● ● ● ● 2月20日 ● ● ● ●

司会 吉澤 一彦アナウンサー
上宮 菜々子アナウンサー
スタジオ出演 武蔵大学 メディア社会学科 白水 繁彦 教授 & 日本在住の外国人の方々

(出演された外国人の方々)
金蓮伊さんキムヨニ(韓国;在日歴2年) アメッド・ナイリさん(リビア;在日歴12年)
姜元武さんキョウゲンブ(中国;在日歴6年) スティーブン・グリーンバーグさん(アメリカ;在日歴10年)


【放送内容】
在日外国人とメディアについて研究されている武蔵大学 メディア社会学科 白水 繁彦 教授と日本に住む外国人の方々をスタジオにお招きして、「外国人から見た日本のテレビ」いうテーマでご意見を頂き、日本のテレビを広い視野から見つめ直します。


外国人はニュースが大好き
  外国人の皆さんは、どんな日本の番組を見ているのでしょうか?早稲田大学 日本語研究教育センターの外国人学生の方々にインタビューをしてみると、「一番好きなのはニュース番組」という声が圧倒的に多かったのです。そこで、その理由を聞いてみると・・・

「世の中の動きを知る事が大切だから」
(スウェーデン人;在日歴5ヶ月)

「役に立つ情報を知りたいから」
(ベルギー人;在日歴5ヶ月)

「ウズベキスタンにいる時よりも、豊かな情報を手に入れることができるから」
(ウズベキスタン人;在日歴5ヶ月)

「日常生活に必要だから。でも、日本のニュースは、政府や専門家の意見だけではなく、もっと一般の人の意見を伝える場があればいい。イタリアにはその場がある」
(イタリア人;在日歴2年)

「日本のニュースは詳しいから。同じテーマを2週間ぐらい追うから、よく理解できる」
(ドイツ人;在日歴5ヶ月)  



スタジオの外国人の方々にお伺いしました  「今、どんな情報を1番求めていますか」

金蓮伊さんキムヨニ(韓国;在日歴2年)
「北朝鮮問題が気になっている」

アメッド・ナイリさん(リビア;在日歴12年)
「母国に近いイラク戦争の行方が気になる」

スティーブン・グリーンバーグさん(アメリカ;在日歴10年)
「日本や世界で起こっている様々なニュースの背景が知りたい」


スタジオの外国人の方々にお伺いしました
「日本に来てから、ニュースの見方が変わりましたか」


姜元武さんキョウゲンブ(中国;在日歴6年)
「最初のうちは単純に何が起こっているのか知りたくてニュースを見ていました。しかし、だんだん日本人が何に興味を持っているのかという視点を持って見るようになりました。特に国際ニュースだと、中国と日本の報道姿勢の違いを比較することもできるし、そのことを通して、自分の国が日本人にどのように思われているのかを知ることができる」

武蔵大学 メディア社会学科 白水 繁彦 教授 のコメント
「在日外国人の方々は、日本での滞在が長くなるにつれ、ニュースに対して受け身な状態から飛び出して、自分の中にある基準を設けて、自分にとって必要なニュースにアンテナを張るようになっていきます。その過程を経た彼ら・彼女らが、母国と日本の関わりの中で、日本のニュース番組をとらえるようになったのは、自然なことといえます」

 
日本のニュースへの注文
 
スティーブン・グリーンバーグさん(アメリカ;在日歴10年)
「スマトラ沖大地震を伝える日本のニュースは、アメリカに比べると自国人の安否情報に偏った印象があった。もっと国際的視点に立った情報を出して欲しい」

金蓮伊さんキムヨニ(韓国;在日歴2年)
「私は犯罪報道に興味があるが、日本は犯罪報道はセンセーショナル過ぎると思う。時にはサスペンスドラマのような演出がされていることもあり、もっと客観的に伝えて欲しいと思う」

アメッド・ナイリさん(リビア;在日歴12年)
「特に夕方のニュースなどで、純粋なニュースとワイドショー的な特集が混在しているのが気になる時がある。ただ、日本人は普段勤勉だから、そういうところでバランスを取っているのかなとも思う」

スティーブン・グリーンバーグさん(アメリカ;在日歴10年)
(アメッドさんの発言をうけて)「外国人としては、ニュースはニュースとして伝えて欲しい。朝や昼の情報番組では、評論家やコメンテーターがニュースについて語っているが、どこまでが事実でどこからが個人的な意見・見解なのか、境目がぼやけて混乱する」

武蔵大学 メディア社会学科 白水 繁彦 教授 のコメント
「国際的に比較してみると、日本はニュースを自国寄りの視点で報道する傾向が強い。マジョリティーである日本人に配慮しすぎている感が強い」 「ニュースの中にワイドショー的要素が混在しているのは、日本特有のスタイルです。在日して間もない外国人は、全部ひっくるめてニュースとして見ているので、最初は混乱するはずです」

 
ニュース以外ではどんな番組がよくみられているのでしょうか?
  ニュースについての話題がひと段落しました。日本に住む外国人の皆さんは、ニュース番組以外ではどんな番組が好きなのでしょうか?再び、早稲田大学 日本語研究教育センターの外国人学生の方々に伺ってみると・・・

「『富豪刑事』 『ミュージックステーション』 『ロンドンハーツ』が好き。司会者、キャラが面白い」
(タイ人;在日歴10ヶ月)

「バラエティーショーがおもしろい。ドイツにはないジャンル」
(ドイツ人;在日歴4ヶ月)

「バラエティーは字幕があって、日本語の勉強に役立つ」
(ドイツ人;在日歴4ヶ月)

「ドラマとバラエティー。ベルギーにはあまりない」
(ベルギー人;在日歴5ヶ月)

「漫才やバラエティーが面白い。漫才は質が高い」
(ドイツ人;在日歴5ヶ月)

「ドラマが好き。 『世界の中心で愛を叫ぶ』 『ラストプレゼント』がいい」
(ドイツ人;在日歴5ヶ月)

「『銭形金太郎』が好きで毎週見ている」  (韓国人;在日歴10ヶ月)

「オペラの番組をよく見る。イタリアとは違う作りでいい」
(イタリア人;在日歴2年)

「外国語講座は、言葉だけではなく、その国の文化を教えてくれるので素晴らしい」

(イタリア人;在日歴2年)


どうやら、外国人の方々から見ると、日本ではバラエティー番組が盛んだと見られていて、おおむね、好意的に受け取られているようです。


スタジオの外国人の方々にお伺いしました
「日本のバラエティー番組をみてどう思われますか」


スティーブン・グリーンバーグさん(アメリカ;在日歴10年)
「アメリカのバラエティーはくだらないドタバタ劇が多いけれど、日本のは『ロンドンハーツ』や『いきなり!黄金伝説』のように、ストーリーや流れがあって面白いし、たまに生活情報も盛り込まれていて、役に立つ」

姜元武さんキョウゲンブ(中国;在日歴6年)
「楽しく見れるが、もう少し、見ている者に考えさせるようなところがあってもいいのではないかと思う」

金蓮伊さんキムヨニ(韓国;在日歴2年)
「『銭形金太郎』を毎週見ている。アイデアが斬新」

アメッド・ナイリさん(リビア;在日歴12年)
「同じようなタレントが、いろんな番組で騒いでいるので、時々、うんざりすることもある」

武蔵大学 メディア社会学科 白水 繁彦 教授 のコメント
「日本のバラエティー番組が、想像以上に外国人の方に人気があるので、私もびっくりしました。また、バラエティー番組のテロップは話し言葉です。邪魔だという方もいますが、学校の授業は書き言葉中心なだけに、いい教材がわりになるでしょう」

 
日本のテレビ、ここが嫌い
  それでは、外国人の方々から見て、日本のテレビ番組の嫌いなところはどこなんでしょうか?こちらも早稲田大学 日本語研究教育センターの外国人学生の方々に伺ってみました。

「スポーツ番組が嫌い。野球や相撲が多い。タイはサッカーかバスケ」 
(タイ人;在日歴10ヶ月)

「野球。長いしコメンティターも面白くない」
(ドイツ人;在日歴4ヶ月)

「日本のスポーツは興味ない」 
(スウェーデン人;在日歴5ヶ月)

「ドラマ好きではない!スタジオセットだと分かるし、俳優も良くない、ストーリーも深くない」
(ドイツ人;在日歴5ヶ月)

「ドラマは、子供っぽい」
(イタリア人;在日歴2年)



日本人が大好きなスポーツ・ドラマは意外と不評のようです。
また、こんな声も・・・


「食べ物番組が多すぎる」
(韓国人;在日歴10ヶ月)

「女性のオッパイにズームするとか、深夜にエッチな番組が放送される」
(タイ人;在日歴10ヶ月)

「政治家のモノマネをふざけてすることはタイではありえない」

(タイ人;在日歴10ヶ月)

「お笑い番組が多い。真面目じゃない感じがする」
(スウェーデン人;在日歴5ヶ月)

「話しているにもかかわらず、必ず字幕が入る」
(ドイツ人;在日歴4ヶ月)



スタジオの外国人の方々にお伺いしました
「日本のスポーツ番組はどう思われますか」


スタジオの外国人の方々一同
「野球と相撲ばかりでつまらない」

武蔵大学 メディア社会学科 白水 繁彦 教授 のコメント
「日本のスポーツ番組は、野球、ゴルフや相撲が多いですが、世界的に言えば少数派です。世界的には何と言ってもサッカーですね」


スタジオの外国人の方々にお伺いしました
「日本のドラマはどう思われますか」


姜元武さんキョウゲンブ(中国;在日歴6年)
「リアリティーがなくて、興ざめしてしまう」

金蓮伊さんキムヨニ(韓国;在日歴2年)
「日本のドラマは、日本の国内事情がわからない人にはつまらないと思う。けれども、日本の事情がわかるにつれて、面白く感じるようになってきた」

スティーブン・グリーンバーグさん(アメリカ;在日歴10年)

「日本のドラマを見て、日本人が泣いているところで私は泣けない。文化のギャップがこういうところにも観察できる」
 
これからの日本のテレビに期待すること
  最後にスタジオの皆さんに、日本のテレビへのご要望を伺いました。

姜元武さんキョウゲンブ(中国;在日歴6年)
「外国人の暮らしぶりを紹介する番組が、もっと増えればよい」

金蓮伊さんキムヨニ(韓国;在日歴2年)
「世界からもっと広くバイアスがかかっていない情報を集めて伝えて欲しい」

アメッド・ナイリさん(リビア;在日歴12年)
(金さんの発言をうけて)「そのことが日本の発展につながると思うし、私もそれを願っている」

スティーブン・グリーンバーグさん(アメリカ;在日歴10年)

「国際情勢に関する報道は、全般的に見るとアメリカよりむしろ日本のほうが盛んだと思うが、主にNHKがその役割を負っていると思う。民放の頑張りにも期待している」

武蔵大学 メディア社会学科 白水 繁彦 教授 のコメント
「外国人の方々のためにもそうだが、我々日本人の見識を磨くために、世界のニュースをもっとテレビで伝えていくべき」 「日本のテレビでは、アフリカ・南アメリカのニュースが伝えられることがほとんどない。たまに取り上げられることがあれば、大災害や政情不安などネガティブなニュースが中心です。お互いの発展を望むなら、ポジティブなニュースも伝えていくべき」 「日本には、在日韓国・朝鮮人を含めて200万人以上の様々な国の出身の方が住んでいます。こうしたマイノリティーの方々に配慮した報道が今後さらに重要になってくるでしょう。上宮アナウンサーが、2月9日のサッカー・北朝鮮戦に関する取材で、大阪の生野区で在日韓国・朝鮮人と日本人が心を1つにして応援している様子をレポートしていましたが、このようなお互いの関係を深めていくニュースを、もっと伝えていって欲しいですね」


テレビ朝日は、皆さんの貴重なご意見を、これからの番組作りに役立てていきます。

 
<テレビ朝日からのお知らせ>
  ドラえもん募金
スマトラ沖大地震(おおじしん)で被災された方々を援助するため、テレビ朝日では、12月後半からおよそ1か月間にわたりドラえもん募金を行いました。義援金の総額はテレビ朝日の寄付金250万円などと合わせて、9千126万300円に達しました。ご協力、本当にありがとうございました。義援金をできるだけ早く現地に届けるため、寄付は2回にわたって行われました。現地で活動しているAMDA、日本ユニセフ協会、ピース・ウィンズ・ジャパンの3団体にそれぞれ300万円、残り8226万300円が日本赤十字社に寄付されました。皆様の善意に心から感謝します。ありがとうございました。

<番組からイベントのお知らせ>
  アナウンサーと触れ合うイベント
「テレビ朝日アナウンサーと語ろうフォーラム」のお知らせ

「はい!テレビ朝日です」では、視聴者の皆様方とテレビについて考えるとともに、テレビ朝日をより身近に感じて頂くための「フォーラム」を開催いたします。今回は「やじうまプラス」「スーパーモーニング」「ワイド!スクランブル」などに出演しているアナウンサーが一堂に集まり、生放送のエピソード他を披露してくれる予定です。また視聴者の皆さんと一緒に語り、楽しめるイベントも企画されています。日時は、3月3日、午後2時30分開演、場所は六本木ヒルズ テレビ朝日 umuです。ご応募は こちら



次回の放送は、3月6日(日)の予定です。