決定的瞬間を逃さないためには、 なるべく良いポジションを押さえることが不可欠。
この日は、本社からもう一台のカメラが出ることになっており、 二台分のカメラポジションを押さえる必要がありました。
●中里さんの話
「今日は読めないので、待つしかないですね。」
Q,いつもは、ひとりきりの取材。このよう場合、トイレはどうしているのでしょうか?
●中里さんの話
「途中では、いけないから、張り込む前に2、3回行って、体調を整えていく」
応援のカメラクルーと合流。取材の段取りなどを確認。
応援のカメラは、正面からとらえるポイント。中里さんは、車をより近くで狙える門のワキのポジション。
午前8時半。拘置所の門が開き、車が出てきました。さらに、このあと、同じような車が次々と続きます。どの車輌に堀江被告が乗っているのかわかりません、
それらしい車は、全て撮ります。
この日の朝の気温は、1度。寒さのなか、忍耐の取材が続きます。
●中里さんの話
「車内がカーテンで覆われているので、誰がどの車に乗っているかわからないので、片っ端から撮っておかないとまずいです。」
気は抜けません。カメラは担ぎっぱなし。拘置所前の信号が赤になった時だけが、
ほっと一息つける瞬間です。
取材した映像は、衛星中継車を使って、昼のニュースに間に合うように、すぐに本社へ送ります。
拘置所の門から最初の車が出ておよそ4時間。カメラを担ぎっぱなしだった中里さんは、応援のカメラマンに代わってもらい、お昼ごはん。
普段はひとりの取材なので、食事をする時間もないそうです。
午後4時ごろ。地検からバスが帰ってきます。もちろん一台もらさずに撮影。
本社取材部から、現場撤収の指示が入りました。
中継車は本社へ帰ったため、中里さんは、千住にあるテレビ朝日の伝送基地へと向かいました。
テレビ朝日の伝送基地は、30階建てマンションの屋上にあります。
夕方のニュース番組「スーパーJチャンネル」に間に合うように、取材した映像を六本木ヒルズのテレビ朝日へすぐに伝送します。
●中里さんの話
「時間に余裕がある時は、ここから送ります。」
伝送した映像が、夕方のニュースに。
10時間の取材は、8秒間の映像で放送されました。
●中里さんの話
「あわただしくニュースの時間に間に合わせて
それが放送につながった時は、すごい達成感があります。
」
■スタジオ(2)
○吉澤
「中里さんはいつもお弁当
それにしても、ひとりでやっているって大変ですね。」
○加藤センター長
「車の運転から現場での撮影、本社との電話連絡、素材を送る、トイレも控えなけれ
ばならない、
ひとり5役6役も兼ねなければならない、という意味では大変な労力だと思います。」
○吉澤
「事件、事故は、いつ起こるかわからないという精神的なプレッシャーも
相当あると思います。」
■VTR(2) ●群馬県前橋支局
群馬県前橋市。前橋駅から歩いて10分ほどの県庁舎の5階に、
各局合同の記者クラブがあります。
テレビ朝日・前橋支局のスタッフもここに常駐しています。
この記者クラブを舞台に、各局が取材を競い合っています。
記者クラブの入っているこの県庁舎の隣は、警察署。事件、事故などの情報をいち早く知ることができます。
ここは映像の伝送基地にもなっており、取材したものは、ここからテレビ朝日の本社へすぐに送ることができます。
群馬県は、栃木、埼玉、長野、山梨などの多くの県に囲まれており、周辺の県の取材も広範囲にカバーしているという大変に忙しい支局です。
●支局長 久保さんの話
「衛星中継車が配備されているので、近県各地の事件、事故、大きなものがあ
ると衛星中継車で現場へ行きます。」
2年前の中越地震では、発生直後に、前橋支局の取材クルーが
衛星中継車で中継しながら、十日町まで移動。テレビ朝日の取材としては、第一報と
なりました。
そして、三宅島の島民が一時帰島した時は、中継車と共にフェリーに乗り込み、
島の現状を伝えました。
昨年暮れに、山形県で起きた羽越(うえつ)線の脱線事故も現場から生中継。
さらに、大雪のニュースが多かった今年は、新潟の大雪の被害状況を伝えるなど、
広範囲な取材活動をしてきました。
この日、群馬県警から入ってきたのは、交通事故で死亡者が出たという情報。
すぐに県警に連絡、ニュースとして取材するかどうか判断していきます。
●久保支局長
「サイレンの音を聞くとどうしても気になる。警察へ電話してみたり、消防署に電
話してみたり。常に頭の片隅にある。今、何かあったらどうしよう…。取材に行か
なきゃあ、と」
前橋駅のすぐ近くのマンションの一室に、テレビ朝日の前橋支局があります。
この日は、須藤さんと山田さんが、カメラ二台を持って、衛星中継車で、取材へ出まし
た。目的地は、群馬県片品村で開催される尾瀬冬季国体の開会式の取材です。
開会式には、秋篠宮さまがいらっしゃる予定で、紀子さまご懐妊報道直後の話題性
のあるニュースとなりそうです。
ふたりはさっそく会場へ。
●山田さん
「まずは、現場を見ておこうと思って。ロケハンです。」
ステージ近くは、山田さんが担当することに。しかし、いきなり問題が…。
指定されたカメラ位置からでは、秋篠宮さまの表情が撮れそうにありません。
さらに、時間が細かく区切られ、その都度、カメラも移動の指示が。
もう一台のカメラ担当の須藤さんは、秋篠宮さまの到着の様子をおさえることに。
会場に、秋篠宮さまのご到着です。
秋篠宮さまご到着を撮影したあと、カメラ位置をすぐに変えなければなりません。
そのポジションまでいっせいに走ります。選手の入場を受け、またまた、カメラ位置を移動。
取材の目的である秋篠宮さまの開会のご挨拶も撮ることができました。
その映像は、衛星中継車を使って、すぐにテレビ朝日本社へと送られました。
前橋支局の
3人は、とにかく現場が大好き。
山田さんや須藤さんは、支局の仕事にどんなやりがいを感じているのでしょうか。
●山田さんの話
「前橋支局で仕事をしているにもかかわらず、群馬県内だけではなく、三宅島へ行ったりするので大変だが、 事件の最前線に行けるということが一番の魅力」
●須藤さんの話
「無駄の積み重ねで何かひとつできるということが多いので、無駄の部分を大事にしていかないと肝心な時にいい取材ができない。
そのへんのところを地道にやっていくことが大切。」
■スタジオ(3)
○吉澤
「それにしても、新潟県や山形県など、周辺の県まで広範囲にカバーして、大変に忙しい支局ですね。」
○加藤センター長の話
「衛星中継車が配備されていることが、大きな理由になっております。
テレビ朝日のエリア外で事件や事故が発生した場合、取材や中継といった手段で
そこから映像を送らなければならない。とにかく初動取材を頑張ってもらい、
本社から応援クルーが到着するまで踏ん張ってもらえればと思っている。
生放送が増えていくなかで、衛星中継車の役割がますます大きくなり、重要な支局と
なっている。」
○吉澤
「地の利を生かしてくれ、ということですね」
■VTR(3)●大島支局
東京都伊豆大島。 伊豆大島の象徴、三原山が噴火したのは、およそ20年前。
この噴火がきっかけで、テレビ朝日の大島支局が生まれました。
そして、現在、毎年、関東地方に上陸する台風の最前線取材をしているのが
大島支局。実は民宿のなかにあるのです。
民宿の経営者で、大島支局の支局長でもある白井伸明さん。
と、言っても支局員は白井さんひとり。民宿を経営するかたわら、毎年起こる台風の
最前線での中継や、事件、事故、季節の風物詩などの取材に飛び回ります。
民宿のなかの一室。雑然とした雰囲気のなかに、取材の機材が置かれていました。
この日の取材は、年に1度行われている「椿まつり」の取材。メインイベントの「椿の女
王コンテスト」が行われます。
支局から、車でおよそ20分。会場の都立大島公園に向かいます。
会場に到着した白井さん。まずは、祭りのシンボルである椿の場所を確認。
さらに関係者から「椿の女王コンテスト」の内容を取材します。
●白井支局長の話
Q,局から取材内容のリクエストは?
「リクエストがある場合もあるが、ほとんど自分で取材。映像と取材内容を合わせて、局へ送る。」
大島には、テレビ朝日だけではなく、各テレビ局の支局があります。
他局の支局員は、白井さんの仕事ぶりをどう見て
いるのでしょうか。
●NHK大島支局員 秋広さん
「なかなか真面目でいい男。積極的だし。この間も仕事をしすぎて、ハシゴから落ちた。」
ハシゴから落ち、肋骨を骨折して入院。1か月ほど休んでいた白井さん、この日は
久々の仕事再開です。
島の伝統的な衣装を身にまとった、参加者がステージに
勢ぞろい。椿の女王を決めるコンテストが始まりました。
白井さんも、島の魅力を少しでも伝えようと精力的にカメラポジションを移動。
白井支局長、大島の花、椿とコンテスト参加者をからめて撮影を始めました。
そして、今年の女王が決まり、取材も終了。
取材を終えた白井さんが向かったのは、大島町役場。テレビ朝日の伝送基地は、
この町役場にあります。夕方のニュースに間に合わせるため、
ここから、東京の本社へと取材した映像を送ります。
取材した映像を確認しながら、テレビ朝日へ伝送を開始しました。
●白井さんの話
「反省することが多い。1カット、1カットが長すぎた」
白井さん、ひとつのシーンを長く撮りすぎてしまったようです。
これで仕事が終わったわけではありません。支局へ戻り、取材内容の原稿をまとめま
す。
書き上げた原稿は、本社の取材部デスクへファックスで送ります。そして、この日
の夕方のニュース、「スーパーJチャンネル」で白井さんが撮った映像が放送されまし
た。
●白井さんの話
「嬉しいですね。編集の方がうまくやってくれたので、良い画になったんじゃないですかね」
■スタジオ(4)
○吉澤 「今回は、“椿の女王コンテスト”という、のどかな感じの取材をご紹介しましたが、
大島というと台風の時期になると結構忙しいですよね。」
○加藤センター長
「白井さんはもう20年くらい支局で活躍していますが、台風の時は体を張っての取材
が多いですよね。しかし生まれ育った場所でもあるので、その辺りは注意しながらや
っていますし、頼りになります。しかも大変のどかな島ですから、この20年のあいだ、
殺人事件が1件しかなかった。
○吉澤
「この大島の支局のように、変わったところでは、成田空港にも支局がありますね。」
○加藤センター長
「ここは成田空港だけを取材対象に支局を置いています。
VIPや、有名人などの出国、入国の様子は、そのときの日本の世相を反映するもの
ですから大変重要なニュースのひとつです。
さらに空港内は取材制限がありますので、撮影の際は、空港サイドや航空会社との
交渉など、コーディネーター役を務めることが重要な仕事となっています。」
○吉澤
「どうもありがとうございました。」
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