バックナンバー
#959
2025年4月20日
民間放送教育協会【日本のチカラ】後編
【番組司会】山口豊(テレビ朝日アナウンサー)
八木麻紗子(テレビ朝日アナウンサー)
【ナレーター】田中萌(テレビ朝日アナウンサー)
【出演】吉永 みち子(民間放送教育協会 会長)
【VTRナレーション】宮入 千洋(信越放送アナウンサー)
中根 夕希(中国放送アナウンサー)
八木麻紗子(テレビ朝日アナウンサー)
【ナレーター】田中萌(テレビ朝日アナウンサー)
【出演】吉永 みち子(民間放送教育協会 会長)
【VTRナレーション】宮入 千洋(信越放送アナウンサー)
中根 夕希(中国放送アナウンサー)

民間放送教育協会が制作する「日本のチカラ」
その一部を紹介しながら、民教協の歩みについてお届けします
その一部を紹介しながら、民教協の歩みについてお届けします

― VTR ―
- ナレーション:
- 人々の想い、あふれる笑顔、紡がれる伝統…
心温まる物語を描く、教育ドキュメンタリー番組「日本のチカラ」
ダイジェスト版で紹介します- 人々の想い、あふれる笑顔、紡がれる伝統…
①<とうちゃんは茅葺師 ~北アルプス 麓の村の1年~>
(2021年6月放送)
(2021年6月放送)
- ナレーション:
- 茅葺師のとうちゃんがいる松澤家は7人家族。
朝ごはんは全員揃っていただきます。- 茅葺師のとうちゃんがいる松澤家は7人家族。
番組スタッフ
「とうちゃんが茅葺師と聞いたときは?」
妻:彩子さん
- 「
- 最初は知らなかったので、そういう職業をね
びっくりしたんですけど、手を見せてもらったら
すごいじゃないですか、さらにびっくりしましたけど…。」- 最初は知らなかったので、そういう職業をね
- ナレーション:
- そうなんです、とうちゃんの手すごくごっついんです。
さらに触ると“これ人の手?”って思うほど。- そうなんです、とうちゃんの手すごくごっついんです。

妻:彩子さん
- 「
- すごく失礼な言い方なんですけど、いまキレイな状態なんですよね(笑)」
- 「
- いまキレイな状態ですよ。すすが入ったりして爪の中までは磨けないけど、
茅の中に何か入ってるとすぐにわかるんで、
そういうセンサーはすごい…。」- いまキレイな状態ですよ。すすが入ったりして爪の中までは磨けないけど、
とうちゃん:松澤 朋典さん
ナレーション:2020年の夏、長野県佐久市で屋根修理を頼まれました。

番組スタッフ
「松澤さん、この屋根はどういう状態なんですか?」
とうちゃん:松澤 朋典さん
「松澤さん、この屋根はどういう状態なんですか?」
とうちゃん:松澤 朋典さん
- 「
- これ軒下の方が傷んで土になってて、
ところどころ土になってるんで、あんまりこういうのは良くない。
そうすると一気に雨漏りが始まっちゃって。」- これ軒下の方が傷んで土になってて、
- ナレーション:
- 修理の場合は、新しい茅とこれまで屋根にのっていた茅を混ぜて使います。
土色に見える茅も引き出してみると黄金色、
このまま現役続行という茅も多いんです。- 修理の場合は、新しい茅とこれまで屋根にのっていた茅を混ぜて使います。
とうちゃん:松澤 朋典さん
「やるのは素手です。僕は手で感じる感覚を大事にしている。」

- ナレーション:
- 小谷の茅葺きはほぼ手仕事。やり方を変えぬまま時代を渡ってきました。
- 「
- 僕たちはそれがいいと思って今まで守ってきたから。
道具も自分たちが昔から手作りで作ってきている道具しかないんだけど、
小谷村で育った技術を何か自信を持って変えずに。
日本全国どこへ行っても恥ずかしくないような家を作り続ける
集団であってほしいなって。」- 僕たちはそれがいいと思って今まで守ってきたから。
- ナレーション:
- 屋根葺きの仕事は、父ちゃんのじいちゃん松澤 直人が
1930年代、昭和初期に始めました。
父ちゃんの父ちゃん、松澤 敬夫が中学卒業と同時に弟子入り。
ずっと二人三脚で故郷の屋根を守ってきました。
小谷は長野県内有数の豪雪地。
2メートルを超える雪にも耐えられる強い茅葺きが誇りです。
家業には興味がなかったというとうちゃん。
東京で働いていましたが、会社が倒産し、25歳の時に帰郷。
そこからがむしゃらに働きました。
佐久市の寺で修理が始まって1カ月、作業は屋根の上の方に移ってきました。この日は父ちゃんが表側。
屋根裏には茅葺き職人を目指し修行中の塚本さん。
二人三脚で針取りを行います。
この鉄の棒が茅葺きで使う針、かなり大きな縫い針です。- 屋根葺きの仕事は、父ちゃんのじいちゃん松澤 直人が
とうちゃん:松澤 朋典さん

とうちゃん:松澤 朋典さん
「これは何だろう? 隅ザスかな?」
塚本さん
「いや屋中です」
とうちゃん:松澤 朋典さん
「屋中? この場で取れる?」
塚本さん
「左2寸で」
「これは何だろう? 隅ザスかな?」
塚本さん
「いや屋中です」
とうちゃん:松澤 朋典さん
「屋中? この場で取れる?」
塚本さん
「左2寸で」
- ナレーション:
- 針金を通して屋根裏に刺し、屋根裏では塚本さんが取って木にからげ
刺し直した針に巻き付けて返す。左2寸でと言っているのは、
針を刺し直してもらう位置を伝えています。- 針金を通して屋根裏に刺し、屋根裏では塚本さんが取って木にからげ
塚本さん
- 「
- 親方が踏んだら、すすがシャワーみたいに落ちてくるので気をつけてください。
- ナレーション:
- 屋根ふきが終わり、刈り込みが始まりました。
山間に響くのは茅を切る音だけ。屋根に命が宿っていきます。
出来上がった屋根は斑模様。
古い茅と新しい茅が混ざった独特な色合いが特徴です。- 屋根ふきが終わり、刈り込みが始まりました。
― VTR感想 ―
- 吉永:
- たくさん重要な建造物、茅葺きの屋根のものはあると思います。
やはりそこで茅葺きの屋根を、すごい技術力で守ってくれてる人がいなければ、
おそらく文化財になっているような建物でも、
枯れていくしかなくなってしまうわけです。
そういうようなものが、こういう作品の中から伝わってくれれば、
何かちょっと視点も変わるのかなという期待を持っています。- たくさん重要な建造物、茅葺きの屋根のものはあると思います。
― VTR ―
②<被爆樹木の声を聴く~広島の永遠のみどり~>
(2022年7月放送)
(2022年7月放送)
- ナレーション:
- あの日、原爆に耐えた木は今も大きく成長しています。
このクスノキは爆心地からおよそ2キロのこの場所で被爆しました。
樹木医の堀口 力さん。
広島市からの委託で160全ての被爆樹木を手入れしています。
この日は腐った枝を剪定。- あの日、原爆に耐えた木は今も大きく成長しています。
- 「
- 膨らみがおさまったところから、切ってもらえますか?
枯れますと、だんだん(虫が)腐った中の方に入っていきます。」- 膨らみがおさまったところから、切ってもらえますか?
樹木医:堀口 力さん

- ナレーション:
- 被爆樹木の4割ほどは、枯れてしまう可能性があります。
主な原因は、原爆の影響や都市化に伴う環境の変化が考えられています。
緑に囲まれた平和大通り、1951年公募で名付けられました。
焼け野原になった街に日本各地から木が集まり、
この道は復興の象徴となったのです。
被爆した多くの木も翌年には、緑を吹き返したと言います。- 被爆樹木の4割ほどは、枯れてしまう可能性があります。
― 被爆樹木の保護を始めたころの思い出は? ―
樹木医:堀口 力さん
樹木医:堀口 力さん
- 「
- 当時は28歳ぐらいだったんですよ。
被爆樹木をを守ると言っても、
山野さんみたいな年をとった仙人みたいな人が言わないと
人は聞く耳を持ってくれないんだろうと。
“先生 樹木を見る時はどういうところに気をつけたらいいですか?”
山野さんに聞いたら“木の声を聴きなさい”と言われたんですよ。
なんと哲学的なことを言ってくれるな~。
どの分野でもそうだろうと思うんですよ。経験の回数を重ねると、
今までは見えなかった部分がヒュッと何かのつながりの中で
自分で発見するとか見えてくるとかいうところは
私はあるような感じがしますね。」- 当時は28歳ぐらいだったんですよ。
- ナレーション:
- 生まれは満州、宮崎で自然に囲まれて育った堀口さん。
広島の造園会社に勤めたのが縁で被爆し、木を守る仕事を始めます。
国連に招待されるなど、世界中に活動の輪を広げています。
今、堀口さんが心配しているのが、広島市役所にあるソメイヨシノ。- 生まれは満州、宮崎で自然に囲まれて育った堀口さん。
- 「
- (原爆のよるものと考えられる)傷がありまして
それがだんだん広がったりして、腐りが広がるんですけども、
あの辺の枝を見ていただくと分かるように、
まだまだ今年も花を咲かせようと頑張っておりますね。
この木の生きようとする生命力はすごいものがある。
“がんばっちょるな”というのは分かりますね。
これが乾燥しますと、せっかく出た根っこがまた死んでしまうんですね。
新たに資材を入れて乾燥しないような処置をする。
根が成長しやすい状態を作ってあげる。」- (原爆のよるものと考えられる)傷がありまして
樹木医:堀口 力さん

ナレーション:この緑の力に励まされた男性がいます。
広島大学名誉教授:北川 建次さん(爆心地から1000mほどの小学校で被爆)
広島大学名誉教授:北川 建次さん(爆心地から1000mほどの小学校で被爆)
- 「
- あなた方だって知らんでしょ、分からんでしょ、戦争の実際の怖さわね。
今は平和な時代でいいですよね。本当にありがたい時代だと思うよ。」- あなた方だって知らんでしょ、分からんでしょ、戦争の実際の怖さわね。

- ナレーション:
- 被爆者の平均年齢が84歳となる中、
被爆樹木について語ることができるのは北川さんだけになりました。
87歳、歳を重ね歩くことが難しくなり、視力もほとんどありません。- 被爆者の平均年齢が84歳となる中、
- 「
- よく見事に復興したもんだというふうに思うんですね。
すごいものですね、人間の力というのは。」- よく見事に復興したもんだというふうに思うんですね。
広島大学名誉教授:北川 建次さん
妻:緑さん
「こういうこと語る時が一番嬉しそう、年取ったんでしょうね。」
広島大学名誉教授:北川 建次さん
- 「
- 本当はね、もう少し被爆体験の証言をしたいんだけど、
もうこんなに体が弱ってしまって、もう足がダメだね。」- 本当はね、もう少し被爆体験の証言をしたいんだけど、
- ナレーション:
- あの日、爆心地から1キロほどの小学校で被爆。
同級生のほとんどが命を落としました。
北川さんはガラスが体に刺さりながらも戦火から逃れ、
川を泳いで渡り、このヤナギまでたどり着いたと言います。- あの日、爆心地から1キロほどの小学校で被爆。
- 「
- よく遊んでいたヤナギの木もね、あんなにめちゃめちゃになって
引き裂かれるような感じで、
あの時にもう枯れてしまったんだろうと思ってたけどね、
よく残っていたですね、不思議にね。」- よく遊んでいたヤナギの木もね、あんなにめちゃめちゃになって
広島大学名誉教授:北川 建次さん

- ナレーション:
- 原爆により、幹の上部を失いました。
しかし、新しい幹が成長し毎年緑に色づきます。- 原爆により、幹の上部を失いました。
- 「
- 被爆の惨状をいまだに示して物語っているんですよ。
通りの様子というのはありありと覚えているし
“三度許すまじ原爆をわれらの上に”
本当にね、私はすごい力だと思うんですよ。」- 被爆の惨状をいまだに示して物語っているんですよ。
広島大学名誉教授:北川 建次さん

番組スタッフ
「先生も(被爆樹木に)力をもらいましたか?」
広島大学名誉教授:北川 建次さん
「先生も(被爆樹木に)力をもらいましたか?」
広島大学名誉教授:北川 建次さん
- 「
- もらったですよ。だから本当はあそこに行ってね、
またヤナギから力をもらいたいんだけど、もうちょっと行く力がないから。」- もらったですよ。だから本当はあそこに行ってね、
- 「
- カサカサっとした肌ではありますけれども、温かみといいますか、
命といいますか、そういうのを感じますよね。
あまり人が手を加えすぎてやると、
本来の歴史的な価値もそこなうんじゃないかという思いもあるんですね。
こちらが想像した通りになるかはわかりませんけど、
“木の声を聴きながら”、木のボディランゲージを観察しながら、
五感を通じて感じ取ることが大事かもわかりませんね。
原爆以後の緑というのは、大きく広島の平和に貢献しておるんかな
という思いがあります。
次の人たちに被爆樹木を守るということについては
バトンタッチをしていきたいと思います。」- カサカサっとした肌ではありますけれども、温かみといいますか、
樹木医:堀口 力さん

― VTR感想 ―
山口:すごく大事なテーマ、それをしっかり描けていますよね。
- 吉永:
- 原子爆弾が落ちた後、何十年も草も木も生えないだろうと言われたところで、
生き延びてくれている1本の木が、
ものすごい人々に励ましを当時は与えたのでしょう。
こういうことを発掘してきて、
そこにまつわる様々な努力をしている人たちを伝えてくれると、
改めて核兵器というのは恐ろしいものだということが、
言葉を超えて伝わるものがあります。- 原子爆弾が落ちた後、何十年も草も木も生えないだろうと言われたところで、


― 視聴者の反応は? ―
- 吉永:
- 「すごく元気が出た。」とか
なくしていたかもしれない希望が、まだあるかもしれないと思ってもらえたりとか、
「もっと他の人にも見せたい。」などの反応があります。
やはり、番組制作をする側として嬉しいのは、
「こんないい番組を作ってくれてありがとう」というようなもの。
それから、自分がすごくちょっと流されて、
ちゃらんぽらんに生きてきたんだけれども、
「ちょっと一生懸命生きなければ。」
そんなお返事とか声が届くと、やっぱりすごくうれしいです。
放送してよかったなって思います。- 「すごく元気が出た。」とか
山口:まだまだやれることはいっぱいありそうですね。

- 吉永:
- あとはそれぞれの放送局がしっかりと、この激動の時代を乗り切って、
自分たちができる力を十分に、いつまでも発揮してもらえるようにと
願うばかりでございます。- あとはそれぞれの放送局がしっかりと、この激動の時代を乗り切って、

「日本のチカラ」
毎週土曜 あさ5時20分~5時50分
毎週土曜 あさ5時20分~5時50分