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#727
2020年6月14日

海外支局の仕事 ~北京「中国総局」~ 後編

【番組司会】寺崎貴司(テレビ朝日アナウンサー)
【中継インタビュー】熱田大(テレビ朝日 特派員)
【ナレーター】田中萌(テレビ朝日アナウンサー)

【内容】

テレビ朝日の海外支局は、ネットワーク局と共同のものも含め世界8カ国 11カ所あります。
特派員による新型コロナウイルス禍の各国の様子は、スーパーJチャンネルなどで伝えられました。
2019年7月から中国総局に赴任し新型コロナウイルス禍の中国を撮影・リポートしてきた熱田大さんにスタジオと中継をつなぎお話を伺いました。後編。




<新型コロナウイルスの取材>
2020年1月、香港で取材していたとき新型コロナウイルスのことを初めて知った。
その頃、中国本土での報道は全くなかった。
香港メディアが武漢で今、肺炎騒ぎが起きてると大々的に報道し、香港での取材はデモよりも「肺炎」が多くなっていった。
1月20日頃に習近平主席が、中国全土に封じ込め命令を出してから、日本のニュースのトップ項目が1カ月くらい全部中国という日が続いた。
そんな中、街がガランとし今までと違う異様な光景が広がっていたので、撮影しておかなければと感じ色々撮ったものが特集になった。




<特派員の不安>
知人の駐在員も家族だけでなく本人が帰ってしまうと、不安になって正直帰りたいなと思ったこともある。
しかし、「特派員はこの国にいることが仕事」。
中国から日本に帰る最後の日本人になるだろうと覚悟した。




<武漢取材>
4月8日に武漢の封鎖が解除され 自身として初めて武漢に取材で入った。
中国は「あの現場を海外のメディアに見せたくないのでは」と想像し、拘束されてしまうのでは?という不安を持ちながら向かった。
実際には問題なく入れた。
ただその時の気持ちを正直に言うと、「あ~武漢に入れちゃった、いいのかな、大丈夫かな?」
という心配の気持ちと「歴史的なところに来てしまった」という興奮が入り混じっていた。




<武漢での取材は1日、しかしそのあとが大変>
北京に戻るためにはPCR検査を受けるだけでなく、当局からの許可も必要となり、自宅に戻れたのは1週間後、さらに、決まりにより14日間の隔離生活をしなければならない。
自室のドアにはセンサーがつけられ開閉すらも監視され、廊下にも自由に出られない生活だった。




<特派員としての今後>
中国は社会体制、市民の価値観が日本とは全く違う。
民主主義で育った日本人からするとありえないことを考える。
その中国が今は世界の中心になってきているため、世界の流れを感じることができていると思う。
これからは、日本からその国を見るだけではわからない姿を現地に行って勉強して行きたい。

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