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#954
2025年3月16日

サッカーW杯 アジア最終予選

【番組司会】山口豊(テレビ朝日アナウンサー)
      八木麻紗子(テレビ朝日アナウンサー)
【ナレーター】田中萌(テレビ朝日アナウンサー)
【出演】松木 安太郎(サッカー解説)
    寺川 俊平(テレビ朝日アナウンサー)


サッカーW杯2026 アジア最終予選
3月20日に行われる“日本vsバーレーン”の注目ポイントを
ご紹介します



― バーレーン戦の注目点 ―
松木:
この試合に勝てばワールドカップ出場が決まります。
しかも、世界で一番早く決まる国が日本の可能性も…。

~アジア最終予選 ここまでの6試合振り返りVTR~

第1戦 日本7ー0中国
第2戦 日本5―0バーレーン
第3戦 日本2―0サウジアラビア
第4戦 日本1―1オーストラリア
第5戦 日本4―0インドネシア
第6戦 日本3―1中国



― 5勝1分けで日本が首位を独走 強さの秘訣は? ―
松木:
1人1人のレベルが上がり、選手層が厚いチームになっています。
もう1つ言えることは、海外でプレーをしている選手が多いです。
どこの国でも日本から来た選手として注目されることで
責任感を持って日本に戻っている感じがあります。

寺川:
その中で、選手たちがたくさん点を取ると気が緩み、油断して失点…。
サッカーはそんなことが起きるスポーツだと思うのですが
今の日本代表はいくら得点しても、まったく手を緩めません。

「自分たちが目指している場所はもっと先にあって、
もっといい試合ができる。」「もっといい勝ち方ができるチームに
しなければいけない。もっと強くなりたいんだ!」という思いを
一致団結して思っているからこそ、決して手を緩めないし
失点した後の修正も早いところが、今の日本代表が最終予選で強く
いられる要因なのかなと思います。
松木:
10年、20年ぐらい前は「日本はどうしても中盤の選手層が薄いから
もっと中盤の選手の技術を上げましょう。」という時代もありました。
今はそうではなく、攻撃の選手、中盤の選手、ディフェンスの選手、
ゴールキーパーも含めて、全部の選手がポジション関係なく
レベルが上がったことも大きな要因だと思います。



― 強さの背景には、昨年開催されたアジアカップの経験もあった? ―
松木:
優勝候補で、日本がダントツで勝つと言われていましたが
残念ながらベスト8どまりでした。
我々もちょっと落胆したところもあったのですが、
そこでいろんなことが起きたんだと思います。
チームとして目指したいところがうまくいかなかった。
選手同士のかかわりがうまくいかなかった。
その辺が、次に向けてのいい準備になったのかなと僕は思います。

サッカーは監督、コーチがいるわけですが
フィールドで戦っている選手の感覚がすごく大事だと思うんです。
ベンチで分かっても、現場ではまったく違うことが
起きたりします。
戦ってる選手たちの意識だったり、共有するものだったりというものが
やっぱり1つになっていかないといけません。
その辺がすごくできてるのが、今の日本代表だと思います。

― 日本代表 森保監督について ―
松木:
僕はいいと思います。
最初のころは、結構いろいろいじったと思うんです。
それで何かうまくいかないことがあったんですけども
最近は選手に託すというか、大まかなことは言っても
ゲームの中で選手たちがそれを1つずつクリアできる。
そういうチームに仕上げた感じがします。

寺川:
今まで、カリスマ性のある人、やさしい人など
日本代表を率いる監督はいろいろいました。
その中で森保監督は、すごく個を尊重する。
一方で、メンバーを選ぶときには本当はみんな呼びたいけど
「このメンバーにしなければいけない」と決めるわけで
その辺の決断力もあります。 人間的な思いとか信念などを
大事にしながら、選手たちに自分のフィロソフィーを
注入しながら指導をしていく教育者のようなタイプの
監督なのかなと、取材をしていて感じるところがあります。



― 森保ジャパンのコーチ陣について ―
松木:
元日本代表キャプテンの長谷部さんがコーチになったり
長友さんのように大ベテランが選手としているわけですが
コーチの役割も果たしています。
今までのいろんな経験を選手たちに自信として与えています。

そういう選手やコーチ陣がいっぱい日本代表の中にいますから
ゲームの中で選手たちが判断をしなければいけない局面が
いっぱいあるわけです。
その局面がどういう状況になったとしても、いろんなアドバイスが
シミュレーションとして、トレーニングできることが
チーム自体の強化につながっていると思います。

やっぱり監督1人じゃ無理です。
これだけのタレント選手がいて、これだけの環境の中で
サッカーチームをつくるのは1人では難しいと思うので
例えばコーナーキック、フリーキックのアイデアをつくるのは
このコーチであるなど、分散していることを含めて
すごく安定度のあるコーチングスタッフだと思います。


寺川:
長谷部コーチと長友選手の存在は日本にとって大きいと思っています。
例えばそれを象徴するシーンとして、
アジア最終予選の中で望月ヘンリー海輝選手(FC町田ゼルビア)が
初めて日本代表に呼ばれたときなのですが…。

今の日本代表は基本的に海外組が中心なので、
週末の試合を終えて後から合流してくる選手が多いんです。
国内組の選手は先に代表合宿に入って少人数で練習を開始します。

日本代表の初めての活動なので大緊張している望月選手を
練習の後に誘って、3人でパス回しをしたんです。
ときには長友選手が望月選手をいじりながら…
すごく明るい雰囲気で溶け込みやすいように接する。

うまく若手とのつなぎ役になっているコーチ、選手。
ワールドカップに何度も出てますし、
海外のクラブチームで世界を舞台に戦ってきた経験のある2人。

そういった人たちが近くにいるのは、チームがうまく回っていくには
必要なのかなと思います。


松木:
他にも名波コーチも前田コーチもいます。
いろんなタイプのコーチ、しかもいい経験値をもったコーチたちが
いるというのは大きいと思います。

しかもサポーターもかなり熱く応援してくれるという相乗効果が、
すべての力を出し切れるような環境が今の日本代表にはあると思います。

― 松木さんが解説で大切にしていることは? ―
松木:
一番大事なのは、グラウンドでプレーしている選手たちが
どれだけ素晴らしいパフォーマンスを見せてくれるかです。

選手たちが精いっぱいのプレーをフィールドの上でやっています。
これを現場で見ることがベースにないと絶対ダメなことです。
そこに我々の言葉がついていくわけですから。

その中でも、いつも気にしているのは、初めて見た方が
サッカーってどれぐらい面白いのかなということです。
スポーツエンターテイメントの楽しみ方を、
テレビの画面で感じていただけるような解説ができればと思っています。

ですから厳しい言葉もあったり、ジョークもあったり
90分長いですから(笑い)。
いろいろ起伏をつけながら、ただベースにあるのは
選手たちのプレーだということは忘れてはいけないことだと思います。


寺川:
松木さんは本当に丁寧でいらっしゃいます。
ゴールの場面など緊迫したシーンになると、
どうしても名前だけの実況になることがあります。
松木さんは、必ず背番号をつけて下さる。
僕たちもできるだけ何番、ポジション、名前
全部において言えたらいいのですが、
それだと熱が伝わらない場合があるときに
自然に「何番いいね!」という言葉でアシストしてくれる。

そういうシーンが90分の中ですごくあって、
いつも「松木さん、ありがとうございます!」と思いながら
実況しています。

松木:
なんか照れるねぇ~(笑い)。
そんな褒められたことないんでね。

でも初めてご覧になった方が、ルールも選手の顔も分からないときに
背番号などを言ってもらうと、この選手かと僕自身がわかった経験が
ありました。 その方式がいいのかなと思ってやってるんです。

― 松木さんは将来、現場復帰の可能性は? ―
松木:
サッカーという競技はすごく奥の深い部分があります。
しかもフィールドでプレーする選手たちがベースなんですが、
いろんな意味でコーチ・監督の仕事は人間的に成長していかないと
なかなか幅ができないと僕自身感じます。
相当年齢を重ねてきましたので、
「ここでなにかチャンスがあったらどこかで指揮もしてみたいなぁ」
と思うこともありますけど・・。
まぁまぁこれは、私のひとり言ですから。

でもサッカー見るのは大好きですから解説で。
今回はワールドカップの日本代表の優勝を見届けてからにしたいですね。

しかも見届けるのは僕は「将来的に近い」と思ってますから。
僕が元気な間に見たいです!



― 3月20日の日本vsバーレーン どんな戦いに? ―
松木:
バーレーンは自分たちの良さを出してくるというよりは、
日本のいいところを抑えてくる戦術をとってくると思います。
立ち上がりの10分、15分、相手がどうやって戦ってくるかが
重要なポイントだと思います。

2位以下が大混戦なのでポイントを稼ぎたいのは間違いない。
勝利の3ポイント、引き分けの1ポイント
どちらをバーレーンが日本に対し狙ってくるのか…。
そうすると引き分けの1ポイント狙いになってくると思います。


「FIFAワールドカップ2026 アジア最終予選」
第7戦 日本×バーレーン
3月20日(木・祝)よる6時30分
テレビ朝日系列 地上波独占中継 ※一部地域を除く