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#723
2020年5月17日

マライ・メントラインさんとテレビ

【司会】寺崎貴司(テレビ朝日アナウンサー)
【ナレーター】田中萌(テレビ朝日アナウンサー)
【ゲスト】マライ・メントライン
【内容】
大下容子ワイド!スクランブルでコメンテーターを務め、ドイツ公共放送のプロデューサー、ドイツ大使館のブログや、通訳、テレビのドイツ語講座など多方面で活躍するマライ・メントラインさんに、テレビについて伺いました。

職業は自称「ドイツ人」。
ドイツ関連の仕事なら何でも引き受ける。
ドイツの北にあるキール出身。
小学生の頃、民族博物館で漢字が象形文字から発展したと知り日本に興味を持った。
初来日は、高校生の時。兵庫県の高校に交換留学。
早稲田大学に留学。
現在のご主人と出会い、日本に住むことに。




<初めて観た日本のテレビ>
文字情報が多いことにびっくりした。
テロップは、漢字の勉強に役立った。
ドイツのテレビでは字幕を極力少なくしている。
話を聞きたいのに、文字も読むのはドイツ人にとってはうるさいと感じてしまう。


<日本とドイツ テレビの違い>
日本は出演者が多い。
ひな壇とか本当に賑やかに感じてしまうが、ドイツはゲストが一人だったりする。
朝の情報番組はあるが生放送は11時くらいまで、あとはドラマというのが一般的。
日本の放送局には生放送が多くてびっくりする。
ニュースの取り上げ方も違う。
ドイツはヨーロッパの真ん中に位置していて、9つの国と隣接している。
周囲の国のニュースも多いが、日本は、アメリカ、中国、韓国のニュースで終わり、あとは国内のニュースがメイン。
地球のどこに位置しているかで取り上げ方も違うのだなと。




<ドイツで人気のある番組>
検証番組が好き。
例えば、ウォータースライダーがどのくらいスピードが出るのか?測ってみたり、
日本で好きな番組は、「トリビアの泉」、これも検証番組ですね。
あとは、警察もの、北欧ミステリーも人気。
ドキュメンタリーや、北欧の綺麗な幻想的な自然を見ることが好き。


<ドイツで放送する日本の紹介番組>
日本人の高齢者が老後をどう過ごしているのか?とか、ゴミの分別問題、日本のハイテクロボットなどにドイツ人は興味を持っています。介護用ロボットなどの番組も作りました。


<コメンテーターとして>
日本のワイドショーを番組で批判していたら、声がかかって斬新だと思った。
外から見る日本のテレビの印象と中から見る印象では違うので嬉しかった。
ワイド!スクランブルは、落ち着いた番組でトークを大切にするから自分に向いている。大下容子さんの人柄は最高で本当に大好き。
しかし、時々疎外感を感じます。
日本で生まれ育ってもいない、日本人でもない、ドイツ人であるということでニュースの観方がちょっと違うなと感じる時がある。
歴史に対する考え方とか、何がフェアで何がフェアじゃないとか、国のあり方、日本の世界での役割などの考え方が違うなと思うことがある。
自分で思っていることは伝えようと思っています。
一人の意見としてどうですか?と提案し、なるほどそういう意見もあるのか?と捉えてもらっているので、すごく意味のある意見交換だと思う。




<コメンテーターとして心がけていること>
日本語が母国語ではないので、ゆっくり喋る。
日本とドイツでは文化のベースが違うので、ドイツの文化のベースも伝えつつ、説明しているつもりだがうまくできているのかは?


<日本のテレビについて思うこと>
ドイツ人の私が考える中立性と日本のテレビ・メディアが考える中立性にズレがあると思う。
中立とは視聴者を誘導するものではないが、いろいろな意見も紹介すべき。
政権批判もありだと思う、ただその場合は、反対意見も登場させて。
言われたことをそのまま放送するのではなく、解釈も多面的な、複雑なものになるかもしれませんが、視聴者が判断できる材料を十分に提供する必要がある。
そこが自粛ムードになりすぎている瞬間もある。
ある美術展に関することで、アートは自由でなくてはならない!というメッセージが第一であるべきなのに、それが議論や報道の中で失われてしまった。
国がお金を出しているとか、誰がお金を出しているからけしからんと言う方向に行ってしまった。
それは、民主主義としては日本語で言う「ヤバイ」ことだ思った。
いろんな意見を汲み上げて、もっと議論すればいいのにと思った。
最初から議論を中止にすることで拒んでしまった。
ドイツではあり得ないことだと思った。ものすごく反発にあうと。




<テレビとは>
世界の考えていることを知って、視野を広げるためのツール