● ● ● ● 3月6日 ● ● ● ●

司会 吉澤 一彦 アナウンサー
上宮 菜々子アナウンサー
スタジオ出演 千葉大学教育学部附属小学校 向井 浩二 先生



【放送内容】
千葉大学教育学部附属小学校6年3組の皆さんが、地元商店街のPR番組を制作する様子をお伝えするシリーズの第2回です。(第1回は2月6日放送)担任の向井 浩二 先生をスタジオにお招きして、お話を伺っていきます。


前回までの様子
  千葉大学教育学部附属小学校6年3組の子供たちは、地元の商店街の人たちに依頼されて商店街を活性化するためのPR番組を作ることになりました。依頼主は、千葉大学の敷地に隣接する「ゆりの木商店街」の元会長 海保 真さん。「商店街として一度も発展したことがない。このさびしい街を、いい街にしたい」と、地元の若い力に期待しています。

PR番組制作の依頼を受けて、子供達は5つの班を作りました、テーマも自分たちが決め、プロデューサー、ディレクター、カメラマンなどの役割も分担しました。リサーチのために訪れた「ゆりの木商店街」では、ハプニングの連続。子供達は初めて経験することばかりで、試行錯誤しながら番組つくりを進めていきます。

リサーチしてきた内容をまとめて、3分間の番組にするための企画書を作ります。これを、「ゆりの木商店街」の方々や担任の向井先生の前でプレゼンテーションすることになっているのです。ここで認められなければ、取材・ロケーション撮影には進めないことになっています。

 
プレゼンに向けて
  「憩いの空間 "コーヒーショップ 古時計"」チーム。
マスターのコーヒーへの情熱と、こだわりのインテリア小物を紹介して、お店の魅力をしっかりと伝えることにしています。佐藤ディレクターは、余裕の表情です。

「ゆりの木商店街・全体PR」チーム。
リサーチが順調に進まなかったこともあって、責任感の強いプロデューサー・小森谷君が、独りで企画書作りを進めてきました。商店街の元会長・海保さんに案内してもらいながら、街の素晴らしさを伝えるという内容ですが…この企画の進め方に対して意見を言う機会がなかったディレクターの増田君が激しく反発したのです。二人の感情は、高まるばかり!音声担当の大沢君は泣き出してしまいました。チームの雰囲気は最悪になり、出来上がった企画書は空白だらけ…内容がいまひとつ伝わってきません。明日のプレゼンテーションは、大丈夫なのでしょうか?

吉澤アナウンサー
「テレビの制作現場では、このような議論は日常的に行われていることですが、子供たちの激しい意見のぶつかりあいを目の当たりにして、先生はどう受け止めていらっしゃいますか」


向井先生
「メディアリテラシーの授業は過程が大切なので、むしろ初めは順調に行かないほうが、学習の成果が得られます」
「いつも、授業で生徒達に言っているのは、“論を切って人を切らず”ということです。相手の人格を否定せずに、積極的に自分の意見を主張し合うよう促しています」


 
プレゼンの様子
  今回の番組つくりは授業の一環として行われていますが、子供達は、番組つくりの目的をより意識するために、ある「役割」を演じることになっています。

(三者の役割)
ゆりの木商店街: PR番組制作の依頼主
担任の先生: 広告代理店
6年3組の各チーム: 番組制作会社

依頼主の要望を満足させる企画を提案できるのか?このプレゼンはその是非を問われる真剣勝負の場なのです。子供達の表情は真剣そのもの。「私たちのチームは、こんなに素晴らしい企画を持ってきたと、アピールしてください」と向井先生がみんなに気合を入れたところで、いよいよプレゼンテーションが始まりました。
(プレゼン審査員)
向井先生
「ゆりの木商店街」の海保さん
「はい!テレビ朝日です。」 吉田 知則 プロデューサー
制作をサポートしてくれる千葉大学教育学部の学生さん達

「畳屋さんに密着」チーム
畳職人・榎本さんの仕事ぶりに密着!その職人技を紹介しながら日本人の生活から失われつつある畳の魅力に迫まろうとしています。

平岡プロデューサー:「最初の10秒は店全体の様子を撮り、雰囲気を出そうと思います」
向井先生 : 「ナレーションは無いんですか」
平岡プロデューサー: 「あります」

リポーター担当の稲垣君が、番組の冒頭のリポート内容を、原稿を読みながら説明していました。ところが上手に読めません。

向井先生: 「そういうところも、きちんとやっておかないと」

・平岡プロデューサーの話
「まだまだ不十分なところがあることが分かったので、そこをもっと詰めていきたい」 この様子は、隣の部屋に中継されていて、待機しているみんなも見ることができるようになっています。他の班の企画の内容が、気になるようです…


「グルメリポート」チーム 
リポーターが食べ物屋さんを訪ね、おすすめ料理を食べて、その店の特徴をリポートする企画を考えました。ところが、「おすすめメニュー」について質問された時にどんな料理を紹介するか迷っていて、答えられませんでした。

吉田プロデューサー: 「一番紹介したい物を、まず決めないとね」
市川プロデューサー: 「聞いたんですけど、決まったおすすめは無いって言われちゃって」

パスタ専門店「壁の穴」に入ると、左の壁に「冬限定おすすめメニュー」のポスターがちゃんと貼られていました。これを見逃していたプロデューサー担当の市川さん、痛いところを突かれてしまいました!

「ゆりの木商店街のおしゃれなショップ」チーム
手作りのかばん屋さんとお花屋さんの特徴をベスト3形式で紹介する予定だったのですが、お花屋さんとは、おすすめ商品についての具体的な話をあまりしていませんでした。

八田プロデューサー: 「おすすめ商品は特に無かったんですが、花の教室があるらしいです」
向井先生: 「どんなことを教えてくれるの」
子供達: 「・・・・・」
向井先生: 「君達は、まだ花の教室の本当の良さがわかっていないでしょ」

「憩いの空間 "コーヒーショップ 古時計"」チーム
アンティークな小物がディスプレイされた居心地のいい空間と、マスターのコーヒーへのこだわりを通して、この大人の雰囲気を持つお店の魅力を伝える企画を考えています。質問されても答えられるように、事前にシュミレーションしたとあって、他のチームとは対照的にかなり自信がありそうです。

宮内プロデューサー: 「最初はマスターがコーヒーを入れる手さばきを撮る」
佐藤ディレクター: 「お客さんが感想を書いたノートがあるので、パラパラめくって撮る」
向井先生: 「この店のこだわりは?」
宮内プロデューサー: 「このお店のコーヒー豆は、機械干しではなく天日干しなので、甘味があって健康に良いんです」

少し暗い感じの「古時計」の店内。照明担当の金瀬君は、どうやって撮影するつもりなのでしょうか?

金瀬君: 「蛍光灯の光が漏れているところがあるので、その光を利用して、お店の雰囲気を、見せていこうと思う」 プロデューサーとディレクターの息もピッタリ!それぞれのメンバーが長所を生かしあって、プレゼンがうまくいきました。




「ゆりの木商店街・全体PR」
「ゆりの木商店街全体をPRする班」は、商店街を元会長の海保さんと歩きながら、街の特徴や歴史についてインタビューして、商店街の魅力に迫るつもりなのですが、まったく内容が詰められていません。これで大丈夫なのでしょうか?

小森谷プロデューサー: 「ここは30秒です。いや40秒だったけ」
増田ディレクター: 「どうだったっけ」
2人: 「・・・・・」

きのう、激しく対立した二人。そのあとも内容をよく詰めていなかったようです。「ゆりの木商店街」の一番の特徴である「地域通貨ピーナツ」についても、企画書ではなぜか一言も触れられていませんでした。そのことを先生に指摘され、2人はあっさり降参してしまいました。

・小森谷プロデューサーの話
「緊張しちゃって、全然しゃべれなかった。話し合いも足りなかった」


・増田ディレクターの話
「全然しゃべれず、何も相手に伝えられなかった。考えが甘かった」


このあと、プレゼンテーションで指摘された問題点を修正するなど、それぞれの班が企画をさらに練り上げる作業を行いました。リサーチやプレゼンテーションで、番組制作の難しさと楽しさを知った子供たちは、いよいよロケなどの番組作りの新たなステップを目指します。さて、子どもたちはこの後、どんな番組を作るのでしょうか。「はい!テレビ朝日です。」では、今後も取材を続けていきます。ご期待ください!

・吉澤アナウンサー
「プレゼンテーションは、プロの番組の作り手にとっても難しいものですが、子供たちもなかなかうまくいかなかったようですね」

・向井先生
「企業ではないので、完璧な企画を求めているわけではありません。ただ、うまくいっているチームは、メンバーがそれぞれの長所を引き出しあっていました。逆にいうと、そこが子供達が番組つくりをしていく上での、一番大きな課題と言えます」
「今回は、きちんとした仕事としてやってもらうということですので、作品は商店街の中で、PR用に実際に使われるわけです。当然、結果が重視されます。もちろん、教育の一環としてやっているわけですから、過程が大切ですが、街に出て、本物の仕事を見せてもらい、大人から見てもいい作品ができれば、子供達の自信になるし、大きく成長できると思います」

・上宮アナウンサー
「ここまでの経験を通して、子供達に変化はありましたか」

・向井先生
「いろんな人の意見を真摯に受け止めるようになりました」
「今回の体験では、通常の授業のように、大人が用意したレールがありません。思い通りに行かないことの連続を、どう切り抜けていくのか、ここに本当の勉強があります」



 
出前授業についての報告
  東京・秋葉原にある「千代田区立和泉小学校」で、テレビ朝日社員による「出前授業」が行われました。 テレビ朝日では、今年2月から、報道局の現場の第一線で活躍するデスク・プロデューサーなどが小学校を訪れ、その貴重な体験を生かして子供たちにテレビ番組制作について教える「出前授業」を始めました。


・テレビ朝日 お客様フロント部 小林 和男 さんの話
「今、テレビ朝日では、小学校5年生から大学生を対象に、情報教育の支援の一環として、スタジオを開放しています。見学した先生からは、現場の人間が学校に来て、テレビの仕組みや仕事について話して欲しいという要望がたくさん寄せられました。そこで、この2月から試験的に実施しています」

この日授業に臨んだのは、テレビ朝日 報道局 社会部長の角南(すなみ)源五さん。今回の授業のテーマは「ニュース番組はどのように作られているのか」。まず、「ニュース項目が決められてゆく様子」をVTRで説明しました。初めて聞く話ばかりで、小学生達はみんな真剣な表情。「昼のニュース」の制作をプロセスに沿って説明していきます。

昼のニュースの本番前、角南さんは、ノートパソコンで局のニュースルームと教室をつなぎました。ニュースが次々と飛び込んでくる様子がリアルタイムでわかります。現場の最前線で活躍している人ならではの授業に、子供たちは興奮気味です。「ニュース番組の裏側」を知って、ニュースの見方がこれまでと違ってきたようです。

・子供達の感想
「ニュースが気になるようになった」
「ニュースができるまで、いろんな人が苦労していて、すごく大変だなと思った」
「デスクの人がニュースをまとめるところがすごいと思った」

・千代田区和泉小学校 5年生担当 小松原 知司 先生
「小学生にとって、本物・生のものに触れることは大切なことです。これからの生き方を決めていく中で、大きな意味があります」
テレビ朝日の「出前授業」は、これまで21の小学校を訪れて、およそ1600人の子供達を対象に行われました。2005年4月から、本格的に行われる予定です。

 
放送番組審議会からの報告》
 
第457回の放送番組審議会は、2月18日に開催されました。課題番組は、「サンデー!スクランブル」です。「サンデー!スクランブル」は今年1月からスタート。月曜日から金曜日のレギュラー番組「ワイド!スクランブル」が、日曜日にも進出したもので、「ワイド!スクランブル」で追いきれなかったこだわりのニュース企画や独自企画に力を入れています。

次のような意見が出されました。

○ 平日の「ワイド!スクランブル」が新聞なら、「サンデー!スクランブル」は「週刊誌」。
   売れる「週刊誌」を作るなら、ネタを料理しなおす腕が必要。
○ 他局では同時間帯にタレントが多数出演する長寿番組が放送されているのに対して、
   アピール性がやや不足している。
○ バラエティー色を抑えた情報番組にチャレンジしようという姿勢は評価。
   今後、クオリティーの向上を図り、支持を高めていくことを期待している。
○ MC、コメンティターの周りに空きスペースがあり寂しい。
   ゲストがまだ揃わないような感じを受ける。
○ ワイドショーの1週間の振り返りなので、いつも見ている女性にとっては新鮮味がなく、
   男性には新鮮。ターゲットは、どちらなのか。 


以上、放送番組審議会からの報告でした。

 

次回の放送は、3月20日(日)の予定です。