千葉大学教育学部附属小学校6年3組の子供たちは、地元の商店街の人たちに依頼されて商店街を活性化するためのPR番組を作ることになりました。依頼主は、千葉大学の敷地に隣接する「ゆりの木商店街」の元会長 海保 真さん。「商店街として一度も発展したことがない。このさびしい街を、いい街にしたい」と、地元の若い力に期待しています。
PR番組制作の依頼を受けて、子供たちは5つの班を作りました。テーマも自分たちが決め、プロデューサー、ディレクター、カメラマンなどの役割も分担しました。リサーチのために訪れた「ゆりの木商店街」では、子供達は初めて経験することばかりでハプニングの連続。「ゆりの木商店街」の方々や担任の向井先生の前で「番組内容」のプレゼンテーションを行った際には、各チームの企画内容の甘さがそれぞれ明らかになりました。
撮影に入る前に行われた、プロのカメラマンやアナウンサーの講義。吉澤アナウンサーからのメッセージ「間違えてもいいから、台本に頼らずにその時思ったこと、感じたことを自由に話すこと・・・その方が相手に伝わりやすい」は、子供たちにとっては理解できても、実行することはなかなか簡単なことではありませんでした。そしてついに撮影の1日目を迎えました。
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【撮影】
撮影は3日間行われました。1日あたりの撮影は、およそ1時間。
撮り残しをするわけにはいきません。果たしてうまくいくのでしょうか。
「ゆりの木商店街・全体PR」チーム
商店街の元会長、海保 真さんに街を案内してもらいながらその魅力に迫る企画を考えています。
撮影1日目は、増田ディレクターが仕切るべきところを責任感が人一倍強い、小守谷プロデューサーが仕切り始めて現場は混乱。さらにカメラトラブルも重なり、結局1カットも撮れませんでした。
・向井先生の話
「計画を遂行していく上ではリーダーが、強力なリーダーシップをとって全体をよく見ながらチームとして一つの動きをすることが大切です」
撮影の遅れを取り戻さなければならない「ゆりの木商店街・全体PR」チーム。
スタッフの役割分担をきちんとして作業を進めることが大切なのはわかっています。しかし、より良い作品を作る気持ちが人一倍強い小守谷プロデューサーは、撮影2日目も黙って見ていることができません。この先が心配です。
海保さん経営の美容室の前でリポーターの脇田くんが、「ゆりの木商店街」の一番の特徴である「地域通貨」について海保さんに尋ねるシーンの撮影が行われようとしています。公道での撮影のため、手が空いている人が、通行人をうまく誘導すべきなのですが、カメラの前を自転車が1台、そしてもう1台通り過ぎて行ってしまいました。せっかく脇田くんと海保さんが頑張ったのにこれでは撮り直しです。
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「畳屋さんに密着」チーム
リサーチや撮影などですでに4回も「榎本畳屋店」を訪れていて、子供たちと榎本さんとはコミュニケーションがかなりうまくとれている様子。榎本さん自身も撮影のアイデアをいろいろ出しています。ところが「いらっしゃいませ!とここでペコペコあいさつしてください!」と川村ディレクターが、榎本さんにお願いしたところ、突然事件が起こってしまいました。
「お客さんが目の前にいるなら当然“いらっしゃいませ“とあいさつするけれど、誰もいないところで“いらっしゃいませ”というのはおかしい。自分は役者ではないし、演技なんかできない!!」と頑なに榎本さんは川村ディレクターの願いを拒否。子どもに対してどこまでも真っ直ぐな榎本さんがおっしゃることは正しい。でも川村ディレクターは、“いらっしゃいませ”と軽くあいさつするシーンがどうしても必要だったようです。
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「ゆりの木商店街のおしゃれなショップ紹介」チーム
フラワーアレンジメントの教室とハンドメイドのかばん屋さんを取材して商店街の魅力に迫ろうとしています。リポーターの前田さんは、お客さんがいる前でリポートする際に緊張のあまりNGを連発してしまいました。
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「グルメリポート」チーム
サポートの大学生が、リポーターの村岡さんをリラックスしてより良いリポートが出来るようにと盛り立てています。結果、充実した撮影が出来たようです。
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「憩いの空間“コーヒーショップ 古時計”」チーム
マスターのコーヒーへの情熱と、こだわりのインテリア小物を紹介してお店の魅力をしっかり伝えることにしています。
撮影前日、照明の金瀬くんは自宅で照明機材を自分で作っていました。研究熱心な彼がどうしても撮りたいのは、コーヒーの湯気。これがうまく撮れれば、コーヒーの美味しさがうまく表現できます。アレコレと実験を繰り返し、そしてついにその方法を見つけました。
・金瀬くんの話
「コーヒーカップの斜め下から照明を当てるとコーヒーの湯気がうまく撮れる」
翌日の撮影本番。いつもなら個性の強いプロデューサーとディレクターの女子2人に押され気味の金瀬君ですが、この日は違っていました。自信満々で照明をコーヒーカップの斜め下から当てると見事コーヒーの湯気を照らし出すことに成功しました。
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「ゆりの木商店街・全体PR」チーム
撮影最終日。海保さんの美容室の店内を撮影する段階に入っていました。
まずは、リポーターの脇田くんが宮嵜(みやざき)店長に「ゆりの木商店街」について質問するシーンのリハーサルです。脇田くんは、宮嵜店長とはこの日が、初対面のせいかすっかり緊張して固まってしまい、質問する言葉がなかなか出てきません。そんな脇田くんに増田ディレクターと上宮アナウンサーの2人がリポートのアドバイスをしました。
<リポーター脇田くんヘのアドバイス>
1.マイクのフォローをきちんとする
2.固まらずにリラックスする
3.周りをよく見て感想を言う
4.話を聞き終ったらお礼を言う
果たしてうまくリポートできるのでしょうか。
本番が始まると、脇田くんは落ち着いて話を聞きマイクフォローもきちんとして、さらに3つの感想(1.明るい店内ですね。 2.宮嵜店長も明るい人ですね。 3.40軒以上あるゆりの木商店街はすごいですね)を言い、最後に『ありがとうございました』とお礼を言いリポートを終えました。脇田くんのリポートの出来具合に小守谷プロデューサー他スタッフも大喜びです。
そこへ担任の向井先生がやって来て「このチームの進行が一番遅れている。残り少ない時間で全てを撮りきるにはどうしたらいいのか、みんなで考えて撮影を進めてください!」とプレッシャーをかけます。
慌てて次の撮影現場へ向う「ゆりの木商店街・全体PR」チーム。残り時間はあと10分しかありません。お店の外観を20カット以上、さらに街の魅力のひとつである商店街のお花をいくつか撮影してなんとか終了時間ギリギリで終えることが出来ました。
ホッと一息の、増田ディレクターと小守谷プロデューサー。
安心したのもつかの間。最後の最後で、またまたトラブルが発生してしまいました。
カメラの西村くんが先ほど撮影したばかりの、お店の外観の映像を誤って消してしまったのです。これには向井先生もビックリ。撮影時間はとっくに終了していましたが、仕方がないので再び撮影することになりました。
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・向井先生の話
「今回は、商店街の人たちから本気で仕事を依頼されています。それをちょっとした不注意で映像を消してしまった、では済まされない。仕事というのはとても大切なものだし責任あることだから、この先、二度とこういうことが起きないように気をつけてください」
いろいろな事がありましたが、3日間にわたる撮影がようやく終わりました。
・阿部 学さんの話
「“ゆりの木商店街のおしゃれなショップ紹介チーム”は撮影前から仕上がりのイメージをみんなが持っていた。だから撮影でもチームワークが良くて役割分担がきちんとされていてとてもスムーズだった」
・山田 美奈子さんの話
「“グルメリポートチーム”は、最初の段階では具体的な計画が全然立てられていなかった。
だから撮影1日目は全員パニック状態になりうまくいかなかった。その後 “リポーターが何を話すのか”“どこで何を撮るのか”“撮影の順番はどうするのか”などみんなで具体的に話し合い撮影内容を整理した。その結果、2日目以降は、ミスしてもプロデューサーやディレクターを中心に落ち着いて対処し、順調に撮影を進めることが出来た」
・石川 陽子さんの話
「“畳屋さんに密着チーム”は事前に計画は立てていたものの、いざ撮影現場に行くとみんなパニック状態になりカメラワーク、台詞、時間配分などをすっかり忘れてしまい、榎本さんに撮影内容をきちんと伝えることが出来なくて迷惑をかけてしまいました」
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【撮影素材チェック】
・向井先生の話
「大人が見てもプロの人が見ても満足する映像になっているかどうか、厳しくチェックしてください」
撮影した映像をチームごとに分かれてチェックします。現場でオーケーを出していても、後で冷静になって見てみると思っていたものと違って見えることがあります。これはプロでも経験することです。
「料理が美味しかったのに実際に美味しそうに撮れていない」「予想していたよりもよく撮れていなかった」「予定通りにうまく撮れた」などチームの反応はいろいろでした。
「ゆりの木商店街・全体PR」チーム
撮影現場ではトラブルがいっぱい発生しましたが、果たして予定通り撮れたのでしょうか。
向井先生が気になってやって見に来ました。映像素材を見た向井先生は「魅力的に見える商店街の映像がどこにも見当たらない。この先一体どうするの?」と厳しく迫ります。それに対し、小守谷プロデューサーは向井先生に反論することが出来ません。結局、足りない部分を追加撮影することにしました。
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【編集】
撮影した映像をパソコンに取り込み大学生に見てもらいながら3分間のVTRに編集していきます。編集次第で作品の出来上がりがかなり違ってくるので思い通りに仕上がるまで妥協しないことが大切です。
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【選曲・作曲】
「畳屋さんに密着」チーム
選曲の河久保くんは、“畳屋さんのテーマ曲”を得意のピアノで作曲しました。
・河久保くんの作曲イメージ
@“たたみ“という3つの音の固まりをうまく使う
A畳を縫っているところをイメージして音が上がったり下がったりして表現する
B”畳の匂いは良い匂い“と口ずさめるようにする
こうしてオリジナルの“畳屋さんのテーマ曲”が完成しました。
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【最終仕上げ】
千葉大学附属小6年3組の子供たちは、ナレーション録りなど最終仕上げの作業をするために東京のスタジオにやって来ました。ここはテレビ番組を実際に制作している本物のスタジオです。子供たちは、プロのスタッフを相手に思ったことをきちんと伝えて自分たちの思い通りに作業を進めることが出来るのでしょうか。
「ゆりの木商店街・全体PR」チーム
リポーターの脇田くんがナレーションを読む準備をしています。現場を仕切るのはもちろん増田ディレクターの仕事。ところがここでも小守谷プロデューサーが口をはさんでしまいます。現場が混乱するのを避けるため、向井先生が注意しました。
脇田くんは緊張のあまり本番では「ゆりの木商店街にぜしいらしてください」と“是非・ぜひ”を“ぜし”と読み違えてしまいました。
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「グルメリポート」チーム
一番緊張していた「グルメリポート」チームのリポーターの村岡さんは、本番で「他にもコーヒーショップやかばん屋など来て見ればもっと気に入るお店が・・・・・・・・・・見つかるはずですよ」と文章の切れ目が読んでいてわからなくなってしまいました。 |
「憩いの空間“コーヒーショップ 古時計”」チーム
音響効果のスタッフと音楽の打ち合わせ。佐藤ディレクターは「大きな古時計」1曲を3分間丸々通して使おうと考えていましたが、それに対して音響効果の菅野さんは、指定された曲をより効果的に聴かせるためにある提案をしました。
・菅野 洋志さんの話
「“大きな古時計”は、VTRの途中から使います。手品でいう種明かしをしないように導入部分はあえて違う曲を使います」
佐藤ディレクターも「菅野さんが選んだほうがいい」と納得しました。
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「グルメリポート」チーム
絵コンテには、“ぎやまん亭”のシーンで「中華風効果音」を使うよう指定してありました。
これに対して音響効果の菅野さん、スタッフの市川プロデューサー、原ディレクターもこれで良いのか、疑問があるようでした。実際に、映像と「中華風効果音」を合わせてみるとなんとも“不思議な感じ“になってしまいました。実は「ぎやまん亭」は、長崎ちゃんぽんのお店で、中華ではありません。だから「中華風効果音」が合わないのは当然のこと。この曲でほんとうに良いのかどうか、チームみんなで話し合っていなかったようです。
・原ディレクターの話
「BGMひとつでお店の雰囲気も全然違って見えるのでBGMを選ぶのはとても大切なことだと思いました」
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「ゆりの木商店街・全体PR」チーム
「世界の車窓から」で使われている曲を「ゆりの木商店街」のテーマ曲に選びました。
実際に映像と音楽を合わせて見ているとみんなは充実感いっぱいでとてもいい表情を浮かべていました。今まで意見が対立してケンカをしたりしていましたが、最後にきてチームとしての一体感が生まれたようです。
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・増田ディレクターの話
「まずスタジオの機材に驚きました。リポーターの脇田くんも最初は間違いが多かったけれど最後には間違う回数も減ってうまくなった、と感じました」
・小守谷プロデューサーの話
「3分くらいの番組を作るのにこれだけ時間がかかるのだから、30分の番組を作ることがいかに大変なのか、感じました」
制作期間4ヶ月。チーム作りに始まり、商店街へのプレゼン、撮影、そして最終仕上げを経て、ついに5つの作品が完成しました。
・阿部 学さんの話
「本物の番組を作ろう!ということでやっている授業なので、普段経験できないようなテレビのプロの人たちと一緒になって授業を進められたことが子供たちにとってとても貴重な体験だった、と思います」
・山田 美奈子さんの話
「実際にこの授業に参加してみて、“体験して学ぶ重要さ”を私自身も学びました。受身の授業だけでなくて子供たちが主体的になって体験活動が出来る機会をこの先、作っていけたら良いなぁ、と思いました」
・石川 陽子さんの話
「出来上がった作品を見たのですが、例えばコーヒーの湯気だったり照明だったり、子供たちの苦労が目からも耳からも刺激される映像という形に残っていて、改めて見て良いものだなぁ、と感じました」
完成した5つの作品は、近いうちにこの番組で紹介する予定です。
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