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#911
2024年4月21日

LiLiCoさんとテレビ 後編

【司会】山口豊(テレビ朝日アナウンサー)
    八木麻紗子(テレビ朝日アナウンサー)
【ナレーション】田中萌(テレビ朝日アナウンサー)
【出演】LiLiCo(映画コメンテーター・タレント)
2023年10月、テレビ朝日の放送番組審議会委員に就任したLiLiCoさんに
前回に続いてテレビについて伺いました。



<プロフィール>
1970年 スウェーデンに生まれる
1988年 歌手を目指し18歳で来日
2001年 映画コメンテーターとしてTVに出演
2017年 当時「純烈」のメンバーだった小田井涼平さんと結婚
2023年 放送番組審議会委員に就任

<バラエティ番組に出るきっかけ>
2011年の震災の後、本当にみんな心がもうズタズタだったじゃないですか。
日々本当に何ができるんだろうって…。
出役(でやく)・タレントはみんな、本当にエンターテインメントって必要なのかなとか、
あの時はもう本当にニュース番組をずっと放送していましたよね。
その後、何カ月か経って「スタジオパークからこんにちは(N H K)」のお話がきて、「うわぁ、このタイミングで、みんなが落ち込んでいる時に、果たしてこのキャラクターがテレビに出てきた時に、みんなどういうリアクションを取るのかな?」と思ったんです。
だから怖くもあったんですけど、「私は今、日本人に元気をあげよう」と思って。
大使館から「臨時便を出しますので、スウェーデンに帰ってください」って、毎日電話が来るんです。外国人のために臨時便をスウェーデンまで出してくれるんですよ。
でも私は日本に残って、今までたくさんの笑いを私にくださった日本のテレビを、
「テレビを通して日本人に元気をあげよう」と思って。
アプリコット色のピンクに近いワンピースのミニスカートとピンヒールでハチャメチャやったんですw。
生放送なので、ファックスやメールが来る番組なんですよね、 視聴者の皆さんから。
でも驚いたことに、いつもより何倍もファックスやメールが届いて。
しかもほとんど被災地からだったんです。
「久しぶりに笑った」とか、避難所で苦しい思いをしている、みんな座っているだけで何も気力もないと思うんですね。でも、少し動いた方が体のためですし、本当にずっと座っていると人間って本当に体が駄目になってくるので、「どんどん動いて」って言ったりとか。
パンケーキを作ったりとか、いろんなコーナーに出て。
みんなから「ありがとう」って。
94歳のおばあちゃんからは筆でね、「この子がね、日本人が失っているものを全部持ってます」って、ファックスで流れてきた時にすごく感動して。
1番笑ったのは「寝ていた猫が起きてきました。」でした(笑)

「人にハッピーをあげたいな」と思っているんですね。
ただ、ハッピーって自分の中にあるんです。それを日本人に一番伝えたいんです。
みんな「何かいいことないかな?」「いい男飛んで来ないかなとか?」「いい仕事来ないかな?」「何か楽しいこと飛んで来ないかな?」って日本に来てから本当に日本人の多くがおっしゃるんですね。
でも、ハッピーって自分の中にあるので、それを見つけ出して頑張ればいいんですよ。 
努力も楽しいことなんですよ。



<今後やりたいこと>
ポールダンス! 
ポールダンスかっこ良くないですか?
私は、「好き」を仕事にしたいんです。
なぜならば、本当に起きた瞬間から寝るまでずっと仕事をしているんです。
たまに飲みに行きますけど。でも結構仕事絡みが多いので…
本当にプライベートがないので、これでいいんです。
ワーカホリックなので、働くことがとても好きなので。
ここからは私が見つけた楽しいなと思うことをもうそれを極める。
プロレスデビューした時も、タレントがたまにプロレスをやるとか、そういうんじゃなくて、ちゃんと基礎から全部やって。
アザも作ったし、両足捻挫したりとか、いろんな怪我をしてきましたけど。
やっぱり本気で何かをやると言うのがとても大切だと思います。



<出演している番組>
― 出演している番組をチェックしますか?

たまに。毎回ではないですね。
実は私、生放送の出演が多いので。
もちろん録画して後で観ることもあります。
その時には「あそこでなぜあれができなかったんだろう」とか、もう反省しかないです。
ただ、出役ってだいたいで出ている時に反省しているので見直さなくてもわかるんです。
あ、今日はちょっとこの髪型が良くなかったなとか、汗かきすぎたかなとか、洋服がセットに合わなかったかなとか。
ちょっと盛り上がりすぎて、みんながわちゃって喋ってしまって、何か良くなかったなっていう風に。それは見直さなくても分かります。

ただ、1回すごく忙しくて、とても疲れて家に帰ってシャワーを浴びて、ベッドに入ってテレビをつけて。そしたら、自分が映ってたんです。
家にいる時はあくまでも自分なんですよね。LiLiCoではないので。
自分を観て笑っちゃったんです。
「元気なやつだな」って。
その時、「これでいいかな」って思いました。

私も色々言われてきまして、「日本で売れたいんだったら、もっと日本人っぽくしないとダメ」って言われたんです。30年前ぐらいの話なんですけど。
当時のマネージャーにも言われて。
ちょっとムッとしているだけなのに、凄くムッとしているように見えるとか、ちょっと笑っただけなのに大爆笑に見えるから抑えなさいとか。
そういう風に最初の芸能生活の5年ぐらいやっていたら、
テレビ局の1人のプロデューサーが
「LiLiCoって日本人になりすぎてつまんない」って。
もう、ボヨヨヨ~~ンって(笑)
「え!だって日本人になってください」ってあれだけた言われたのに。
私、そのことを素直に聞いてきて…もういいや!と思って少しずつ戻したんです。自分を。
でも自分をも見失ってしまったんです。
私はいったいどんな人なんだ?って。
徐々に徐々に本来の私というか「LiLiCoというキャラクターを作り上げた」んですね。
作り上げたというと、何か演技してるのっていう風に思うかもしれないですけれども、
そのLiLiCoが結局自分になるんですよね。
だから決してポジティブでも何でもないんですよ。
すごくマイナス思考で、「もしかしたらあんまり私のこと気に入らなかったのかな」とか、
もうすぐ考えます。
周りとか見て「周りみんな笑っているかな」とかすごく気にします。

― 全然そういう風に見えないです(笑)

自分のキャラクターについていけてない時があるんです。
(打ち合わせなどで)「LiLiCoに任せたらもういいよね」みたいに言われると、「ちょっと待って!何をやって欲しいのか言って」、どういう意味で呼ばれたのかっていうことも知りたいと思ってしまいます。
でも自分を観て、あの時元気をもらったっていうことはすごく良かったなと思いました。

<真夏の二夜連続!無人島0円生活>
「真夏の二夜連続!無人島0円生活」で本当に人生変わりました。
お礼を申し上げたいと思っています。
本当に楽しかったですね。
楽しかったし、自分のタレント人生というか、世間が私を見る目が変わりました

土屋アンナさんと無人島生活をしました。
彼女は本当に色んな才能を持っていて、ダイビングとか長くもう何分も潜れて、魚をモリで捕って。私はもう本当に顔をつけるくらいでもダメなんで、パニックになって。

でも、私は陸でテント作ったり、そっちの方がすごく得意なんですね。
だから何かガッチリはまって、当時私はすごくスッピン見せたくないっていう「すっぴんNG」だったんですね。
そうしたらスタッフがものすごく面白くしてくれて。
ダイビングした後は当然、化粧ってとれますので(笑)、ゴーグルを取ると、顔全部にモザイクをかけて。
目だけが映る感じで「釣れました!」みたいにしてくださったんですね。
スタッフに申し訳ないなっていうのと、あの面白さと、やっぱりそれまでほとんど映画紹介の私しかみんな観たことがないんですね。
だから私とはどういう人なのかというのが分かってなかったんですよ。だって、映画の話をしてますから。
あの番組で自分というものを出せたので、みんなが「LiLiCoってこういう人なんだ」とか、「今まではどういう人かあんまりわかんなかった」「ルックスだけで嫌いだった」とかっていう意見が結構あったんですけど、「ああなんか楽しい人なんだな。好きになりました」っていう意見がくるようになって。
視聴率も凄く良かったみたいで。
テレビ朝日から花束が自宅に届いたんです。
「高視聴率LiLiCo様 テレビ朝日より」と書いてあって。
自分のリビングにこんな立札がありました。
これコンサートの入り口でしか見たことなくて、これ本当に私いただいていいんですか?って。嬉しくて、ずーっと立札を取っておきました。



<夫からのアドバイス>
― 夫の小田井さんからテレビを観てのアドバイスは?

ないです(笑)
そんな話しない。
私も小田井に何のアドバイスもあげないです。
これは人によってなので、だから全然これに出演したとかあれに出演したっていうのも知らないので、普通にテレビで予告編が流れるじゃないですか。
そしたら「あ!LiLiCo」みたいな感じです。

<作りたい番組>
― プロデューサーをお願いされたらどんな番組を作りたいですか?

対談番組で、番宣がらみ無し!
番宣も凄く大事ですよ、嫌いと言っているわけじゃないですよ(笑)
本当に「映画が公開されますので」で、来たのではなくて
例えば自分がプロデューサーをやりながら出演できるのであれば、
今日はこの俳優とお話したい。
その映画の撮影話とかじゃなくて、例えば「誰かに言われた言葉で、あなたの人生を変えた」とか、何かそういうのを“生放送”でやりたい。

― 時間帯はいつがいいですか?

深夜でもいいですよ、というか今深夜の番組って面白いから。
何かみんなが落ち着いたぐらいの時間に。
深夜で、普通に入ってきてマイクをつけるところから回してもいいかなと思います。

<テレビを通して伝えたいこと>
「生きよう!」
生きていると楽しいことがあるから。
生きているからこそ今日楽しい番組も観られる。
生きているからこそ今日仕事に行けて、楽しい番組のお話ができて。
日本はやっぱりすぐ不幸の方を大きく取り上げがちで、すぐ人を叩く。
観ると何か悪い方を取る。それが見出しになる。
楽しいことをいっぱい話しているのに、ちっちゃなちっちゃな悪いことを見出しにするんですよ。
先進国の中でやっぱり幸福度ランキングが低くなります、不幸なことばかり考えると。
元気を出して、別に元気な話題がなくてもいいんです。
出演している方がいい笑顔だったら元気ってもらえるんです。
もちろんニュースを読んでいる方は真剣にやらないといけない。
でも、その強弱で、人って一緒になるんですよね。
だから、誰かが緊張すると緊張すると思うんです。
隣のアナウンサーが緊張したら多分緊張しますよね。

だからなんか生きているからこそ、「生きる」っていうことが。。。
道端でジュースが買えるんです、この素晴らしい国は。
これ中々ないですからね、壊されますから他の国は。
ストッキングも買えるんです、伝線したら。電池も買えるんです。
こんな素晴らしい、ちょっとした幸せっていうのがあるんだよっていうことを
テレビを通じて発信できたらいいな
と思っています、明るさを。

― これからの日本のテレビに期待することは?

もうこんなにも夢の箱だから、これ以上期待していいんですか?
なんでしょうね…もっとテレビ朝日に出たい(笑)



<テレビとは>
夢の箱です。
もう箱じゃないんですけどね。
テレビ離れっていうのは番組を観たくないということではなくて、忙しくなっているんです人って。
あと、色んなものがあるから。
発信するニュースを観られる物がいっぱいあるから。
テレビが退屈になったから観ないとかではなくて、いろんな形でテレビって観られると思うんですね。
私がすごくいいなと思うのは、スウェーデンではテレビがあってもうすぐネットなんですよ、同時なんですね。
だからこの時間家にいなくても、この番組は後で携帯ですぐネットで観られます。
視聴率とかいろいろ計算しなければいけないけど、スウェーデンだと人数です、パーセンテージではなくて。
もちろんリビングで家族みんなで観るというのも大事なんですけど、みんなに家族がいるわけでもないし、誰でもどんな時でも楽しめるというのがすごく大事だなと思っています。
自分のライフスタイルに合わせられるようなテレビだといいですよね。


テレビとは

夢の箱
ライフスタイルに合わせられるといい
              LiLiCo