■取材VTR(1)
電波の送信の流れ
テレビ朝日から放送される番組やCMは、テレビ朝日内のスーパーマスター室に集まり、ここから映像や音声の「電気信号」を東京タワーへと送っています。スーパーマスター室の役割は、放送の「送り出し」と「監視」。「送り出し」とは、放送する番組を決められた時刻通りに「東京タワー」や「系列局」へ送り出すことです。番組とCMは、あらかじめインプットされたプログラムによって自動的に送出されます。その映像や音声に問題がないかをチェックし、東京タワーから送信されている「電波の状態」に問題がないか、365日24時間体制で監視しています。
○スーパーマスター室 森田英之さんの話
「テレビ朝日の最終段階の場所になるので、番組やCMはここから東京タワーへいくだけ。ここでトラブルが起きると、必ず放送事故になる。テレビ朝日の信頼を損なうことのないように、常に心がけている」
テレビ朝日から送り出された「電気信号」は、東京タワー内にある「送信所」に届きます。ここを保守・管理しているのが、佐野さんたちの「送信グループ」です。一度に多くの視聴者に見ていただくためにはこの送信所で2つの作業をしなければいけません。ひとつはテレビ朝日のスーパーマスター室から送られてきた映像や音声の電気信号を「電波」という形に変えることです。もう一つはその電波を関東一円に届くようにパワーアップし、ケーブルを伝わってタワーの上部にあるアンテナへと送ることです。ケーブルは、電波が伝わりやすいように銅で出来ています。輪切りにすると中は空洞。とても不思議な感じがします。そして、東京タワーから送信された電波は、関東にあるおよそ100か所の中継局を経由して、関東エリアの家庭へと届けられます。
■取材VTR(2) 東京タワーのアンテナの保守・点検
矢島アナウンサーが東京タワーの高さ250mの特別展望台からさらに上に登ります。関係者以外には、誰も知らない世界。矢島アナウンサーは、その高さにビックリ。電波を遠くまで届けるには、この高さが必要なんだと、実感。上を見上げるとデジタルアンテナが見えます。
デジタルアンテナは、2003年の12月に完成。直径13メートル強、高さ11メートル。紅白に彩られたリング状になっています。白い部分から、テレビ朝日の電波が送信されています。アナログアンテナは、さらにその上、約320メートルの高さにあります。
- 東京タワーの秘密(1)
- Qなぜ、333メートルなのか?
「関東平野に電波を送信するのに必要な高さが333メートル」
およそ50年前、地震の多い国に建てられた333メートルの東京タワーは、その技術の素晴らしさとともに、世界に衝撃を与えました。
- 東京タワーの秘密(2)
- Q東京タワーの重さは?
「約4000トン。4人乗り乗用車のおよそ3500台分」
- 東京タワーの秘密(3)
- Qきれいなライトアップの1日の電気代は?
「電気代は、1日あたり2万4000円~2万5000円」
電波を正常な状態に保つために、1年に1回、3日間かけて、東京タワーの保守・点検作業が行われます。
アンテナメーカーの作業員が行うのは、320メートルの高さにあるアナログアンテナの清掃作業です。
今回、上で作業の様子を見守る送信グループの佐野さんに番組スタッフが同行。デジタルアンテナがある260メートルの高さから清掃作業の様子をビデオカメラで撮影することにしました。
しかし、このあと思ってもみなかったアクシデント発生!なんとアンテナの内部は、強い電波のためにビデオ撮影が不可能でした。その頃、作業員のみなさんは、高さ320メートルのアナログアンテナがあるところにいました。アンテナの清掃は、すべて手作業で行っています。
そして東京タワーの保守・点検作業はさらに続きます。
放送終了後の深夜1時、作業が始まりました。アンテナのケーブルをハンマーで叩き、何か確認しているようです。さて、この作業、いったい何を点検しているのでしょうか。
○佐野 慎さんの話
「ケーブルの結合部分を叩いて、つなぎ目がちゃんと接続されているか確認している。ゆるみが出ていると、送信所のほうで影響がわかる」
アンテナの結合部分の点検作業は、320メートルの高さまで、およそ26か所で行うそうです。深夜になり、ぐっと冷え込んできました。佐野さんも、作業を見守るため上へと登っていきました。やがて降っていた雨が雪に変わりました。作業を終えた佐野さんが、ようやく下りてきました。作業員も下りてきました。
午前4時15分。東京タワーの送信所に佐野さんの姿。佐野さんは点検作業が終わったことをテレビ朝日のスーパーマスター室に報告。東京タワーから出た電波に異常がないか確認する佐野さん。
そして、午前4時53分、この日の放送が無事始まりました。放送画面をじっと見つめる佐野さん。
当たり前のように届く電波は送信グループの地道な作業によって支えられている。
○佐野 慎さんの話
「アンテナの保守・点検は例年、装置が安定していて比較的雨が少ない冬に行っているが、今回は雪に降られて相当厳しい作業になった」
■取材VTR(3)
電波の受信の流れ、中継基地の保守点検
神奈川県の標高1252メートルの大山にテレビ朝日の「受信中継基地」があります。
主に東京・神奈川から送られてくる電波をここで中継してテレビ朝日へ送信しています。
テレビ朝日送信グループの鈴村高幸さんと秋元典史さんの2人が、一年に一度行われる保守・点検のため「大山基地」に向かっています。登り始めて10分経過。いきなり休憩。真冬のこの時期に2人ともTシャツ一枚に。でもまだ余裕はありそう。50分経過。山頂は、はるか彼方に見えます。だんだん無口になっていく2人。
○鈴村さん
「テレビ局に入社して、まさかこんな所を歩くとは思ってもみなかった。」
受信基地は、関東一円のすべての電波を中継しなければならないので高い場所に設置されています。そして登りはじめてから1時間半、ようやく山頂に到着。
山頂の二人、電波談義で盛り上がる
○秋元さん
「最高にいい場所ですね」
○鈴村さん
「どこからも見通しのきく場所は、電波を中継するにはいい場所になる」
そして「大山受信中継基地」に到着。今回は、鉄塔の上のアンテナが正常かどうか、電源が正常に動いているか点検をします。現場で合流したアンテナメーカーの点検作業員が、26メートルの高さにある受信アンテナを点検。二つのアンテナは、回転して全方向から電波を受信することができます。
受信アンテナの歯車をグリスアップして回転をなめらかにします。テレビ朝日からリモコンでアンテナを操作するために電気系統のひとつひとつを慎重に点検していきます。そして建物の中でも点検作業が行われていました。狭い建物の中には受信装置がビッシリ。すべてリモートで動かすために電気系統も慎重に点検します。万が一停電した時もバックアップ用の発電機がすぐに作動するか点検。どうやら問題なさそうです。機材の保守・点検がすんだら次はテレビ朝日本社との中継チェック。
テレビ朝日の回線センターと電話。
海外や日本全国からの素材は、最初にテレビ朝日の回線センターに送られてきます。回線センターも24時間対応でたくさんの素材を同時に受けることが出来ます。関東一円からの電波は途中障害物が多いため大山、筑波、池袋、東京タワー、森タワーなどの「中継基地」を経由して回線センターに送られてきます。大山基地の鈴村さんは回線センターと電話。テレビ朝日回線センターから、大山基地のアンテナをリモコンで操作。電波の中継テストを開始しました。
※電波の流れ
江ノ島情報カメラ→大山基地→テレビ朝日回線センター
そして、大山基地を中継した江ノ島情報カメラの電波がテレビ朝日回線センターに無事に届きました。大山基地でも、電波の中継を確認。そして、大山基地での最後の仕事、それは・・・神社で向こう一年の放送の安全を願うこと。
○佐野 慎さんの話
「受信中継基地は、遠くはなれた場所で事件や事故、大きな災害が起きた時に中継して番組素材をテレビ朝日に送るという大事な役割を果たしている」
「今後も電波を安定して家庭に送り届けるために引き続き機器の保守・点検を行っていく。
また地上デジタル放送は現在、関東エリアの90パーセントを超える約1500万世帯で見ることが出来るが、さらにエリアを拡大していく作業を送信グループとして続けていきたい」
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