● ● ● ● 1月15日 ● ● ● ●

司会 吉澤 一彦 (テレビ朝日アナウンサー)
矢島 悠子 (テレビ朝日アナウンサー)
ゲスト 川淵 三郎 (日本サッカー協会キャプテン)

〜新春対談〜川淵三郎
番組内容
3大会連続3度目のワールドカップ出場を決めたジーコ監督率いるサッカー日本代表。
昨年12月には組合わせ抽選会が行われ、対戦国が決定、ますます期待が高まってきました。
今回は、Jリーグ発足から今日まで、サッカーだけではなく、スポーツ界全般にわたって貢献してきた川淵三郎さんに、サッカーからテレビまでの幅広いお話をうかがいます。



吉澤 昨年12月ドイツW杯の組み合わせ抽選会が行われました。
現地に行かれましたが組み合わせの結果の感想はいかがでしたか?

川淵 まあまあというところですね。C組、アルゼンチン、オランダなど強豪国がいる
ここにセルビアモンテネグロが入ったので一安心というところですね。
B、D、E組も出来れば避けたかった。結果的にここも避けることが出来た。
残るは三組、「ブラジルのF組に入るかもしれないよジーコ」って言った。
結果的にF組に決まった時、「え〜っ」てふたりで顔見合わせて笑った。
ジーコは日本語で「ダイジョブ、ダイジョブ」って言ってましたから、 少なくとも最悪のグループではなかったと思う。

吉澤 我々からすると、ブラジル、クロアチアもオーストラリアも強いと思うのですが。

川淵 皆さんブラジルが3連勝すると思っている方が多いと思いますが、引き分けることもあるだろうし、負けることもあり得るでしょうから、日本も3連勝は無いにしても、予選突破は難しいことではないと思います。

吉澤 ジーコ監督にとっては、2度目の母国との対戦になるわけですがー。

川淵 抽選会の前にブラジルの監督と一緒に食事をして、一緒になりたくないという話をしたらしいです。
でも、ブラジル以外の対戦国がオランダやスペイン、ポルトガルだったら話も違ってくるでしょうが、この組み合わせならば、ベスト16も狙えなくはないと思っています。

吉澤 ドイツW杯1次リーグの展開予想は?

川淵 オーストラリア代表はプレミアリーグで活躍している選手も多いし、ヒディンク監督(前韓国代表監督)ですから、並たいていの相手ではないなと。
しかし、このチームに勝てなければ、最悪でも引き分けでないと予選突破は難しいでしょうね。
まあ、第1戦が勝負だと思うし、ジーコもそう思っているでしょう。
1勝1引き分けなら最高と言っていいのではないですか。

吉澤 日本代表のキーマンは?

川淵 やはり、中田英が日本代表の中心選手として欠かせない存在ですね。
チームを鼓舞し、言うだけのことはやる。守備にしろ、攻撃にしろ、常にボールに触る回数が、どの試合でも多いのは、彼ですよね。
そういった意味で、彼がトップコンディションで、ワールドカップを戦ってほしいと思います。
また、中村選手がセルティック(スコットランドリーグ)で非常に良いプレーをしていますね。そして稲本選手が(プレミアリーグで)レギュラーとして頑張ってますから楽しみです。

吉澤 中田英選手に関しては昨年12月イギリスでお会いしたそうですがー。

川淵 はい。ちょうど僕の誕生日の日でね、シャンパンと花束をホテルに贈ってくれてすごく感激いたしました。
「抽選会楽しみですね、どこと当たるか楽しみですね」と言っていました。
そして「まだまだチーム内がコミュニケーションが取れているとは思わない。
もっと選手同士が主義主張を押し出さないとダメだ」と言っていました。
僕は中田英が、もっとチームに波紋を投げかけてくれるくらいのほうが、ひいてはチームのレベルアップにつながると思っていますので、どんどんやってくれと彼に頼みました。

吉澤 そのほか、横浜の久保選手や、平山選手(ヘラクレス)などの出番はあるのですか?

川淵 久保選手待望久しいというか、ジーコ監督は久保選手を待っているみたいですね。今度のキャンプには、呼ぶんじゃないですか。
今のチーム状況っていうのは、決め手にかけるというか、決定力不足というものを皆さんも認識していると思いますが、久保のヘディングシュート、高さ、左足のシュート、スピード、左利きというのは相手に脅威を与えますので久保の存在っていうのは、チームの攻撃力を変える可能性を秘めているわけです。
そして平山選手もね、このごろオランダで点取ってますよね。
ビデオなんかで見ていると結構上手くなっているんですよね、速くなっているし。だから彼は大ダークホースというか、ジーコのFW構想の中に入っているかも知れません。
僕としては、そういう、彗星のごとく大活躍してくれる選手が1人か2人出てきてほしいと思っています。


年を重ねるごとに高まるサッカー人気!
昨年も、次々とビッグニュースがファンを熱狂させましたが、 なかでも一番は、ドイツワールドカップアジア最終予選を見事1位で通過して、世界で最初に本大会出場を果たしたこと。 その後のコンフェデレーションズカップ、東アジア選手権などを含めて、日本代表は20試合を戦い、11勝6敗3分けという戦績を残しました。川淵キャプテンに、昨年の日本代表チームの戦いぶりを振り返っていただきます。


吉澤 2005年を振り返って印象に残っていることは?

川淵 予選は何が起こるかわからないので、むしろ1次予選のほうがいやでしたね。
オマーン戦に負けたらそれで終わりでしょう。それが凄いプレッシャーで、それを突破した時点で最終予選は2位でもいいという気安さはありましたね。
最終予選の対北朝鮮戦、ロスタイムに大黒がようやく1点取って、勝ったあの試合に象徴されるように、楽な試合は一つもなかったですね。
終わってみれば、5勝1敗という楽勝のような感じでしたけれども、僕としては、1戦1戦ハラハラドキドキの連続で、安心して観られたのは、第5戦の北朝鮮戦、残り3分で大黒が2点目を入れたあの3分間だけでした。

吉澤 その試合も無観客試合、日本代表にとっては前代未聞のことでしたよね。

川淵 僕が驚いたのはスタジアムの外で、日本のサポーターに応援してもらったいたでしょう?あれを観て感激しましたね。スタジアムに入れないということが、分かっているのに、ここまで応援してもらえるというー。
スタジアムの中まで応援している声が聞こえるんですよね。頭が下がる思いでした。
それが、大黒のゴール、バーレーン戦の勝利に繋がったと思っています。

吉澤 東アジア選手権では、アテネ世代をはじめとした、若い選手を上手く起用しましたね。

川淵 第1戦で北朝鮮戦に負けましたよね。
しかし、普段ジーコ監督は選手のこと一切非難しないんですよね。
ふたりで話しているときに僕が「あの選手が、あんなミスして負けたんだよな、しょうがないよな」と言ったら、「いやそうじゃない、あれは選手が悪いんじゃない、彼らは能力が高いんだ」って言うんですよ。
そういう風に僕が仕向けても、絶対悪口を言わない。かばうんですよ。
選手に対して信頼と敬意を持っている。これは驚くべきことです。
そう思っているだけにジーコは、あの第1戦の北朝鮮戦の戦いぶりには我慢ならなかったんでしょうね。
それがあって、次の試合で、全部若手にがらっとメンバーを変えたのは、ジーコ監督の、怒りそのものがメンバー交代に出たと思うんですよね。

吉澤 ジーコ監督ってどんな方なんですか?

川淵 日本人に似た性格を持っていますよね。情が厚いところもあるし。 しかし、ジーコは負けることが大嫌いなんですよ。
練習中のミニゲームでジーコ交えて試合をしても、自分が入っているチームが勝つまで止めないんだから(笑) ともかくも負けず嫌い、遊びにしてもなんにでも。
東アジア選手権第2戦の中国戦は負けてもいいから若手を使おうと思ったわけではなくて、若手を出しても勝てると思っているから、若手を出しているのですよね。
今野や阿部祐樹なんかは、その期待に応えてフルパワーで頑張ってくれた。
チームをがらっと変えても勝てるっていうことは、日本のサッカーの底辺が広がってきている、その証明だと思います。

吉澤 日本代表のキーマンは?

川淵 やはり、中田英が日本代表の中心選手として欠かせない存在ですね。
チームを鼓舞し、言うだけのことはやる。守備にしろ、攻撃にしろ、常にボールに触る回数が、どの試合でも多いのは、彼ですよね。
そういった意味で、彼がトップコンディションで、ワールドカップを戦ってほしいと思います。
また、中村選手がセルティック(スコットランドリーグ)で非常に良いプレーをしていますね。そして稲本選手が(プレミアリーグで)レギュラーとして頑張ってますから楽しみです。

吉澤 中田英選手に関しては昨年12月イギリスでお会いしたそうですがー。

川淵 はい。ちょうど僕の誕生日の日でね、シャンパンと花束をホテルに贈ってくれてすごく感激いたしました。
「抽選会楽しみですね、どこと当たるか楽しみですね」と言っていました。
そして「まだまだチーム内がコミュニケーションが取れているとは思わない。
もっと選手同士が主義主張を押し出さないとダメだ」と言っていました。
僕は中田英が、もっとチームに波紋を投げかけてくれるくらいのほうが、ひいてはチームのレベルアップにつながると思っていますので、どんどんやってくれと彼に頼みました。

吉澤 そのほか、横浜の久保選手や、平山選手(ヘラクレス)などの出番はあるのですか?

川淵 久保選手待望久しいというか、ジーコ監督は久保選手を待っているみたいですね。
今度のキャンプには、呼ぶんじゃないですか。
今のチーム状況っていうのは、決め手にかけるというか、決定力不足というものを皆さんも認識していると思いますが、久保のヘディングシュート、高さ、左足のシュート、スピード、左利きというのは相手に脅威を与えますので久保の存在っていうのは、チームの攻撃力を変える可能性を秘めているわけです。
そして平山選手もね、このごろオランダで点取ってますよね。
ビデオなんかで見ていると結構上手くなっているんですよね、速くなっているし。だから彼は大ダークホースというか、ジーコのFW構想の中に入っているかも知れません。
僕としては、そういう、彗星のごとく大活躍してくれる選手が1人か2人出てきてほしいと思っています。


川淵三郎キャプテンは、アジアをはじめ、世界のサッカー界の振興にも力を注いできました。
昨年11月、その功績が認められ、ダイヤモンド・オブ・アジア賞を受賞。


吉澤 ダイヤモンド・オブ・アジア 賞受賞おめでとうございます。

川淵 チェアマンとしてのJリーグ成功と日本サッカー協会キャプテンとして、アジアをはじめとしてサッカー発展に貢献したことが高く評価されたと思います。
そういった意味から、もっともっとアジアのサッカー界に大きく貢献しなくてはいけないと思っています。


日本プロサッカーリーグ「Jリーグ」が発足したのは、15年前。
生みの親、川淵さんたちが「Jリーグ」で目指したのは、地域密着型のスポーツ。
協会やチーム、選手、そして地元の熱心なサポーターたちの努力もあり、アジアを代表するプロリーグになるまでに成長。
日本サッカー界の現状と今後のプランについてうかがいました。



吉澤 Jリーグがなければ、日本代表がW杯出場もなかったと思いますし、W杯日本開催も無かったと思うのですが。

川淵 それは明らかにそうと言えますね。 そして、日本代表が強くなったことによって、テレビの放映権料がAFC(アジアサッカー連盟)の大きな財源となって、そのおかげで様々な活動が出来るようになりました。
日本のサッカーがここまで発展していなかったら、アジアのサッカー界というのは財政的にも豊かではなくて、いい運営も出来なかったでしょうね。

吉澤 そんな中、昨年「2005年宣言」を出されましたね。

川淵 10年後のサッカー界はこうしますよ、2050年には、もう一度日本でW杯を開催してそこで日本は優勝しますよ、という宣言を内外に出しました。
ただスローガンで出しているわけではなくて、そうするためにはどうすれば、具体的に計画を立てています。
日本だけではなくて世界に対しても宣言したわけですから、これを皆で共有していき実現したいと思っています。

吉澤 この15年間、川淵さんが言われ続けてきたことが少しずつ実現してきていますね。

川淵 今、地域密着といえば、誰もが理解していただけますが、以前はなんの事だかよく分かってもらえない、校庭の緑化って言っても、そんな難しいこと出来るわけがないと。ですが、今、小中学校で約1000ヶ所以上の芝生の校庭が出来ましたからね。やはり言い続けていくことが大切です。
Jリーグ設立当初「全国に100のチームを」と言ったら、何をばかな事をと言われました。 今やJリーグは30チームですよね。それ以外にJリーグを目指す地方のクラブが40も50もあるとなると、何年後、何十年後には100チームになることは間違いないと思います。ですから「私たちの言ってきたことは、 実現出来ているでしょう?」と言いたいです。


昨年、埼玉スタジアムで行われたドイツワールドカップアジア最終予選、対北朝鮮戦の視聴率は47、2%という驚異的な平均視聴率を記録! サッカーは今やテレビには欠かせないビッグスポーツとなりましたが、その他のスポーツはどうなのか?
川淵キャプテンが常日頃考えているスポーツとテレビの関係についてうかがいました。



吉澤 サッカー日本代表の試合は高い視聴率を記録しましたが、プロ野球などは低迷しています。
このあたりはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。

川淵 Jリーグがスタートした当時、プロ野球の視聴率というのは、20数パーセント 多い場合は30パーセント近くありましたよね。
サッカー、Jリーグの場合はそんなに高い視聴率は取れないと思いましたが、10数パーセント取ることが出来た。合わせて50パーセント近くの視聴率があったんですよ。
スポーツに対して興味を持って頂ける方々が半分近くいたわけですよ。
先日のフィギアスケート中継やトヨタカップ合わせても、30パーセント強の数字だった。
そこまでスポーツに対する視聴者層というのはここ何年かで落ちてるんですよね。

吉澤 しかしJリーグしかり、プロ野球しかり、地元局で放送される中継は視聴率が高いですよね。

川淵 これがね、Jリーグの目指すところなのです。
テレビとしては思っている方向に行っていると思うのです。
たとえば新潟で中継やると20パーセント以上の視聴率を取ったり、仙台でも高い視聴率を取ったりと、もう全国で高い視聴率を、という時代じゃないと思うんですよね。
地域性、福岡のソフトバンクホークスの中継なんかは20パーセント以上取ったり、楽天イーグルスだって地元で高い視聴率を持っている。
しかしその他の地域では視聴率が上がらない。これは当たり前の話でスポーツの地域密着というのは、そうあるべきだと思っています。

吉澤 昨年Jリーグの観客動員数が史上最多を記録しました。

川淵 リーグ戦だけに限っていえば、J1で約500万人J2で約200万人と、合わせて700万人以上のお客さんがスタジアムへ足を運んでくれました。
日本代表戦も合わせれば、900万人くらいの観客数になります。
ここまでなるとは夢にも思っていませんでしたし、本当にありがたいことだと思います。


ドイツワールドカップ大会を控え、超多忙の川淵キャプテン。
今年の抱負は…。



吉澤 今年の抱負をお聞かせ下さい。

川淵 もちろん今年はドイツW杯が一番注目を集めると思いますが、この4月から福島県で中高一貫教育を行うんですよ。
これはサッカーのエリート教育だけではなく、人間的にも立派な大人に育てていこう初の試みです。
これをどうしても成功させたい!
これは僕の夢の始まりであり、意義のある年にしていければいいと思っています。




番組では、テレビをご覧の皆さまからのお問い合わせ、ご要望をお待ちしています。

次回の放送は、1月29日(日)の予定です。