9月7日

スタジオ : 吉澤一彦アナウンサー
市川寛子アナウンサー
ゲスト  : デーブ・スペクター(放送プロデューサー)
鈴木敏恵 (千葉大学非常勤講師・未来教育デザイナー)
鈴木敏恵さん… 学校における21世紀型の教育を構築・提唱する未来教育デザイナー


【放送内容】

日本でテレビ放送が始まって50年。どこの家庭にもテレビがある時代になり、テレビが子供たちに与える影響について様々に議論されるようになりました。
そこで今回は、子供たちの「テレビ環境の現状」と「テレビとの付き合い方」について考えていきます。



【子供とテレビの関係】

街で50人の小中学生に調査の結果、1日のテレビ視聴時間の平均は「3時間24分」。(夏休み・お台場で番組調べ)
自分専用のテレビを持っている子供(小学6年生)男子39%・女子34%。(放送と青少年に関する委員会より)

Q.どんな風に楽しんでいるか?
A.
「楽しい、暇つぶし」
「芸人とか、とにかく面白い番組が見たい」
「迫力あったり、感動したり」
「翌日の学校での話題のため」…ほか (街頭インタビューより)



【親の言い分】

Q.視聴時間について
A.
「時間を決めている。」
「食事の時は見せない。」
「見るなとは言わない。これからは、「テレビ」「パソコン」「携帯」の世の中だから。」
Q.専用のテレビを持つことについて
A.
「家族同士のコミュニケーションがなくなるから、与えることはしない。」
「自分のお金で買うという場合、仕方がないだろうと思う。」
「部屋にテレビと鍵だけは付けさせない。」
Q.見せたいテレビ・見せたくないテレビ
A.
「歴史モノや役に立つプログラムは見て欲しい。」
「ドキュメンタリーなど、人が一生懸命やっているものは見て欲しい。」
「過激なもの・やらせ番組は困る。」



【これらの意見を受けて】

デーブスペクター氏は…
時代が変わってきた。携帯があり、ゲームがあり…と「〜しながら」の生活になってきている。
昔の「テレビを見る」といった感覚とは少し違ってきているのではないだろうか?
アメリカでも各部屋にテレビはあり、家族一緒に見るといった光景は少なくなってきた。
約束などを作り家庭内でコントロールできることはしても良いと思う。
一方的に「見てはいけない」というとお説教になってしまう。親が断定するのではなく自分で判断できるようにやさしく誘導することはできるだろうと思う。演出過剰な番組についてはそのことを説明し、
その上で自分が見るべきか否かを判断させればいい。
すべてを決めつけず、ガイダンスすることが重要。

鈴木敏恵氏は…
テレビは面白く、リズムがある。このことが成長期の「元気な子供たちのリズム」に合っているのでは?
そして、テレビは「内容をできるだけわかりやすく」伝えるように作られている。
ややもすると子供たちはあまり考えることなく「受け入れるのみ」になってしまう。
とても楽な作業の繰り返しになっており、この点が心配。
この時代に「テレビを見るな」というのは無理な話。
ならば、テレビを見る目を養っていこうという視点で「メディアリテラシー教育」を推進している。



【子供たちにテレビについて考えてもらうために】
(メディアリテラシーの一環として)

《テレビ観察プロジェクト》 高知の小学校で総合学習の時間を利用し、鈴木氏と先生たちが協力して100日間かけて行った。

生まれながらに当たり前のように「テレビ」を見てきた子供たちに「テレビって何だろう?」という問いを投げかけてみる。
その疑問を自分で解くために「テレビ観察日記」をつける。
テレビ観察の中で出てきた「関心あるテーマ」を出し合いチームを組む。
「将来、テレビはこうなって欲しい」という「提案」をまとめるための計画を立てる。
人に会ったり、アンケートをしたりして提案に沿った情報を集める。
集めた情報をもとに説得力のある「提案」を児童や地域の人たちの前で発表。
チームでまとめた内容を再度一人一人で整理し、1冊の本にまとめる。
これら全員の提案をマスコミや地域の人々に配る。

「このことにより」
この過程を通して子供たちの「テレビの見方」に変化があったことがわかる。
子供たちにとって「無意識だったテレビ」を「意識化」させることが重要。
彼らは自分たちの目で見たものをそれぞれの感性で受け止め、取捨選択していく作業が出来るようになっていく。
自分たちの「提案」をまとめる過程で他人の意見を聞く作業をした。
その中で自分たちとは異なった意見を持つ人たちがいて、彼らはそこにももう一つの「真」があることに気づいた。
メディア社会の中で生きていくために大切なことは、いろいろなものに出会ったり、いろいろなことを体験することで
「自分の意志」を持ち、情報を取捨選択していくこと。
(鈴木氏 談)



【その他・テレビついて考える】

《 フォーラム開催 》…「テレビへの提言〜中学生からのメッセージ〜」と題して行われた。
関東・東海地区6つの中学校の生徒が参加。テレビについて、学校の授業などで培った成果を発表した。
このフォーラムでは「公開討論」の場が設けられ、中学生、放送局の番組制作者、放送と青少年に関する委員会委員3者が「テレビ番組」について様々な意見を交わした。

「フォーラムをうけて」
今回はバラエティについての批判が多くみられたが、先入観がないだけに鋭い指摘が多かった。
作り手が考えている以上に「分かって見ている」ことに驚きを感じた。
(デーブ・スペクター氏 談)