12月1日

スタジオ : 吉澤一彦アナウンサー
松尾由美子アナウンサー
  高井正憲(アナウンサー)



【放送内容】


今回は「アナウンサー」の仕事についてお送りします。
今年から発足された「ANNアナウンサー賞」の受賞結果、普段あまり知られていない「仕事」などをお伝えしていきます。
併せて「番組審議会報告」。



【「ANNアナウンサー賞」発足】

ANNネットワーク系列加盟各社のアナウンサーおよびそれに準ずる仕事をしている者を対象にした賞。
この賞は「アナウンサーの・アナウンサーによる・アナウンサーのため」の賞ということでアナウンサー自身が選出・受賞者を選ぶ。


賞発足の目的
(現在ANN系列には、約300人ほどのアナウンサーが所属)


1.努力・技術的向上を促す。
2.若手の育成


部門
  1. スポーツ高校野球実況部門…
    「全国高等学校野球選手権大会」の各地方大会の実況・ふるさと実況が対象
    (主管:朝日放送)

  2. 原稿のあるもの部門…
    「ニュース」「ナレーション」「コマーシャル」など原稿のあるものが対象
    (主管:テレビ朝日)

  3. 原稿のないもの部門…
    「フリートーク」「リポート」「司会」など原稿のないものが対象
    (主管:テレビ朝日)


審査対象

2001年の9月から2002年8月31日までに放送された番組。
これを10分以内に編集した作品。


『スポーツ高校野球実況部門』

奨励賞
福島放送 平方恭子
愛媛朝日テレビ 大澤寧工
熊本朝日放送 久和健一郎

優秀賞
岩手朝日テレビ 三橋泰介
アナウンサー歴3年
作品:「第84回全国高等学校野球選手権ふるさと実況」

選出された理由
全体的な流れ、一つ一つの描写も適切であり、声柄もいい。


声柄とは…声にのる人柄のようなこと。(アナウンサー内用語)

受賞者のコメント
入社してすぐ「実況中継」を経験。
その後、「スポーツって面白い」特に「高校野球」は面白いと思うようになりました。
見ているだけでも面白いものを「伝えることのできる面白さ」に1年目から、はまってしまいました。


『原稿のあるもの部門』

奨励賞
北陸朝日放送 金子美奈
福井放送 天谷由佳

優秀賞
広島ホームテレビ 荒谷知穂
アナウンサー歴2年
作品:ニュース特集「心のアート」ナレーション

選出された理由
テーマに即した暖かみが表現できていて、丁寧に人を描こうとしている。
力まず無理なく自然体のしゃべりが心地よい。

受賞者のコメント
この作品の原稿は自分が書くだけに「心のこもった原稿」でした。
それを更にどう表現していくかを考えながら読みました。
先輩から厳しいアドバイスを受け、試行錯誤、3日間かけて仕上げた作品でした。


『原稿のないもの部門』

奨励賞
青森朝日放送 藤田亜希子
テレビ朝日 野村真季

優秀賞
長崎文化放送 岸本哲也
アナウンサー歴6年
作品:「アサデス九州・山口」中継リポート

選出された理由
堂々としたリポートぶりや明るさや元気が番組のねらいにマッチしていて爽やか。
得意な英語も嫌みなく活用されていて機転が利いている。

受賞者のコメント
原稿を作ってもその時々で変わっていく「生放送」。
その中で変わっていった状況を外さないように「伝えるべき事は伝える」ということを心がけています。決まり事をきれいにこなす方が苦手です。
自分は、ある程度自由にさせてもらっている方が良いのでしょう。


『作品審査にあたっての感想』

「原稿のないもの部門」選考での感想は、作品に対して「皆がのびのびしていた」こと。
優秀賞の作品のアナウンサーのパワフルさが印象的だった。
奨励賞についても番組ターゲットを考え、工夫した構成としゃべりは今後ほかにも十分生かせるものだと思う。
アナウンサーであると同時に「一人の人間であるという素直な心」もものを伝える仕事には大切な要因。
(高井アナウンサー談)

「原稿のあるもの部門」選考での感想は、ナレーションを如何にして読むかは、アナウンサーの技術力と同時に「本人の人間性・個性」が凝縮されていた。
(吉澤アナウンサー談)

「スポーツ高校野球実況部門」の選考にあたった朝日放送の担当者の感想として、全体的に実況の技術レベルが上がっている。
高校生の一生懸命さを如何にすればより伝えることができるかを考え、アナウンサー自身が努力している姿がある。



【「あなたの知らないアナウンサー」の仕事】

現在、テレビ朝日には「男性35名・女性23名」計58名アナウンサーが所属。
ニュース・スポーツ・バラエティー・情報番組…とあらゆる番組に出演。
しかし、アナウンサーには画面に出ない時にも仕事がある。
その一部を紹介。


〜 実況生中継の準備〜

「2002東京国際女子マラソン大会」の場合(2002年11月17日放送)

番組放送にあたり、9人のアナウンサーが担当になる。
〈大会2日前〉出場選手の変更
上位入賞を期待されたいた「高橋尚子選手」が不参加との発表。
各アナウンサーが組み立てていたレースの展開予想が「ふりだし」にもどる。

森下アナウンサー(大会20回経験)…先頭中継車実況担当
ベテランのアナウンサーはレースの細かい資料を1冊のノートにまとめている。
中継車の中はとても狭いため、資料が見にくい。多くのレースを体験し試行錯誤を重ねた結果。
ノートには「ルート」「道の名前」「交差点の名前」「中継場所」…など細かく記
載。

中山アナウンサー…2号車実況担当
去年の大会VTRをみて実況の練習。
オリジナルのノートを作成。全選手のデータを貼り付る。
大会記録・世界記録…などの参考になる記録なども事前に調べ、ノートに載せておく。

ほかの担当アナウンサーも、各自のレース実況のために何日もかけ事前準備をし、万全に備える。


〜「ディレクター」の仕事〜

アナウンサーとして番組に携わるだけではなく、
時として「ディレクター」として番組を作ることもある。

宮嶋アナウンサー(ディレクター歴は18年)
スポーツキャスターでもある宮嶋アナウンサー。
仕事を通して出会う多くのスポーツ選手達を「普段のリポートとはまた違う形」で取り上げていくためにデレクターとして番組を制作。
選手のプレーの様子から普段の様子を納めるためカメラマンに指示をする。
取材対象者の動向をいつも気にし、変化があれば撮影変更を指示する。
また、インタビューやナレーションも自分自身で行う。


〜「提供読み」の仕事〜

番組の前後に「提供」のお知らせがある。
出てくる文字にあわせ社名などを「読む」仕事。
ほぼ毎日、交代で行われている。
時間にあわせ提供社名などを読み録音する。
1日の提供は、1本の録音テープにまとめられる。
提供の読み方は、番組にあわせて男性・女性アナの指定があったり、番組の開始と終了で読み方が変わる。


〜社外依頼の仕事〜

放送とは別に「イベント」の司会などをすることもある。
映画試写会・展示物の除幕…など、進行や周りの雰囲気も普段とは違う部分がある。状況を見つつの判断が重要。
慣れない仕事も貴重な経験。
この他、「アニメーションの声優」「映画の出演」…等、


〜 「講師」の仕事〜

テレビ朝日アスクでのアナウンサー講義。
受講生に対しての指導。
講義・実習を通して具体的かつ実用的な指導を行う。

テレビ朝日アスク…テレビ朝日が経営する「アナウンス専門学校」


『アナウンサーに必要なこと』

常に心身が元気であってほしい。物事を前向きに伝えることが基本。
正しい日本語を発信し続けるべきである。
(高井アナウンサー談)



 放送番組審議会からの報告

対象番組:「相棒〜警視庁ふたりだけの特命係〜