4月18日

スタジオ : 吉澤一彦アナウンサー
市川寛子アナウンサー
スタジオ出演: 横浜国立大学教育人間科学部附属横浜中学校3年生の生徒6人
岩間正則 国語教諭


【放送内容】
「中学生の番組制作」と題し、メディアリテラシーへの取り組みを積極的に行っている横浜国立大学附属横浜中学校の生徒さんが、「情報を受け止める立場」から、自分たちで「情報を送り出す側」となって、ニュース映像を制作、その番組つくりの様子を紹介。


「学校概況」
  学校のある場所は、横浜市南区。
鎌倉街道に面した横浜国立大学教育人間科学部附属横浜中学校。
戦災を免れた校舎は、横浜市内でも指折りの文化的建造物です。

この中学校は、横浜国立大学教育人間科学部と連携を取りながら、最先端の教育理論に直結した独創的な教育を実践しています。
総合学習での「メディアの授業」
  メディアリテラシーへの取り組みは、平成13年度から始まりました。
岩間先生は、選択教科の国語科の授業で「メディアリテラシー」の講演を開講し、現在はテレビをテーマに授業を進めています。

昨年7月に、民放連が主催した「テレビへの提言」というフォーラムにおいて、横浜国立大学附属横浜中学校の生徒たちは、各テレビ局の番組の検証を行い、クラスメートからアンケートをとるなどして、「テレビの品格について」と題する内容の提言を、発表しました。

また、今年2月には、メディアリテラシーの研究発表会が開催され、その際、生徒たちは、「テレビがどのように事実を切り取るのかを考える」ということから、各テレビ局で報道された「成人式」を見て、どのように報道したか、違いを調べ、自分たち流に「成人式」のニュースを作り、その成果を発表しました。
ここでは、自分の意見をまとめて発表する力が問われました。

(岩間先生の話)
「成人式」をテレビがどのように報道したか。成人式の様子を伝えるニュースを見て、それぞれの違いを読み解くのが研究の狙いです。
生徒たち自身で番組作り
  生徒たちは「情報を受け止める立場」から、自分たちで「情報を送り出す側」となって考え、実際にニュース番組を制作することになりました。
テーマ決めから台本作り
  まず、各テレビ局ごとの報道の仕方の特長をまとめ、書き出しました。
さまざまな意見を出しあい、番組制作の基本となる出来事を考えることにしました。そこで、架空のニュースを設定しました。
  さて、生徒たちが考えた設定は・・・。
(1)ある中学校で映画の撮影が行われた。
(2)ストーリーは大男が登場し、暴れるというもの。
  この設定にあわせて、NHK型、民放型、ワイドショー型の3つのパターンの番組を作ることになりました。そこで、それぞれのチームに分かれ、台本つくりが始まりました。

生徒たちはテレビ用の原稿用紙をつかうのも初めて。セリフだけでなく、絵コンテまでもみごとに書き込んでいきました。
それぞれのパターンの特長は・・・。

NHK型ニュース
NHK型ニュースは、事実をストレートに伝え、現場の映像も合わせ、学校関係者のインタビューもいれる。

民放型ニュース
民放型ニュースは、スタジオで模型を使ってわかりやすく、リポーターが現場を検証。映画関係者の取材も入れる。
ワイドショー型ニュース
ワイドショー型ニュースは、現場を画面や音で表し、ご近所の人や目撃者を次々と出し、最後に映画監督を呼んで映画の紹介。
ロケ現場では・・
それぞれの内容がきまったら、次はロケ。
それぞれの3つの切り口で、ここで起きた出来事をニュース番組にします。
学校の中に、みんなが協力してロケ現場をつくり、それぞれの特長をいかしながら、現場取材を行いました。
撮影の条件として、舞台設定は各番組とも同じ場所。
3つの切り口の違いとは・・・

NHK型:三脚を置き、きちんと撮影。
(松田聖奈さんの話:NHKは、事実を淡々と簡潔に言っているところがあって、アナウンサーの個人の感情があまり述べられていない。そこを特長としている。)

民放型:リポーターが現場を検証。
(平野英さんの話:ニュースステーションを参考にしたので、そこではフリップを使ったり、模型を使ったりとか、わかりやすいので、誰が見てもわかりやすく、理解できるようにした。)
ワイドショー型:近所の人、証言者などの登場。
(稲垣沙希恵:NHKとは逆で、アナウンサーや評論家が出て、個人個人の考えを述べていて、いかに楽しく、視聴者にわかりやすく伝えることだと思う)
編集作業の様子
 

生徒たちは、撮影したフィルムをプロが使う編集機材を使い、編集作業を行った。
生徒たちは編集機材を見るのは初めて。
プロの編集マンに教わりながら、生徒たちはテロップを入れる位置を考え、映像をつないだり、と、編集オペレーターの佐藤光雄さんのアドバイスを取り入れながら、自分たちで編集作業を続けます。
生徒たちは自分たちが編集をつづける中で、さまざまな発見をしました。

スタジオ収録
 

編集が終わって、残すはスタジオ収録。
テレビ朝日の64スタジオを使って収録しました。
収録作業には、ディレクターやスイチャー、音声などの役割があることを学び、これを生徒たち自身で行うため、機材などの使い方の説明を受け、それぞれの切り口別に、いざ収録。
テレビ朝日の制作技術センターの上野裕之さん、西村和也さんの協力によって、生徒たちは一生懸命、ディレクター役やキャスター役、リポーター役などを自分たちで行い、楽しそうに収録作業をしました。

生徒たちの感想・苦労したこと・発見したこと
 
井上和裕さん: 取材のとき、カメラを使いこなすのは大変だった。
伊藤優里さん: 編集のとき、言葉を入れるのが大変だった。
番組を作ろうとしたとき、特長として何を伝えたいかを、それぞれの番組ごとに違うということがわかった。
稲垣沙希恵さん: 楽しい雰囲気を伝えること、見てたのしんでもらうために、どういうふうに雰囲気を伝えるのかが大変だった。
旗智広太さん: 民放型は、コメントとして、自分自身の考えがあるから、味があると思う。
平野 英さん: NHK型は、カメラもきちっととっている。
松田聖奈さん: NHK型は、個人個人の考えにふれていないので、面白みがない。
今回の試みでのメディアリテラシーの成果について
  岩間先生の話:比較することで、それぞれの特長がわかる。その特長をとらえることで、目的が違うことがわかり、誰を対象に発信しているのかを、考えるようになる。

次の放送は、5月2日(日)です。