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#935
2024年10月20日

聴くテレ朝

【司会】山口豊(テレビ朝日アナウンサー)
    八木麻紗子(テレビ朝日アナウンサー)
【ナレーション】田中萌(テレビ朝日アナウンサー)
【ゲスト】藤森 一樹(ビジネスプロデュース局 ビジネス推進部)
     佐藤 理人(ビジネスプロデュース局 ビジネス推進部)
     大島 はるか(セールスプロモーション局 ソリューション推進部)
テレビ朝日の新規事業として今年2月から始まった「聴くテレ朝」
ポッドキャストとは? なぜこの企画を考えついたのか?
音声コンテンツに取り組む「聴くテレ朝」を紹介します。

<「聴くテレ朝」とは?>
― 「聴くテレ朝」とはどんな取り組みですか?

インターネット版のラジオみたいなもので
今年2月から始まったポッドキャストのブランドです。
コンセプトは“近くて・リアルなコミュニケーション”
企画、発案したのは大島さんです。

― ポッドキャストとは…

インターネット上で音声コンテンツなどを配信するサービス。
さまざまなジャンルの番組があり若者を中心に人気となっています。
そんな中、今年の2月に「聴くテレ朝」がスタートしました。

<企画するきっかけは?>
― どういったところから発想が浮かんだのでしょうか?

(大島はるか)
2022年に社内で新規ビジネスの企画募集があり
提出したのが「聴くテレ朝」の原案になります。

コロナ禍、そして育休中という大きな環境の変化から
声に特化した番組を考案。
新たなビジネスとして期待され
社内企画の最優秀賞に選ばれました。

― なぜ音声に特化した番組をつくろうと思ったのですか?

(大島はるか)
企画に込めたモチベーションは大きく2つあります。
1つ目はテレビから離れてしまった若者と
もう1回つながれる手段はないだろうかと考えました。
その時にポッドキャストは若い世代に利用されているメディアなので
テレビ朝日が挑戦する意味があると思いました。

2つ目は最近のコンテンツの傾向として
“まとめ”“倍速”など短くてわかりやすいものが
ある中で「こればかりでいいのかな?」
と疑問に思うことがあり、
それに逆行するようなものをやってみたいと思いました。



<「聴くテレ朝」ラインナップ>
(藤森 一樹)
今年の2月から始めたのは3番組あります。


「アルコ&ピースのしくじり学園放送室ポッドキャスト」
「しくじり先生 俺みたいになるな!!」から派生した番組で社内の制作チームに
お願いしながら作っています。


「さらさラジオ」
入社3年目の鈴木新彩アナウンサーが担当。


「岸政彦の20分休み」
京都大学大学院教授、社会学者、小説家の
岸政彦さんが担当。

バラエティ番組発信のものやアナウンサーが話すもの、
テレビとは関係のないところから発想したものなど、
幅広い形で番組づくりをしています。

<「さらさラジオ」収録現場の様子VTR>
収録現場は空いている会議室など
機材もプロデューサーがセッティングし少人数で行われます。


― 事前打ち合わせ

鈴木アナ「
今日やりたい企画はオリンピックのストーリー性の話。
結構いろいろ考えてきました。」

話す内容は鈴木アナウンサーの好きなこと

事前に作成したメモやプロットをもとに
鈴木アナウンサーが話す内容を組み立てます。

鈴木アナ「
オリンピックを観るうえで
私が惹かれるものに共通したテーマはストーリー性。
試合の中で生まれるストーリー性に惹かれる話をしたいです。
BMX(自転車)の競技自体のストーリー性に
ほれぼれしました。」
― 本番

鈴木アナ「
暑い中、8月も終わりに近づいていますが
絶望的に暑いですね。
本当に夏は何もうまくいかない。
夏がうまくいったことは人生であまりない。
幸せな夏の記憶がそんなにないんですよ。
どうしたら夏ってうまくいくんですかね?

そんな中、今年の夏といえばオリンピック。
おもしろかったと思ったのがBMXのパーク(競技場)
1分間の規定があります。
そして共通のパークがある。
かつ1人だけで挑む。
その中でどれだけストーリーを描けるかというスポーツです。
同じパークでBMXを使う環境は全員同じなのに
通る道も技も違うじゃないですか。
さらにこの選手しかできない技とか
世界初の技が大量に飛び出してるのが
オリジナリティーの権化みたいなスポーツだと思っています。
ストーリーの中に選手それぞれの生き様が見え隠れしている。
私にとってこういうスポーツはファンタジーであり
逃げたくなる状況だからこそのロールモデル(手本)にしたい。
そういう気持ちで観られるから楽しいんじゃないかと思いました。」
― タイトルも鈴木アナウンサーが考えます

鈴木アナ「
惹かれるスポーツにはこの3箇条があった。
惹かれるスポーツの3箇条を見つけました。」

― スタートからおよそ8カ月、鈴木アナウンサーに聞いてみました

鈴木アナ「
全部自分でネタは決めさせてもらっています。
本当にしゃべりたいことをしゃべっている感じなので
あまりネタ探しで今まで苦労したことが無くて
1回も無いというとウソになるかもしれないですが
しゃべるために何か起こさなきゃとか
何か考えなきゃというきっかけになるので
ポッドキャストのおかげで人生の充実度が上がってる気がします。」

― 「さらさラジオ」の収録VTRを観て

鈴木アナウンサーがこんなに生き生きした表情をしていることはあまり見ない。
いい顔をしていました。

― 鈴木アナウンサーの企画が始まったきっかけ

アナウンサーのどなたかに出ていただきたいと思った中で
鈴木新彩アナウンサーの「自分の中にある何かを呼び起こそう」という思いの強さを
アナウンス部のインスタライブの中で感じて。
発言がおもしろいと制作陣で話をして声をかけたのがきっかけです。

― 他の番組は話す内容をどう決めている?

基本的には出演者に大枠を決めていただいています。
先ほどの鈴木アナウンサーのVTRにもありましたが
スマホやiPadに書いたメモをベースに
頭の中で組み立てて話していただく。
しゃべっている人の素が出る番組になっています。
出演者に甘えているのかもしれませんが、そういう番組が多いです。

<「岸政彦の20分休み」イベントの様子VTR>
担当するのは京都大学大学院教授、社会学者
小説家としても活動している岸 政彦さん

岸「
オチのない話とか、ささいな話とか
でも何となく印象に残っている話をたくさん本に書いてきました。
(リスナーは)僕の読者が多いので
趣旨を理解したエピソードをたくさん送ってくれて
双方向的に世界ができて
やっていて楽しいしずっと続けられると思います。」

普段は大阪の自宅からリモートで
収録したものを配信したりしているのですが
先日、初めてリスナーを集めて
イベントが開催されました。

打ち合わせは大まかな流れを確認するだけで
5分ほどで終了。
※ゲストは準レギュラーの三木幸美さん


― イベント本番

岸「
みなさんありがとうございます。
岸政彦の120分休みということで始まりました。

さぁ呼ぼうか。
ザ・大阪という人をこの六本木に呼んでいいのかどうかわからへん。
呼ばんとこうか。
今日このまま1人でしゃべって帰ろうかな。
はい、三木幸美さんです。」

岸「東京大丈夫ですか?」
三木「緊張しますね。」

岸「
東京くると緊張しますね。
僕 美容院行きましたからね。」

― リスナーからの投稿を紹介

岸「
いつも長風呂のお供に楽しく聞いています。
この番組ために防水ブルートゥーススピーカーを買いました。
妻に“なんか風呂でおっさんの声がする”
びっくりするよね、。風呂から違うおっさんの声がしたらw」

今回のイベントは2部構成。
休憩の間に後半ブロックの打ち合わせを行います。

会場では岸さんがたびたび話題にする
愛犬“ちくわ”の映像を見ていただきました。


― イベント後半

制作スタッフはリスナーからの投稿を選び
岸さんに読んでもらうよう伝えます。

岸「
父は腕のよいコックでしたが
毎度毎度 店の酒を飲んでクビになって
どこの店も長続きはしなかった。

(お酒は)やめられへんねん。
俺は1回だけ4カ月くらいやめてたときがある。」

三木「なんでやめようと思ったんですか?」

岸「
やらかしてん。
ここではコンプライアンス的に言えないw」

 「
明らかに不倫みたいな感じの
盛り上がってる中高年カップルが
結構混んでいる電車で
女性がおっさんを見上げて
“あんた 好きやで”って言ったらしい
電車の中、全員“が家でやってくれへんかな~”
外でやってくれへんかな~ってw

まぁ人生いろいろですわ
いろんな人生があるっていうオチでどうですか?
ということで、ありがとうございました。」


― この番組を企画したのは入社2年目の佐藤さん
なぜ岸さんに注目したのでしょうか?


学生時代に岸先生の本を読んでいて。ファンでした。
岸先生の本を読んだことがきっかけで社会学の勉強を始めたり
インタビュー調査をやりました。
そういった経験がテレビ朝日に入社する原点で、
きっかけになったのが、社会学者で作家の岸先生でした。

テレビ朝日に入社して配属された部署で
「聴くテレ朝」のメンバーになることができ、
「近くて・リアルなコミュニケーション」というコンセプトを聞いたとき
番組の1つとして、かけがえのない人生を生きてきた1人1人に
向き合っていく岸先生ならではの目線で
話していただく番組を作っていただきたいなと思い企画を提案しました。

― 岸先生への出演交渉は?

もともとテレビ朝日の番組に出ていただいたことがなくて
つながりがなかったのですが
代官山のTSUTAYAで書籍の刊行イベントをやられていた場所
に突撃して挨拶をさせていただき
翌日には企画書をつくってお送りしました。


― 「聴くテレ朝」の今後

新規ビジネスの企画なので
いま配信している番組を育てながら
ラジオと同じようにCMを付けたりイベントを行ったりして
収益化を図ろうと思っています。
番組を増やしていくのもビジネス拡大には必要なので
今はバラエティの番組が多いですが、
報道やスポーツなどテレビ局らしさも出しながら
増やしていきます。


新規ビジネス企画の公募で出した企画でありますが
ビジネスとして成立させなくてはという思い以上に
自由な表現の場所をつくりたいという気持ちの方が強く、
結果的にビジネスにつながるのが
理想だと思っています。