● ● ● ● 5月8日 ● ● ● ●

司会 吉澤 一彦 アナウンサー
上宮 菜々子アナウンサー
スタジオ出演  渡辺政道(テレビ朝日報道局 副編集長)


【放送内容】
ニュースは、24時間眠りません。
いつ、何が起きるかわからないのが大災害、事件事故です。ニュース番組の使命のひとつに速報性があります。
テレビ局では万が一の場合、すぐに取材や放送ができるように、早朝から深夜までスタッフは働いています。
今日は、報道局の1日を追って、ニュース番組がどのようにして作られるかをご紹介します。


■ニュースの集め方、選び方
テレビ朝日のニュースルームで朝9時に行われているニュース編成会議。
ここで、この日のニュース番組の予定が組まれていきます。

ニュース担当者は、社会部や政治部、経済部など専門的な部署に分かれています。
朝の編成会議には、各部署の担当者が一同に集まり、どんな情報があるかを報告していきます。
それを基にニュース番組の総監督というべきニュース編成デスクが、
今日取り上げるニュース項目を選んでいきます。

では、ニュースの情報は、いったいどのようにして集めるのでしょうか。

○社会部長 角南さんの話
 「事件、事故の場合、都内では警視庁。
 ここには、警視庁クラブがある。
 まずここで、一報を知り、次に電話取材と同時に記者は現場へ。
 最終的には、現場ありき。
 見たもの、聞いたもの、知りえたものをすぐに原稿にしたり、リポートする。」

放送するためのニュースをどんな基準で選ぶのでしょうか。

○武隈編集長の話<ニュースを選ぶ基準>
  1、災害、事故、事件。その時に起きて一番ホットなニュースが最初。
  2、見ている人たちが、関心を持てるもの。
  3、自分たちの生活や暮らしに欠かせないことをどう分かりやすく伝えていくか。



渡辺副編集長の話
「ニュース番組にかかわる部署は大きくは政治部、経済部、社会部、外報部、ネット 担当などに分かれている。 したがって翌朝の会議前には6割から7割決まっている。 ニュースの骨組みはほぼ決まっている場合でも、新しい情報やニュースが次々と入ってくるので、 気がついたらまったく違うものになっていたという事もある。」




ニュースの取材

○社会部の取材



○警視庁
警視庁の9階にあるテレビ朝日の警視庁記者クラブ。
ここには社会部の記者が常駐、事件や事故が発生した場合、迅速に取材ができるよう待機しています。
突発的に起きる事件・事故だけではなく、過去に起きた事件に、なんらかの展開があった場合にも
対応できるようにしています。


○警視庁記者クラブ 桐永キャップの話
「朝でも、夜でも、24時間いつでも現場へ行ける態勢を緊張の中でとっている。
こういうところが、他の部署と違うところ。」


警視庁記者クラブに事故の情報が飛び込んできました!
港区お台場にある遊戯施設内で、アトラクションから、人が滑り落ちて亡くなったとういう情報です。
一報を受け、現地へ取材に向かったのが安西記者。
警察の現場検証中ということもあり、詳しい状況が、よくつかめない中、 目撃者や遊戯施設に乗ったことのある人から、 どんなアトラクションなのか、乗った感じはどうなのか、など コト細かに取材して、その結果をデスクへ報告、 どのようなリポートがベストなのかを相談します。
ようやく事故現場へ入ることを許可され、リポートを開始。
夕方のニュースに間に合うように、取材を続けました。


○安西記者の話
「現場によってそれぞれやることが違う。 目撃者の話を聞いたり、リポートをとったり。
ひとつとして同じ現場はない、ということがやりがいにもなる。




○政治部の取材
国会議事堂や、総理官邸、各省庁、各政党本部などが集まる千代田区永田町。
総理官邸の前に、 各メディアが集まる国会記者会館があります。
この中にあるのがテレビ朝日の記者クラブ。

政策や法案の取材、各政党の個別取材、選挙が始まると、報道の最前線となるところです。


○政治部 細川官邸キャップの話
「権力を相手にすることは大変なことだがやりがいがある。
政治家や官僚など、取材対象となる人物はなかなか本音を言ってくれない。
本音を引き出し、いかに核心に迫るか。ここが政治部記者の腕の見せどころ。」


特定の政治家に張り付いて取材する記者を“番記者”と呼びます。
吉野記者は、小泉総理の番記者、所謂、総理番を務めています。
短い会見でも必ず取材。遊説があれば同行します。
可能な限り総理と行動をともにするという、かなりハードな仕事。
プライベートな時間はほとんどないそうです。


○政治部 吉野記者の話
「朝、官邸に来て誰に会っているのか。 官邸の仕事が終わり、夜誰と会合するのか。何を話したのか。
総理大臣の場合はニュースになるのでそれをずっとチェックしている。
一国の総理大臣ですから表情を見たりしているといろいろ面白いことがある。




○経済部の取材
テレビ朝日ニュースルーム。
この日は、ライブドアとフジテレビが和解するのではないかという情報が入ってきました。
社会的な関心度も高いこの話題、経済部記者はどのように取り上げていくのでしょうか。
株の動きに注目。
株価のモニターを見ながらカメラに向かって自らレポートしました。

兜町には、株売買の本拠地、東京証券取引所があります。
日ごろニュースでよく見かける株価情報はここから発信されています。
この東京証券取引所の三階にあるのが、各報道機関が集まる兜倶楽部。
テレビ朝日もここにデスクを構え、日本経済の動きを取材しています。



○海外支局の取材
ニュースは、24時間、国内だけでなく、世界中からとびこんできます。
ニューヨークにあるテレビ朝日のNY支局。
ここから日本に伝えられるのは、アメリカのニュースだけではありません。
世界のニュースの最前線基地でもあるのです。
ニュースには速報性が求められます。
ニューヨークでは日本との時差の関係で、真夜中にレポートすることもあるそうです。

ニューヨーク支局の窪田記者が取材に向かったのが、国連本部。日本の大使のインタビューです。

この日、国連本部では、日本を含めた常任理事国入りを目指す国の会議が開かれました。
会議の結果を取材。すぐに現場近くでレポートを撮り、映像を日本に送ります。


○窪田記者の話
「会議の終了を待っての取材が多い。 待つことも仕事のひとつ。




○取材部カメラマンの仕事
テレビ朝日本社内。
カメラマンが待機する機材ルームでは、事件や事故があった場合、すぐに現場へ駆けつけられるように、スタッフは常駐しています。

カメラマンの金森さんはデスクの指示を受け取材に出ました。

向かった場所は、民主党本部で行われた“定例”の会見。
この会見内容が、いつか重要な意味をもつことになるかもしれません。
ニュースは、このような取材の積み重ねも大切な仕事。

ニュース現場に立つカメラマンは取材現場でどのようなことを心がけているのでしょうか。


○カメラマン 金森さんの話
「現場は常に動いているので、俊敏さ、判断力が大切。
いかにニュースに間に合わせるか、という考えも必要。」


○カメラマン 堀内さんの話
「カメラマンにもうひとつ求められるのは“忍耐”。決定的なチャンスを逃せない。
トイレに行きたくなっても、自分がいなければ、この映像が撮れないと思うと、重要な仕事だと思う。」




○外報部の仕事
世界のテレビ局も常にチェック、
世界情勢を視聴者に伝えることも、ニュース番組制作者の重要な役割のひとつです。
今日放送すべきニュースはなにがベストなのか、放送ぎりぎりまで作業が進められていきます。


デスクの役割について

○渡辺副編集長の話
「デスクの役割は東京、日本、世界中にいる記者から送られてくる映像をまとめてニュースに反映させる。
現場記者とデスクとの報告、連絡、相談等、そのコミュニケーションのひとつひとつが大事。
そうやって集められた情報を最終的にニュースデスクが判断して、
その日放送するニュース番組の中で、どのニュースがもっともインパクトがあるのか、それが、
ニュース番組間の競争、勝敗を分けることもある。」


Q 視聴者によりわかりやすく伝えるために、 取材ではどんな工夫をしていますか?
「テレビの特性を120パーセント生かしたものが分かりやすいニュース だと思います。」

「そして映像、音の臨場感。
いち早く現場にカメラマンが到着し、分かりやすい映像を撮る。
現場で事故や事件を目撃した人インタビュー。
目撃者の生の声、言葉の重みはそれ以後に記者がレポートしたものより勝ります。
このようなテレビならではの素材を集めることによって、力強いニュースが造られます。」

「さらに視聴者により分かりやすい言葉を選んで伝えることが大切。」



ニュース番組本番の様子
「スーパーJチャンネル」
月曜日から金曜日、夕方4時55分から放送されているニュース番組、「スーパーJチャンネル」。
スタジオには、カメラマンをはじめ、技術を担当する大勢のスタッフがいます。

そしてサブと呼ばれる副調整室。
放送がはじまると、番組の司令塔のような重要な役割をするところ。
本番前に行われる技術打合せでは、番組の進行を仕切るオンエアディレクターを中心に、 テクニカルディレクター、カメラマン、照明、音響効果担当者などが、 ニュース項目表に沿って本番に向けての技術確認を行います。

その一方で出演者がニュース原稿をチェック。
ニュースデスクと入念な打ち合わせをし、原稿におかしい部分はないか、決められた時間内に原稿が収まるかどうかなど、 実際に読み合わせをして本番に備えます。

このころ、ニュースフロアの上にある編集室では、ビデオの編集作業が大詰めを迎えていました。
速報性が命のニュース番組。最新の情報を放送するためには時間ぎりぎりまで映像の編集作業が進められていきます。

撮影された膨大な収録素材テープから、20秒30秒というわずかな秒数の映像を切り取っていく編集という作業は大変な仕事です。


○ニュースエディター 中江さんの話
「20分、30分とってきた素材が何本かある。 その中の2、3カットをチョイスしてつなぐということは、かなりニュースのポイントを把握していないとやれない。 ニュースを分かりやすく伝えるということで、自分のなかでも、日々世の中で動いていることを把握 しながらやっていかなければならないということが逆に面白い」



本番ぎりぎりになってようやく編集作業が終了。
その映像は、Qシートに基づき、放送の順番、内容、時間等をコンピューター上で管理されたのち、
すぐさまサブへと届けられます。

Qシートは、それぞれの放送内容が時間とともにしるされた項目表。
これをもとに放送が進行していきます。


○いよいよ「スーパーJチャンネル」本番
4時55分、テレビ朝日が誇るニュース情報番組、スーパーJチャンネルの放送が始まりました!
サブ内では、オンエアディレクターの指示のもと、
テクニカルディレクターが、何台もあるカメラの中から最適な映像へと切り替えていきます。

それ以外にも字幕や、音楽、効果音など映像に合わせて出したりして、
見せ方、伝え方にさまざまな工夫をしています。

サブからの指示で、スタジオでは各カメラマンが進行に合わせて適切な映像を切り取っていきます。

スタジオには、出演者脇にサブからの指示を出演者に伝えたり、
原稿の確認を行う「アナサイド」と呼ばれるスタッフもいます。

サブではニュースデスクが放送の内容を確認。
時間の都合でニュースをカットしたり、順番を入れ替えることもあります。

放送中にもかかわらず編集されたテープが、サブに届けられることもよくあります。
すべてが時間との戦いです。一瞬も気が抜けない仕事。

この日経済のコーナーでは、ライブドア関係の項目が放送されました。
レポートは経済部の秋山記者が担当。

社会のコーナーでは、
安西記者がリポートをしたお台場の事故が放送されました。

番組は今日も様々な事件、事故などのニュースを視聴者の方々にお届けしてエンディングを迎えました。

番組も無事終了し、すぐに始まったのは反省会。
各担当者が今日の放送での問題点などを報告しあい、これ以後の番組造りに反映させていくのです。
武隈編集長からも今日の放送の良かった点、悪い点が報告されました。

このように大勢のスタッフの努力によって、ニュース番組は作られています。
今、この瞬間も、どこかで、何かが起きています。
ニュース番組に休みはないのです!


○ 渡辺副編集長の話

Q ニュース項目表について。
「ニュース番組を建物にたとえるとニュース項目表は設計図みたいなものです。
その設計図に基づいて、延べ数百人のスタッフがニュース番組の制作に向かうことによって、
はじめてニュース番組というものが成り立つ。」

「大切なことは、その変更が全スタッフに伝わらないと、放送事故を起こす場合もありますから、
そうならないよう日々心がけています。」

Q 先日、大阪・尼崎で大きな列車事故がありましたが。
事故発生が、午前9時20分頃、お昼のニュースに向けての項目表が、ほぼ出来上がっていました。
しかし、事故の知らせを受けて、全ての予定を変更し、事故の詳細を伝えるべく、報道特別番組を放送しました。

そのため、お昼のニュースで予定されていた、放送されなかった幻のニュースがあったわけです。

テレビ局の使命として、大災害や大事件、大事故が発生した場合、
1分、1秒でも、その情報を視聴者に伝えるように対応することが大事。

それによって視聴者の信頼を得られることが、ニュース番組のあるべき姿だと思います。



放送番組審議会からの報告》
4月22日に開催された放送番組審議会では、「スーパーモーニング」について審議されました。

「スーパーモーニング」は、毎週月曜日から金曜日の朝8時から放送。
政治・経済から事件・芸能まで、「ニュースに貴賎なし」
「あれこれニュースショー」を合言葉にしたニュース・情報生け番組です。

審議会では次のようなご意見がでをいただきました。

○ワイドショーの中で、報道番組に振り切っているのが心地よい。

○それぞれをじっくりと掘り下げて紹介する番組構成や、
  鳥越俊太郎さん、大谷昭宏さんをはじめ経験豊富で見識深いコメンティターの起用が支持されている。

○報道のテレビ朝日という色合いを定着させた意味は大きい。
  あまり視聴率にこだわらず、視聴者の気持ちに届くような番組を。
  初心を忘れてはならない。

○事件の取り上げ方がステレオタイプになっている。
  もっと深さが欲しい。
  その側面に見えてくるものがあるはずだ。



次回の放送は、5月22日(日)の予定です。