バックナンバー

#732
2020年7月19日

脳科学者・中野信子に聞く「正義中毒とは?」

【番組司会】寺崎貴司(テレビ朝日アナウンサー)
【ゲスト】中野信子(脳科学者)
【ナレーター】田中萌(テレビ朝日アナウンサー)
「大下容子ワイド!スクランブル」金曜日コメンテーターとして出演中の中野信子さんに、脳科学者として、テレビについてお話を伺いました。




●脳科学とは?
脳科学は、その名の通り「脳を科学する」学問。
MRIの普及で、脳のどの部分が活動しているかわかるようになってきた。
人を糾弾するときに脳のどの部分が働いているのか?
研究することで、ネガティブな感情をコントロールできるようになるかもしれない。
敵意をコントロールする術がわかるかもしれない。


●脳科学者を志したきっかけ
子供の頃、自分が他人と同じように振る舞えないことに危機感があった。
何が原因か考えた時、自分の脳に原因があると思った。
脳科学を学べば、他人と同じように振る舞えるかもしれない。
自分の脳を分析すると、文脈を読む能力が低い。
それをカバーするために、脳の他の部分で語彙を検索している。


●新型コロナウイルス禍で危惧していること
人が人を攻撃する「正義中毒」という現象が深刻になるのでは?と危惧している。
危機的な状況の中では、助け合いの気持ちが生まれるが、一方で、他県のナンバー狩りや自粛警察など、相手のことを考えずに「自分は正義の名代だから良いんだ」と攻撃する現象が起こる。
正義にのっとって動くことには中毒性がある。
正義中毒にならないためには、誰かを批判したくなった時に、はたしてそれが中毒かどうかを、立ち止まって考えてもらいたい。
客観的に自分を見る訓練をすることが大事。


●テレビに期待すること
いろいろな見方があることを提示するのが良い番組。
前向きな違う意見、たくさんの色を共存させる番組を作って欲しい。
一人の脳の中にも、いくつもの考え方が存在する。
あえてはっきりさせないのが人間の脳。
はっきりさせないことも答えで、それを見せるのも一つのあり方。




●テレビ番組を作るとしたら
脳科学者として、人間のダークサイドに興味がある。
ダークサイドを抽出した番組が面白いと思う。
妬み、ネットの攻撃など、それに何の意味があったのか?
バッシングした人の意見を聞いてみる。
人間の「きれいではないところ」を見たい。
きれいではないところが脳に残っていることには何か意味があるはず。
その意味を探る番組。


●中野信子にとってテレビとは
『様々な情報を得て脳は育つ。
 テレビとは多様な意見を学ぶ場所。』