5月5

スタジオ : 吉澤一彦アナウンサー
武内絵美アナウンサー


  今村千秋(コメンテーター室)
秋元 隆(番組審査部)



【放送内容】


今回は「放送番組審議会」報告と
「メディア規制3法案」についてお送りいたします。

  「メディア規制3法案」とは
1.個人情報保護法案            
2.人権擁護法案
3.青少年有害社会環境対策基本法案

  「メディア規制3法案」
この法案は「国民の知る権利」と「表現の自由」を侵すのではないかと問題視されている法律であり、多くの場で議論されています。
「青少年有害社会環境対策基本法案」については、与党内での反対があり、今国会の法案提出は見送られた。
しかし、「個人情報保護法案」「人権擁護法案」については、国会審議に入った。
この「個人情報保護法案」「人権擁護法案」の法制化にあたり、メディアをはじめ文化人などが言論と表現の自由を守るために猛反対を続けている。

  「メディアが反対をする理由」
そもそもメディアというものは「国民の知る権利」に奉仕する義務がある機関である。
そのメディアを「法」で規制するということは、「国民の知る権利」が妨害されてしまうことになりかねないという点から反対する。

  「個人情報保護法案」とは
「個人情報の流出によるプライバシーの侵害から個人の権利利益を保護する」為の
法案。

(問題点)
たとえ正当に取得した情報でも情報もとの本人の要求があれば、提示しなければならなくなりかねない。そして、本人が納得がいかない場合は「利用停止」にすることも可能になる。
また、内部告発での事件発覚・解決などが困難になるおそれがある。
・・・など

 「人権擁護法案」とは
不当な差別や虐待に苦しむ被害者を救済し、予防するための法案。
そのために法務省が管轄する「人権委員会」を新設。

(問題点)
「人権委員会」を設けることに幾つかの問題点がある。
「人権委員会」は法務省の管轄下にあり、政府からの独立性がない。
委員会により「報道機関による人権侵害」と判断された場合、取材が不可能になる。
また、この法案では、政治家などの「公人」も「私人」も区別がない。
・・・など

「個人情報保護法案」は、報道機関にたいしては配慮されることになっているが、今回の「個人情報保護法案」と「人権擁護法案」の2つを併せて適用することで国が「メディアを規制する」ことができる法案になっているといっても良いと思う。

また、憲法21条で「表現の自由」は保障されている。ドイツやアメリカなどでも「メディアを規制するような法律」はない。
メディアは、政府から独立したものである。

1993年: 国連総会で世界に向けて「人権救済機関の独立性の確保」を求めた。
1998年: 国連は、日本政府に対して「人権侵害の申し立てに対する調査と救済のため」の機関、政府とは独立した人権機関の設立を勧告した。

国際的視野においても、今回の法案ありえないものである。
国民の立場としてもこのような政府を持つことは、恥ずかしい。

詳しくは、
『テレビ朝日としての「メディア規制3法案」に対するアピール』
をご覧下さい。

  「メディアが抱えている問題について」自主的活動
テレビ朝日独自の「放送ハンドブック」を制作。
全局員に配布。放送人としての基本姿勢や取材時の注意点などを細かく記載。
制作する際、手元に置くよう心がけている。

すでに、民放各社とNHKでは、様々な組織をつくり、自主的にチェックをしている。

「放送と人権等権利に関する委員会機構」(BRO)
機構内にある「放送と人権等権利に関する委員会(BRC)」が放送による人権侵害を審理。
BRCは弁護士・大学教授など放送業界外の委員で構成される第三者機関。

「放送と青少年に関する委員会」

テレビ朝日「視聴者センター」

また、放送法で定められたものとして
放送番組審議会を毎月開催

  最後に
今回の法案が出ていた背景には、我々メディア側にも責任があることを自覚する必要がある。
取材をしている上で自分達が加害者になっているケースがあることを十分反省する。
また、これからも番組作りを通して視聴者の方からの信頼を獲得していくことが大切なことである。


放送番組審議会」報告
:「公的規制とメディアの自律のあり方」について