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#867
2023年5月14日
メディア・アンビシャス大賞 優秀賞受賞
テレメンタリー「女性議員が増えない国で」
制作舞台裏
【番組司会】山口豊(テレビ朝日アナウンサー)
八木麻紗子(テレビ朝日アナウンサー)
【ゲスト】溝上由夏 ディレクター(子ども:11歳&5歳)
岡林佐和 ディレクター(子ども:10歳&6歳)
※朝日新聞社から出向中・記者
進 優子 ディレクター(子ども:2歳&0歳)
大川絵美 編集担当(子ども:7歳&2歳)
【ナレーター】田中萌(テレビ朝日アナウンサー)
八木麻紗子(テレビ朝日アナウンサー)
【ゲスト】溝上由夏 ディレクター(子ども:11歳&5歳)
岡林佐和 ディレクター(子ども:10歳&6歳)
※朝日新聞社から出向中・記者
進 優子 ディレクター(子ども:2歳&0歳)
大川絵美 編集担当(子ども:7歳&2歳)
【ナレーター】田中萌(テレビ朝日アナウンサー)
<「働き方改革」で作られた“ドキュメンタリー”>
ニュースは、24時間365日、報道に携わるスタッフが送り出しています。
出産を機に「24時間戦えなくなった」テレビ朝日のディレクターや記者が中心となり、時間と知恵をかき集め、「働き方改革」を創出。
「今できる人が動く」「やれる人がやる」というスタンスで、「リレー方式」という取材スタイルを編み出して制作したというこの作品。
4人の働くママに、制作秘話を伺いました。
出産を機に「24時間戦えなくなった」テレビ朝日のディレクターや記者が中心となり、時間と知恵をかき集め、「働き方改革」を創出。
「今できる人が動く」「やれる人がやる」というスタンスで、「リレー方式」という取材スタイルを編み出して制作したというこの作品。
4人の働くママに、制作秘話を伺いました。

<テレメンタリー「女性議員が増えない国で」>
日本の女性議員の割合は世界最低レベル。
昨年7月の参院選で女性候補が初めて3割を超えましたが、世界の潮流からは取り残されています。
どうしてこの国では女性議員が増えないのでしょうか?
「男女雇用機会均等法」制定の中核となった92歳の元労働官僚・赤松良子さんと、小さな2人の子供を育てながら参院選に出馬した伊藤孝恵さんに密着しました。
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000290462.html
昨年7月の参院選で女性候補が初めて3割を超えましたが、世界の潮流からは取り残されています。
どうしてこの国では女性議員が増えないのでしょうか?
「男女雇用機会均等法」制定の中核となった92歳の元労働官僚・赤松良子さんと、小さな2人の子供を育てながら参院選に出馬した伊藤孝恵さんに密着しました。
https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000290462.html



<「女性議員が増えない国で」を制作するきっかけ>
溝上:子供をなかなか保育園に預けられないとか、同じ問題意識を持った女性記者と現場で会うことが多く、岡林さんはじめみんなとつながっていきました。
岡林:最初から政治の世界に女性が少ないって思ったわけじゃないんです。
私も出産して働いている中で「働くママの働き辛さ」に自分自身も悩んだ時期があって、そこからジェンダーギャップの問題に踏み込んでいくと、「政治の世界で法律やルールを決めている場所に女性が極端に少ない!」と改めて気付かされて「どうして女性議員が増えないのか」を取材するようになったんです。
もともと「赤松良子さんを取材したい」という気持ちがあったので。
溝上:赤松良子さんって今93歳なんですけど、レジェンドなんです。
1985年の「男女雇用機会均等法」制定に尽力した赤松さんにお話を伺ってみたいと思ったんです。着ている服もファッショナブルでこの方のドキュメンタリーを作ったら楽しいだろうなというところからはじまって、岡林さんがずっと取材していたので「紹介して下さい」と。
岡林:最初から政治の世界に女性が少ないって思ったわけじゃないんです。
私も出産して働いている中で「働くママの働き辛さ」に自分自身も悩んだ時期があって、そこからジェンダーギャップの問題に踏み込んでいくと、「政治の世界で法律やルールを決めている場所に女性が極端に少ない!」と改めて気付かされて「どうして女性議員が増えないのか」を取材するようになったんです。
もともと「赤松良子さんを取材したい」という気持ちがあったので。
溝上:赤松良子さんって今93歳なんですけど、レジェンドなんです。
1985年の「男女雇用機会均等法」制定に尽力した赤松さんにお話を伺ってみたいと思ったんです。着ている服もファッショナブルでこの方のドキュメンタリーを作ったら楽しいだろうなというところからはじまって、岡林さんがずっと取材していたので「紹介して下さい」と。



<チームで制作した理由>
溝上:岡林さんと進さんが当時経済部の記者だったんです。
進 :ジェンダーの問題やフェムテックの取材を岡林さんと一緒にしていく中で今回の企画を一緒にやらない?と持ちかけられて。
溝上:最初から大人数で制作するつもりだったんです。
コロナ禍に取材が始まっているので、誰かがコロナに罹患したらそこで取材が止まってしまうリスクもありますし、それぞれの家庭や業務もあるので、分散しておいた方が安全にできるだろうという考えのもとスタートしました。
進:企画が始まって話し合いが進み、いざ現場に取材に行こうという時に妊娠がわかって…嬉しい反面、現場に行きたい、でも迷惑をかけてしまうのでは?という心配もありました。
でも、そこはもう皆さん、経験していることもあって非常に話しやすかったですし、最初の頃は取材を変わってもらったり。
その時、「すみません。」と言ったら、「いやいや、謝ることじゃないから」「できる範囲でやれることをやってくれればいいから」と言ってくださって、『安心しながら自分にできることはなんだろう』と、前向きに探すことができました。このチームだったから、というのは凄くあります。
大川:育休中にこの話を貰って、上の子の小学校入学のタイミング、私の仕事復帰と下の子の保育園入園が全部重なったタイミングでした。
通常の仕事(デイリーのニュース)だったら時間に追われて大変だったかもしれないんですけど、「テレメンタリー」の編集は在宅で自分が働ける朝から夕方まで編集をすると決めてくれたので、理想的な働き方をさせてもらいました。
溝上:子供が熱を出した時などLINEで共有して気軽に相談できる仲ですし、「それならこうしよう」と。
ドキュメンタリーは編集が命だと思っているので、素材にちゃんと向き合う時間は在宅の方が作れると思っていました。大川さんが在宅で、素材に向き合って咀嚼してくれたことがとても良かったと思っています。
大川:在宅で編集していると上の子が小学校から帰ってきて、見たりしてました。
1分前まで自宅で編集していたものがTVで放送されると、こどもは大興奮してました。
進 :ジェンダーの問題やフェムテックの取材を岡林さんと一緒にしていく中で今回の企画を一緒にやらない?と持ちかけられて。
溝上:最初から大人数で制作するつもりだったんです。
コロナ禍に取材が始まっているので、誰かがコロナに罹患したらそこで取材が止まってしまうリスクもありますし、それぞれの家庭や業務もあるので、分散しておいた方が安全にできるだろうという考えのもとスタートしました。
進:企画が始まって話し合いが進み、いざ現場に取材に行こうという時に妊娠がわかって…嬉しい反面、現場に行きたい、でも迷惑をかけてしまうのでは?という心配もありました。
でも、そこはもう皆さん、経験していることもあって非常に話しやすかったですし、最初の頃は取材を変わってもらったり。
その時、「すみません。」と言ったら、「いやいや、謝ることじゃないから」「できる範囲でやれることをやってくれればいいから」と言ってくださって、『安心しながら自分にできることはなんだろう』と、前向きに探すことができました。このチームだったから、というのは凄くあります。
大川:育休中にこの話を貰って、上の子の小学校入学のタイミング、私の仕事復帰と下の子の保育園入園が全部重なったタイミングでした。
通常の仕事(デイリーのニュース)だったら時間に追われて大変だったかもしれないんですけど、「テレメンタリー」の編集は在宅で自分が働ける朝から夕方まで編集をすると決めてくれたので、理想的な働き方をさせてもらいました。
溝上:子供が熱を出した時などLINEで共有して気軽に相談できる仲ですし、「それならこうしよう」と。
ドキュメンタリーは編集が命だと思っているので、素材にちゃんと向き合う時間は在宅の方が作れると思っていました。大川さんが在宅で、素材に向き合って咀嚼してくれたことがとても良かったと思っています。
大川:在宅で編集していると上の子が小学校から帰ってきて、見たりしてました。
1分前まで自宅で編集していたものがTVで放送されると、こどもは大興奮してました。
<制作チームでの苦労>
溝上:全然苦労は無く、むしろ普通の職場より和気あいあいとやっていたので楽ちんでした。
カメラマンと音声は男性だったのですが、カメラマンには、私たちの子供と同世代のお子さんがいて、彼も子どもの入学式があったりしたので、スケジュールを調整したり、相談しながらやれたので楽でしたね。
大人数で、「やれる人がやる」「リレー方式」という新しい手法でドキュメンタリーの制作は出来るんだと証明できたことが一番嬉しいです。
進:私の場合は妊娠だったんですが、男性でも、もっと育児をやりたい方とか、介護だったり自身の体調のこととかいろんな人がいることを理解してくれる人が増えれば増えるほど「やれるひとがやる」という新しいやり方は活かされると思います。
カメラマンと音声は男性だったのですが、カメラマンには、私たちの子供と同世代のお子さんがいて、彼も子どもの入学式があったりしたので、スケジュールを調整したり、相談しながらやれたので楽でしたね。
大人数で、「やれる人がやる」「リレー方式」という新しい手法でドキュメンタリーの制作は出来るんだと証明できたことが一番嬉しいです。
進:私の場合は妊娠だったんですが、男性でも、もっと育児をやりたい方とか、介護だったり自身の体調のこととかいろんな人がいることを理解してくれる人が増えれば増えるほど「やれるひとがやる」という新しいやり方は活かされると思います。

<伊藤議員とシンクロする部分>
進:演説を聞きながら「あっ、コレ私のことかな?」と思うことがありました。
伊藤議員(VTR中の演説)
「母親のくせに選挙なんて!」と、言われるたびに、言葉にならない後ろめたさがありました。次女が肺炎で入院した時は、病気の子供を置いてまでやらなきゃいけない仕事ってあるんだろうかと思いました。
でも同時に思いました。
みんなそうなんだ。働くお父さんや働くお母さんは、一生懸命仕事をして、大切な家族のもとに駆け足で帰っていく。
だからこそ、働くことが喜びである。働くことと育児や介護が両立できる毎日が、どうしても必要なんだ。
進:育休を終えて復帰する時、フルタイムにしようかどうしようかと考えた時もあったんですけど、やりたいことができなくなるのはなと、フルタイムで復帰して。でもやっぱりしんどいこと、子供が熱を出してる中で仕事にいかなきゃいけないのかな?と、思うこともあったんですけど、同じことを伊藤議員がおっしゃっていて、みんな同じなんだと。
大川:自分が働くことによって子供が我慢してるんじゃないか、辛い思いをさせているのでは?って永遠の悩みだと思うんです。
伊藤さんは国会議員であれだけ支持者がいるのに、一番応援して欲しいのは子供なんだと。最後のシーンの子供さんの言葉は、ママとしては、一番嬉しい言葉だろうなと思いました。
伊藤議員(VTR中の演説)
「母親のくせに選挙なんて!」と、言われるたびに、言葉にならない後ろめたさがありました。次女が肺炎で入院した時は、病気の子供を置いてまでやらなきゃいけない仕事ってあるんだろうかと思いました。
でも同時に思いました。
みんなそうなんだ。働くお父さんや働くお母さんは、一生懸命仕事をして、大切な家族のもとに駆け足で帰っていく。
だからこそ、働くことが喜びである。働くことと育児や介護が両立できる毎日が、どうしても必要なんだ。
進:育休を終えて復帰する時、フルタイムにしようかどうしようかと考えた時もあったんですけど、やりたいことができなくなるのはなと、フルタイムで復帰して。でもやっぱりしんどいこと、子供が熱を出してる中で仕事にいかなきゃいけないのかな?と、思うこともあったんですけど、同じことを伊藤議員がおっしゃっていて、みんな同じなんだと。
大川:自分が働くことによって子供が我慢してるんじゃないか、辛い思いをさせているのでは?って永遠の悩みだと思うんです。
伊藤さんは国会議員であれだけ支持者がいるのに、一番応援して欲しいのは子供なんだと。最後のシーンの子供さんの言葉は、ママとしては、一番嬉しい言葉だろうなと思いました。

<お気に入りのシーン>
溝上:伊藤議員が街頭演説の最中に画面から消えていくシーンです。
ドキュメンタリーの醍醐味だったと思っています。
現場で起きたことを編集でつなぐことによって躍動感が出るという私が一番やりたかったこと。
リアルを編集で落とし込んだ時に何が起きるかを表現できたシーンです。
岡林:伊藤議員が最後の演説で「母親なのに政治家なんてって言われる度に」というシーンで毎回泣いてしまいます。
母親であり働いていること、自分のやりたいこと、自分が働いていることを子供に見せたいという気持ちもあります。
でもどこかでみんなに迷惑かけているのではという思いもあるので。
進:私は、タイトルベースになった映像がお気に入りです。
ある日の国会を撮っている映像なんですけど、男性議員がやっぱり多いんです。
「男性議員が多い映像」をカメラマンと相談して狙って撮ったのですが想像を超えたいいカットになりました。
大川:最後の伊藤議員と娘さんとの会話です。
ロケ最終日、納品前日に撮れた映像なんです。
番組の締めをどうしようかと皆で考えていたんですけど、「このカットで終われる」と思いました。
溝上:今回のドキュメンタリーで一番伝えたかったことは、子どもを持ちながら働くことは男性女性問わず何かしらしんどいと思うんです。
その「普遍的なしんどさを映像にしたかった」んです。
これが少しでも伝わっていたら嬉しいです。
また、「ちょっとずつ変えていかなきゃいけない」というモチベーションを同世代の人がみな持っているので、こういう思いを色んな人を引き込みながら、どんどん変えていければ、テレビの世界も変わっていくんじゃないかなと思っています。
ドキュメンタリーの醍醐味だったと思っています。
現場で起きたことを編集でつなぐことによって躍動感が出るという私が一番やりたかったこと。
リアルを編集で落とし込んだ時に何が起きるかを表現できたシーンです。
岡林:伊藤議員が最後の演説で「母親なのに政治家なんてって言われる度に」というシーンで毎回泣いてしまいます。
母親であり働いていること、自分のやりたいこと、自分が働いていることを子供に見せたいという気持ちもあります。
でもどこかでみんなに迷惑かけているのではという思いもあるので。
進:私は、タイトルベースになった映像がお気に入りです。
ある日の国会を撮っている映像なんですけど、男性議員がやっぱり多いんです。
「男性議員が多い映像」をカメラマンと相談して狙って撮ったのですが想像を超えたいいカットになりました。
大川:最後の伊藤議員と娘さんとの会話です。
ロケ最終日、納品前日に撮れた映像なんです。
番組の締めをどうしようかと皆で考えていたんですけど、「このカットで終われる」と思いました。
溝上:今回のドキュメンタリーで一番伝えたかったことは、子どもを持ちながら働くことは男性女性問わず何かしらしんどいと思うんです。
その「普遍的なしんどさを映像にしたかった」んです。
これが少しでも伝わっていたら嬉しいです。
また、「ちょっとずつ変えていかなきゃいけない」というモチベーションを同世代の人がみな持っているので、こういう思いを色んな人を引き込みながら、どんどん変えていければ、テレビの世界も変わっていくんじゃないかなと思っています。
