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#724
2020年5月24日

たむらようこ「テレビの今とこれから」

【司会】寺崎貴司(テレビ朝日アナウンサー)
【ナレーター】田中萌(テレビ朝日アナウンサー)
【内容】
放送作家であり、女性だけの番組制作会社「ベイビー*プラネット」の社長を務めるたむらようこさん。
4年前から『毎日新聞のコラム』でテレビのことを連載。
「コロナ禍でのテレビ業界の変化」や「やらせ」について、放送作家の目線で意見を伝えるだけでなく、『日本民間放送連盟の機関紙』で「テレビで生き残る番組の作り方」などを模索し寄稿しています。
そんな、たむらようこさんにテレビの今、そしてこれからについて、語っていただきました。



≪番組履歴≫
サラメシ(NHK総合)
世界の日本人妻は見た!(TBS系列)
おじゃる丸(Eテレ)
AbemaPrime(ABEMA)
Wの悲喜劇(ABEMA)
お金のなる気分(BSジャパン)
映っちゃった映像GP(フジテレビ系列)
やっちまった映像GP(フジテレビ系列)
サタ☆スマ(慎吾ママ/中居の赤ちゃん預かります)(フジテレビ系列)
クイズ$ミリオネア(フジテレビ系列)
世界バリバリバリュー(TBS系列)
発掘あるある大事典(フジテレビ系列)
タモリのジャポニカロゴス(フジテレビ系列)
グータンヌーボ(フジテレビ系列)
祝女(NHK総合) など


<放送作家になるきっかけ>
アシスタントディレクターからテレビ業界の仕事をスタート。
テレビ業界に女性がすごく少ない頃、1カ月くらい泊まり込みで制作会社に椅子を3つ並べて寝ていた時代に会議で「たむらくん女性の意見は」と聞かれたが、1カ月家に帰ってない20歳そこそこの自分が、世の中の女性の意見を代表できるわけがないと思い放送作家になったら、当たり前の生活をして、その感覚をテレビの番組会議に持ってくることができるんじゃないかと思い放送作家になった。
最初は、「スーパーモーニング」の作家の手書き原稿をワープロで清書する係からスタートした、テレビ朝日のおかげだと思っている。




<テレビの転換期>
テレビの視聴率の評価が2020年3月30日から変わる。
・調査世帯数の増加(関東地区は900→2700)
・個人視聴率調査(機械式)を全国に拡大(4地区→32地区)

女性や家族に向けて番組を作らなければ視聴率がとれないとされていたため、各局で似たり寄ったりの番組を作っていた。
若い男性が、テレビの言葉で言う「おばちゃんに向けて」番組を作っているところに齟齬(そご)が生まれて来た。
「テレビの中の謎のおばちゃん像」はリアルおばちゃんの私から言わせてもらうと、ほとんど間違ってる、おばちゃんを一括りにしないでほしい。
これからは評価の基準が変わるので、元気な面白い番組が生まれてくると思う。




<テレビとインターネット>
インターネットの方が勝ってきてるのでは?とよく言われるが私はそうは思わない。
新型コロナウイルスによる自粛を経てテレビがすごく面白いということを改めて感じている。
テレビの放送自体は変わってないないが、受け手の自分たちが変わってきていて、テレビがすごく面白い。
テレビをゆっくり観られる時間ができ、家族で喋りながら観るとやっぱりテレビは面白い。
新しい生活様式が定着していくと、テレビがまた以前のようにお茶の間の中心に戻ってくるような気がする。


<テレビに足りないものは教育>
昔のテレビ番組の編集は、編集機の周りにディレクターやアシスタントディレクターやプロデューサーなどみんながいたが、今はパソコンで編集ができるので自宅や個人のスペースで編集をする。
電話のかけ方やお願いの仕方、トラブルが起きたときの謝り方など、後ろで見ていることで勉強できたことができなくなってきている。
テレビのマインドや哲学が受け継がれていないのでは?と危惧している。




<女性だけの番組制作会社>
子育てしながら働くことを目指して作った会社。
家と現場の間のような場所を作ると女性が働きやすくなると思った。
テーマは、「おっぱいと雑談」。
社内には7畳くらいの託児所もついている。
男性に気を遣わず密度の高い雑談が出来る。
その結果、女性の少ない会議でも女性代表の意見をしっかり伝えられる。




<テレビとは>
人と人とが繋がるための社会を見る窓がテレビ。
テレビを作る側の人間として、テレビという窓をいつもピカピカに磨いて世の中の面白いことを正しく伝えていけたらなと思っている。

『テレビとは、人と人とが繋がるための社会を見る窓』 たむらようこ