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#994
2026年1月11日

第66回 テレビ塾「博士ちゃんができるまで」
~ 笑って泣けて学べる授業 はどう生まれる?番組制作の裏側~

【番組司会】菅原知弘(テレビ朝日アナウンサー)
      桝田沙也香(テレビ朝日アナウンサー)
【ナレーター】田中萌(テレビ朝日アナウンサー)
【テレビ塾 講師】鈴木忠親(テレビ朝日 コンテンツ編成局第2制作部 ゼネラルプロデューサー)
         米田裕一(テレビ朝日 コンテンツ編成局第2制作部 エグゼクティブディレクター)
【司会進行】萩野志保子(テレビ朝日アナウンサー)



<テレビ塾とは>
テレビをもっと親しんでもらうため
「テレビ朝日」の番組づくりに最前線でたずさわるスタッフが、
「テレビの仕事」について分かりやすくお話するイベントです。



<これまで出演した博士ちゃん>
(鈴木)
これまで出演した博士ちゃんは、268名。(※2025年9月時点)
最初が野菜の博士ちゃん。次に美空ひばりが好きすぎる博士ちゃん。
そして金魚すくいの博士ちゃん。今でこそ268名も出ていただいてますが、
最初は次から次へと出てくるのかなという不安がありました。

<博士ちゃんを見つけるセンサー>
(米田)
私たちが“博士ちゃんな予感がする”ときのイメージですが、
例えば、道路博士ちゃんの一翔(かずま)くんの場合
お母さまから番組宛てにきた応募文を見ると
“自分で考えた空想の街の地図をひたすら書き続けています”とか
“同級生に同じ温度で語り合える友達がおらず、少し寂しそうにしています”
このように、おうちの方が困っていて、どうにかしてくださいみたいな時に
博士ちゃんセンサーが働くようになってきています。

実際、会いに行くと、大宮駅と書いてある地図を見せてくれるのですが
埼玉の大宮ではなく、一翔(かずま)くんが考えた街の大宮であったり、
酷い状態の道“酷道(こくどう)”というものがあることを教えてもらいました。

サメの博士ちゃんは知り合いの漁師さんたちからもらってきたサメを
標本が作りたいからと、冷凍庫に入れていました。
博士ちゃんたちが、冷蔵庫や冷凍庫を使って困らせる話はあるあるです。

あとは路線バスの博士ちゃんの蒼太(そうた)くんは
路線バスが好きすぎて、お風呂場にある棒につり革を取り付けていました。
使い道はよくわからなかったです。

みなさん、とても幸せそうなのですが
“助けて”とか“うちの子とんでもないことになっちゃってるんです”と
発信があると、僕らに博士ちゃんセンサーというものがあるとしたら
“おや、博士ちゃんらしいな”と感じるようになりました。

<取材で心がけていること>
(米田)
とにかくディレクターがたくさんしゃべって
彼らが“どんなことが好きなのかな”をキャッチボールしていきます。

例えば、北海道の廃線が好きな博士ちゃん。
ディレクターとしゃべっていくうちに、本人も楽しくなって
昔作ったものなどを紹介してくれるんです。

(鈴木)
きっと親御さんは、そういう話をいっぱい聞いてると思うのですが
第三者に自分の子どもが好きなことを一生懸命話しているのは
あまり見る機会がなかったと思うんです。
実際は親御さんの理解のもと、3時間から4時間ぐらいお邪魔させて
いただいています。
これが入り口というか、きっかけになっているなと思います。



<制作体制>
(鈴木)
規模にもよりますが、博士ちゃん1人をある程度想定で決めた段階で
プロデューサーが1人、ディレクターが2人、
アシスタントプロデューサーが1人、アシスタントディレクターが3人
そして、別チームのプロデューサーで1チームになります。

僕らが一番気にしているのは、博士ちゃんが本当にやりたいと思って
しゃべってるという状況を、常に維持してあげることです。
こちらから“こんなことはできるかな?”という要求に
博士ちゃんも前のめりに“やれます”“こんなこともできます”というのは
もちろんいいことではあるのですが、そこでちょっと無理が生じてないかとか
やはり博士ちゃんも気負ってくるので、期待に応えなきゃというものが
いい方に向けばいいんですけど、ちょっと苦しめているのではないか
ということを気にしています。

別チームのプロデューサーが“この子本当にこんな子だったっけ?”
のようにフラットな立場になっています。



<博士ちゃんが放送されるまで>
①博士ちゃんを探す
(米田)
大きく2つあって、番組ホームページへの応募と
番組スタッフがSNSや地方紙を見てオファーします。

例えば陽太(ひなた)くんとの出会いは
地元の高知新聞でダムマニアという形で紹介されていた記事を見たのが
きっかけでした。

②ディレクター取材
取材時の陽太くんVTR
「もともと早明浦ダムへ旅行にいっぱい行ってて、そのダムが高くて
いきなり山にごっついダムが出てきて、印象に残って好きになりました。
音がいいんですよ。ふわぁ~ しゃあ~ しゅう~
ひゅ~ ふぅ~ ふぅ~ しゅわ~ みたいな。」

(米田)
新聞でもあった通り、知識はもちろん、情熱がすごいということが
だんだんわかっていき、実際に今のVTRを会議にかけ、
そこで授業を決めていきます。

③会議でプレゼン
取材時の陽太くんVTR
「(ディレクター)やっぱりダムの見た目とか放流が好きなの?」
「見た目にとらわれすぎですよ。
ダムだけでジャングル何個分もの冒険ができます。」

(米田)彼がダムそのものだけじゃなくて、向かう途中や自然豊かなところとか
ダムに行くまでが壮大な冒険じゃないですかと言ってくれたのを受けて
“ダム博士ちゃん”ではなく“ダム冒険博士ちゃん”という形で、
授業してもらったらいいんじゃないかと、決まりました。

その後、博士ちゃんチームが形成されて
取材やロケに行ったりして、本番の準備をチームで
みんなで作っていくという形になります。

④本人リハーサル
(米田)
本番前のリハーサルでは、サンドウィッチマンさんと芦田愛菜さんの前では
かなり緊張しちゃうと思うので、担当ディレクター以外のスタッフが
MC役となって、初めて大人の前でやってみるのがかなり重要。

この中で進行の練習はもちろんなんですけど、
我々から見て、他の魅力がないかも探していきます。

リハーサルの様子VTR
「(スタッフ)陽太くん、本持ってくの?
「(陽太くん)なんかのために持っていっちゃうんですよ。」
「(スタッフ)ダムでダムの本を読みたいんだ」
「(陽太くん)ダムでダム、あとはですね、サングラスです。」

(米田)
こうして陽太くんの準備しすぎてるリュックが面白いってことが
リハーサルで分かり、これをスタッフで共有し本番を迎えます。

⑤本番&放送
本番の様子VTR
「(陽太くん)ダムの本。」
「(伊達)それは、いらんだろ!」
「(陽太くん)いやいるんですよ。」(笑い)
「(伊達)」それなに?」
「(陽太くん)サングラスです!」(笑い)
「(伊達)いらねえな!」
「(陽太くん)眩しいときもあるんですよ!」

本番終了後
「(伊達)最高に面白かったな」
「(芦田)面白かった」
「(陽太くん)楽しかった」

(米田)
こういう一言がすごく番組スタッフにとって
本当にうれしい瞬間です。
収録を成功させた担当チームはもう家族みたいになってるので
写真を撮ったり、ミニ反省会をして
“次はこうしたい!”みたいなことを話したりして編集へ向かい
皆さんに実際に見ていただいているような博士ちゃんの放送へと
繋がっていくと、大きく分けるとこういう過程で作られています。



<参加者からの質問>
―今後、博士ちゃんが足りなくなる不安はありませんか?―

(鈴木)
これまで、歴史の博士ちゃんでも何人もいるんです。
野菜の博士ちゃんも何人かいます。
結局、仮にテーマが同じだとしても、その子によって違うものが見えています。
違う以上は、もう違う授業になるという認識でいるので
この先どうかなって不安になったことは今はないです。

(米田)
でもこの間、ピンチではないですけど面白かったのが、
あの博士ちゃんはどうなったのか、また出てもらいたいとオファーしたら
“全然それ好きじゃないですね”って言われて、もう飽きたと…。
キノコ好きの子が、今は海洋生物が好きですとか
全然違うことを好きになってるって子もいました。
子どもの好きってそんなもんだなと。

(鈴木)
必ずしも、そのまま突き進んでいってることが
正解ではないっていうのが、
まさにこの成長とともに番組で見させてもらっている。
そんな目線もあるかもしれないです。

次回のテレビ塾
「報ステスポーツができるまで」
~“唯一無二”こだわりの詰まった舞台裏~

開催日時:1月24日(土)14時~15時30分
視聴方法:テレ朝動画にて無料配信 ※tv asahi iD への事前登録が必要です(登録無料)
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