バックナンバー

#1028
2026年9月13日

国際ビジネス開発部の仕事

【番組司会】菅原知弘(テレビ朝日アナウンサー)
      桝田沙也香(テレビ朝日アナウンサー)
【ゲスト】稲葉真希子(国際ビジネス開発部 部長)
     依田摂子(国際ビジネス開発部)
【ナレーター】田中萌(テレビ朝日アナウンサー)


日本の放送コンテンツの海外輸出額は
なんと!1千億円を突破しています。
日本でお馴染みのドラえもんも世界各国で大人気!
ベトナムでは子供から大人まで、
幅広い年代に愛されているんです。
そう、いま、日本のアニメ、ドラマ、バラエティ番組が世界を席巻中。
日本独自の番組を、テレビ朝日では
どのようにして世界へ送り出しているのか?
今日は、テレビ朝日の海外ビジネスに関する業務を行う
「国際ビジネス開発部の仕事」を紹介します。





<国際ビジネス開発部とは>
(稲葉)
テレビ朝日が制作、放送、もしくは何らかの形で関わる番組を
海外に送り出していくセクションが我々、国際ビジネス開発部になります。
完成された完パケ番組だけではなく、現在はリメイクやフォーマット、
もしくはIPビジネス、商品化のような仕事まで幅広く行なっています。
部署の中でいくつかのチームに分かれて連携しながら、
コンテンツを海外に拡張していくという仕事をしています。



<コンテンツ IPの海外展開>
(稲葉)
販売の仕方としては、年に数回コンテンツマーケットという
「番組の見本市」が世界各地で開かれていまして、
年間に数カ所、我々が出張してブースを構えたり営業をしたりしています。

毎年10月にカンヌで開催される
世界最大級の映像見本市、MIPCOM。
去年は107の国と地域から、およそ1万人が参加。
350社の出展ブースが並びました。
見本市では、世界中からコンテンツを買いたい人、バイヤーと
売りたい人、セラーが一堂に会し、商談はもちろん、
試写会などを通じて、自分たちのコンテンツを世界にアピールしています。


(稲葉)
主要なエリアの拠点で行われるマーケットに出かけていきます。
取引先のリストがあり、そのリストから自分が扱うコンテンツで
「この人って買ってくれるかな」とか、「この人興味あるのかな」という
取引先を探してアポイントを取るか、もしくは現地でふらっと紹介されるか、
ブースに飛び込むとか行います。
星の数ほどいる取引先の中から取引先を探し、会うかたちになります。
本当にいろんな人たちがいるので、どんな会社で何をしているのか?
どのエリアでどういうサービスでコンテンツを届けているのか?その人のお人柄とか。
あとはやっぱり自分たちのコンテンツをそのエリアに大事に育ててくれるのか?
コンテンツにとっても“長く続く”ということがすごく大事なので、
どう育ててくれるか?と。
何年もかかって交渉がまとまることもありますし、
ポンと決まっちゃうこともあります。
交渉は様々になっています。

<契約交渉の難しさ>
―交渉の中でいろんなパターンがあって大変なことが多くないですか?

(依田)
大変ですね。契約にすごい時間かかります。
エネルギーもかかりますし、契約プロセスがすごく細かかったりして、
時間がとにかくかかる。だから一つの案件でも数年かかるケースもあるので、
結構根気が必要になってきます。

(稲葉)
日々新しいこと、日本だって新しいことが出てくるじゃないですか。
海外も同じで、この権利はどう処理したらいいだろう?ということが多い。

(依田)
国によって違いますし、相手によっても違います。
この人はこう言っていたけど、この人は急に違うこと言ったり、
それらに対応していかないといけないのが大変です。



<力を入れていること>
(稲葉)
一つのジャンルとしてアニメ、
もう一つジャンルとして完成された番組ではなく、
フォーマットリメイクというジャンルがあります。
これはグローバルのコンテンツマーケットでは、
非常に注目されているジャンルとなります。
「フォーマット」という言葉がちょっと聞きなれないかもしれないですが、
いわゆる「番組の設計図もしくはレシピ」みたいなものです。
そのレシピで海外のバージョンが作れるというところがあり、
番組のコンテンツに含まれるフォーマットとして売れる権利を
ビジネスとして活用していくという形になります。


―これまでにどんな番組がフォーマットリメイクされているんですか?

(依田)
テレビ朝日で一番フォーマットとして売れているのが
「ロンドンハーツ」の1コーナー「格付けしあう女たち」。
既に10カ国で展開しております。

テーマに沿って1位から10位までをランク付けし、
その順位や本音を巡ってトークを展開する
「ロンドンハーツ」の人気企画「格付けしあう女たち」。
このフォーマットは
11カ国でローカル版が制作されています。
オランダでは2006年に放送開始。
今年、放送20周年を迎えました。


(依田)
「ロンドンハーツ」以外にも2021年に放送された
「ビビらせ邸」という心拍数を使ったサバイバルゲーム番組。
こちらがノルウェーとデンマーク、おもに北欧で展開しています。
日本版に関してはハウススタジオで収録したんですけど、
ノルウェー版は廃病院を舞台にしていて、ちょっとホラー味が強い。
一方、デンマーク版はポップで明るめな感じになっているので、
同じ番組でも国によっても全然違うトーンになるのが、
このフォーマットビジネスの面白い部分だなと思います。



<現地でリメイクする理由>
(稲葉)
やっぱりローカライズ、現地の言葉で現地のコンテンツというものが、
最終的にはやっぱり一番強い。
日本人もやはり日本のコンテンツを一番ご覧になります。
完成された番組を売るというのも、一つコンテンツの届け方ですけれども、
我々が作ったもの例えばアメリカバージョン、タイバージョン、韓国バージョンで、
より親しんでもらう違う届け方をします。
たぶんご覧になっている番組の中に、韓国のリメイク番組があったりだとか、
アメリカのリメイク番組があったりだとか、
テレビ朝日でも韓国のドラマ「スカイキャッスル」を
リメイクしていることがあるように、
我々も自分たちのストーリーや自分たちのフォーマットで、
海外の人たちに作ってもらいたいというところでセールスをしています。
新しい届け方です。

<新たな取り組み>
(依田)
去年くらいから編成、制作の協力を得ながら、
フォーマットセールスを目的にした企画開発を行っていまして、
その第1弾として去年の3月に「SONG vs DANCE」
という番組を放送したんですけど、
歌とダンス、まったく異種のものを対決させてしまおう
という今まで見たことのないような番組で、
今年の3月にエストニア版が制作されて、現地の放送局で放送されたんですよ。
エストニアは歌とダンスの国なのでぴったり。
日本版は1話しか作っていないんですけど、
エストニア版は7話で、挑戦者の数も増やして
現地でも非常に好評を得ました。

<グローバルチャレンジ>
(依田)
グローバルチャレンジ枠というのが、
今年は4月日曜の夜の放送枠に新設されまして、
社内のクリエイティビティ溢れるプロデューサーの方達と
新たな番組企画開発を行っています。

テレビ朝日のスタッフが
海外での放送をターゲットにつくった2つの番組。
今年5月に放送された「DUAL2 ~文武両道アスリート極限サバイバル」は、
日本のトップアスリート10人が、
肉体と頭脳を駆使して競い合うサバイバルバトル。
そして、もう一つは最大500万円の賞金を奪い合う「TRADE ROOM」。
仲間との協力や裏切りが入り乱れ、
駆け引きやトレードによって生き残りをかける
心理・頭脳戦サバイバルゲーム番組です。

<海外でリメイクされる日本のドラマ>
(稲葉)
ドラマに関しては「おっさんずラブ」が香港とタイでリメイクされました。
その時タイ版「おっさんずラブ」の主演の2人が日本版のドラマに出てくれて、
主演俳優がお互いの国で出演しました。
ちょうど同じくらいに撮影が組めたので、
プロデューサーが「面白いからやりましょう」と言ってくださり、
お互いのキャストがお互いのバージョンで出演するという試みも仕掛けられました。

<海外で求められるドラマ作品>
(依田)
家族とか恋愛とか復讐みたいな普遍的でユニバーサルなテーマの中に、
強い個性を持つキャラクターのドラマが求められていて、
とくに人間関係を軸にしたようなドラマの需要が高いです。
あとは日本のドラマというのは10話前後が一般的だと思いますが、
海外の場合は、より話数を広げたい、
場合によっては100話にすることもある。
話数を膨らませられるような内容かどうかというのも
バイヤーさんはすごく重要視しています。

―「100話にしたい」と言われたのはどの国からですか?

(依田)
トルコです。ドラマ大国なんですよ、トルコは。

(稲葉)
本当にそうなんですよ、トルコはドラマ大国で。
日本は話数が一番少ない。
ワンクール、3カ月で区切られているじゃないですか。
海外だと、10話とか20話とか、中国も多いですね。

(依田)
中国も30話とか50話とか話数が多いですし、
中南米も多いですし、
主役が最後にいなくなっちゃうドラマは、やっぱりトルコからは
「避けてほしい」と言われちゃいます。
ストーリーが終わってしまうので。



<リメイクで大切にしていること>
(依田)
やっぱり、契約していただく相手に
作品の根幹となる部分をしっかり理解していただいて、
愛情を持っているかというところを大切にしています。
現地版を作るとなると、どうしても現地向けの視聴者だとか、
文化慣習に合わせた設定の変更とか、アレンジが加えられることは非常に多い。
作品のコアとなる部分が損なわなければ、そういったローカライズ変更をしても
日本の脚本家さんやプロデューサーの方にご理解いただけていること多いです。

<今後の海外展開>
(依田)
「ドクターX」と「リーガルV」が
それぞれ韓国でリメイクされる予定です。

2012年の放送開始以来7シリーズが制作され、
劇場版も大ヒットを記録した「ドクターX」。
大門未知子のキャラクターが
韓国版でどのように表現されるのか、話題を呼んでいます。

―「ドクターX」に関してはちゃんと「私、失敗しないので」という
決め台詞がいきているんでしょうか?


(稲葉)
言っていいのかな…あります。



<国際ビジネス開発部のこれから>
(稲葉)
みなさん「グローバル、グローバル」と言いますけど、
グローバルという国はないんです。
本当に国によって全然違います、文化も言葉も。
ただ、本当にこのデジタル時代になって、
コンテンツはいとも簡単に国境を越えていきます、デジタルですから。
私たちの想像を超えて、現地の人たちがいろんな形で楽しんでくれるとことも
分かってきています。
なので、私たち国際ビジネス開発部では、
日本でできていることは海外でもきっとできるはず、という信念のもとに
海外でも日本と同じように楽しんでもらえるように、
ということで、ビジネスを広げていきたいと思っております。