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#826
2022年7月17日

「手話放送の舞台裏」

【番組司会】寺崎貴司(テレビ朝日アナウンサー)
      八木麻紗子(テレビ朝日アナウンサー)
【ナレーター】田中萌(テレビ朝日アナウンサー)
視覚や聴覚に障害のある方にも番組を楽しんでいただけるように制作している『字幕・手話・解説放送』。
テレビ朝日では、毎週土曜あさ5:50放送の「ANNニュース」、日曜あさ5:00放送の「はい!テレビ朝日です」、土曜あさ5:20放送の「日本のチカラ」で、一部手話付きで放送しています。

記者会見やテレビ放送に手話通訳を派遣している高岡センター長のお話では…

「テレビのニュースにも手話がつくことが1~2年でとても増えたと感じます。
手話が母語(ぼご:自分の言葉)の人にとっては、字幕より手話の方が理解しやすいんです。」



<生放送の手話>
毎週土曜あさ5時50分放送の「ANNニュース」の手話放送ができるまで。

放送が始まる1時間30分前、あさ4時20分に手話通訳士がテレビ朝日に到着。ニュース原稿の下読みを開始。

地名など気になる手話表現は専門書を使ってひとつずつ確かめます。


4時35分頃担当のアナウンサーが到着。
手話通訳士の向かいに座り、声を出しながら下読みを開始。
アナウンサーの声に合わせて、手話通訳士はリハーサルを行なっていました。



<生放送の手話の疑問>
Q.手話通訳士は何を見て手話をしている?

手話通訳士が見ていたのはアナウンサーの手元の原稿が映し出されるモニター。
プロンプターと呼ばれる、原稿を映しつつ撮影できるカメラを見て通訳していました。そのため目線を落とさずに手話通訳できるのです。

Q.手話にない新しい言葉はどう表現する?

登録されていない手話は1文字ずつカタカナ表記で通訳し、その後に出てくる際は簡略化して伝えます。

Q.伝わりやすくする工夫は?

話している人物の位置によって手話を出す位置も変えているそうです。


Q.アナウンサーが手話放送のニュースで気をつけていること

(野村アナ)
普段のニュースは自分のペースで原稿を読むが、手話がつくニュースは、手話通訳士のスピードを気にしながら読んでいます。
原稿をめくるときも自分のペースでは動かさないよう気をつけています。


Q.VTRを作る際に気をつけていること

(小清水デスク)
名前などテロップの位置が手話通訳士のワイプの位置と重ならないように、テロップの位置や長さに気を付けています。



<VTRの手話>
生放送の時には手話通訳士が1人でしたがVTRに手話をつける場合は、手話通訳士と手話を第一言語とする監修者、番組ディレクターに監修者の手話を同時通訳する3名体制です。
内容の正確さと細やかなニュアンスを伝えるため、皆で検討しながら、表現方法を模索していました。



<手話の工夫>
「柔らかいニュース」「硬いニュース」という発言に対し、ダイレクトに「柔らかい」「硬い」と訳すのではなく、「柔らかい」を「楽しい」、「硬い」を「真面目」と手話で表現し、発言者の意図に近づける工夫をしていました。

Q.生放送と収録の違いは?

(荻埜さん)
生放送の場合は1人で手話表現を考え訳しますが、VTRに手話をつける場合は、手話を日常の母語として使われる方が監修してくれることで、より伝わりやすい表現ができていると思います。