バックナンバー

#747
2020年11月8日

SDGsとは?地球温暖化対策と再生可能エネルギーについて

【番組司会】寺崎貴司(テレビ朝日アナウンサー)
      八木麻紗子(テレビ朝日アナウンサー)
【ゲスト】山口豊(テレビ朝日アナウンサー)
【ナレーター】田中萌(テレビ朝日アナウンサー)




<SDGsとは…>
「SDGs(エスディージーズ)」とは…Sustainable Development Goalsの略で持続可能な開発目標という意味。



国連は2030年までに世界が達成しようと「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」「すべての人に健康と福祉を」など17の目標を掲げ、“誰一人取り残さない世界”の実現を目指しています。



今のままでは、貧富の格差や資源の枯渇が深刻化し、環境の悪化が止まらないという危機感のもと、地球の危機を回避しようと全世界に呼びかけているのです。


<山口豊アナウンサーとSDGsの関わり>
ここ10年豪雨災害や大風の被災地を取材してきました。
最近特に気候変動が激しくなっているのではないかと肌で感じています。
例えば3年前の九州北部豪雨、一昨年の西日本豪雨、去年の台風15号、19号、そして今年の九州などでの7月豪雨。

何か出来る対策は、と考える中で、再生可能エネルギーを中心とした持続可能な社会作りをしている地域を全国各地で取材してきました。
そこで見えてきたのはまさにSDGsの理念の大切さでした。
そのことがきっかけで今、環境省の気候変動対策の委員も担当しています。




<13番:気候変動(地球温暖化)について>
世界の平均気温は産業革命前に比べてすでに約1℃上がっていて、温室効果ガスの大半を占めるCO2も40%も増加しています。
温暖化は疑う余地がなく、主な要因は私たち人間の影響が極めて高いとされています。
被害も深刻です。
今年1月のオーストラリア、この夏のカリフォルニアの山火事など、温暖化によるとみられる被害が相次いでいます。
日本でも想定外の水害が多発しています。
気象庁によれば、恐怖を感じるという80ミリ以上の猛烈な雨の降る回数は、40年ほど前に比べて1.7倍に増えています。

日本の平均気温は、この100年で1.24℃の割合で上昇。
日本近海の海面水温も1.14度の割合で上昇した。
 
気温が1度上昇すると大気中の水蒸気量は7%増加するとされています。
温暖化に伴う長期的な水蒸気量の増加が、こうした極端な大雨の一因になっているのではないかといわれています。


<地球温暖化は防げる?>
国連で採択されたパリ協定では産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑え
1.5℃未満を目指すとしていました。

しかし、2018年、このままのペースでは、早ければ2030年に1.5℃に到達してしまう可能性が高いことが分かってきました。(IPCC1.5℃特別報告書)

2019年、国連環境計画(UNEP)は1.5℃未満に抑えるには今後10年間、毎年、温室効果ガス排出量を7.6%削減させる必要があると指摘。

これは実際に可能な数字なんですか?

奇しくも、IEAは、新型コロナによって、2020年の世界のCO2排出は、前年度比で8%減少すると予測。
つまり、この8%をリバウンドすることなく生活すれば1.5℃上昇を防げることになります。


<地球温暖化は危機的な状況?>
経済活動にも大きな影響を与えているんです。
経済損失額を見ると、
2018年 西日本豪雨と台風21号で
経済損失額は230億ドル ※日本円で約2兆5000億円
2019年 台風15号と19号での
経済損失額も250億ドル ※日本円で約2兆7000億円
2年続けて、世界の被害額上位に日本が位置しています。

温暖化が社会や経済に与える影響は深刻です。
持続可能な社会を目指すには、温暖化を防がなくてはなりません。

そこで大事になってくるのが…
CO2を排出しない、クリーンなエネルギーの利用なんです。


<再生可能エネルギー>
これは温室効果ガスである二酸化炭素を排出しない。
太陽光、風力、地熱、水力、バイオマスなどで発電すること。
この再生可能エネルギーを増やすことを目指している。
 ⇒バイオマス…木材など動植物由来の燃料
再生可能エネルギーは地球温暖化を防ぐカギといわれています。
日本でも力を入れ始めています。
東京都、京都市、横浜市など157の自治体が2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロを表明。

 表明した自治体 人口 約7334万人
 GDPは約343兆円

今後もさらなる拡大を目指しています。




<具体的な取り組み>
日本には再エネポテンシャルが豊富にある。
環境省の試算では電力需要の2.2倍の再エネポテンシャルが存在すると言われています。



●福島県土湯(つちゆ)温泉
温泉の熱を活かした地熱バイナリー発電などで売電収入は年間1億2千万円。
東日本大震災から観光客数はV字回復を果たしました。
今、コロナで大変な状況ですが、この再エネがあるから頑張れているということです。



●岐阜県石徹白(いとしろ)集落
人口減少で地域消滅の危機にありましたが住民がお金を出し合って建設した小水力発電で売電収入が年間2400万円。
これを元手に耕作放棄地を整備してトウモロコシを栽培。
若い移住者が相次ぎ活気が戻りました。



●岡山県真庭(まにわ)市
地域の製材業者が中心となり、放置されていた森林資源を活かした大規模なバイオマス発電所を建設、売電収入は年間24億円。
森が再整備され、町も元気になりました。



●沖縄県宮古島
太陽光パネルとエコ給湯器を無償で市営住宅の屋根に設置。
太陽光のエネルギーでお湯を沸かし、夜間に使うことで、エネルギーの需給バランスを取っています。
さらに、各家庭をネットでつないで遠隔操作することで、天候に左右される再エネの弱点を補っているんです。



さらに、
海上に風車を設置し、風を利用した洋上風力発電の開発計画が、日本の再エネ拡大の切り札になりうる存在。

海に囲まれた日本は、洋上風力発電のポテンシャルが非常に高く、去年までに法整備も終わり、今年から本格導入に向けて動き始めています。

国は今後10年で原発10基分、20年で原発30基分以上にあたる洋上風力発電の導入を目指しています。