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#696
2019年10月13日

放送直前!ドクターX ~外科医・大門未知子~の脚本家 中園ミホが語る 第6シリーズ

【ゲスト】脚本家 中園ミホ
【司会】寺崎貴司(テレビ朝日アナウンサー)萩野志保子(テレビ朝日アナウンサー)
【ナレーター】田中萌(テレビ朝日アナウンサー)
<内容>
2019年10月17日木曜日にスタートする第6シリーズ。
脚本を手掛ける中園ミホさんが「ドクターX」の魅力を語ります。



◆中園ミホ◆


数々の名作を生んできた脚本家。


◆2017年の第5シリーズから2年ぶり◆

脚本の最初のページには、

シーン1:山奥にポツンと一軒家。ふらふらと歩いて来る未知子。
     未知子「こんな所にポツンと一軒家!」と目を輝かせる。

個人的に「ポツンと一軒家」が大好き、
しかも高視聴率の番組にあやかりたいという思いもあった。

「名医紹介所」の場所が変わり、銭湯になった。
大門未知子は銭湯が大好きなので、手術が終わって、銭湯に入って、家に帰れるようになる。

ドクターXは、2年間会えなかった身内、親戚のような存在。
「早く会いたいな」と思っていた。
しばらく出演者やスタッフと遊べるという楽しさがある。


◆取材の中園◆

取材は会議室でテープを回すのではなく、お酒を飲んで私も本音を話し、取材者の本音を聞けるまで飲む。

今作の内容が倒産寸前の「東帝大学病院」に、「ハゲタカ」の異名を持つ投資家が入り、“コストカットなどビジネス最優先の医療の合理化”を進めるストーリー。

そのためスーパードクターとお酒飲んだ(取材)だけでなく、今回は、ITの方とか投資家の方とも飲んだ(取材)。




◆大門未知子の誕生◆

前に派遣さんのドラマを書いたときに知り合った非正規雇用の人たちが今、本当に大変なので、彼女たちを励ますドラマにしたかった。

当時はロンドンオリンピック真っ最中。
大門未知子はどんなセリフを話すキャラクターなのか煮詰まっていた。
ちょうどその時、柔道の松本薫さんの試合が映っていて釘付けになった。

金メダルを取った後のインタビューで、
松岡修造の「ミスしたらどうしようとか思いませんでしたか?」という質問に、
松本薫「私ミスはしないので」とすごく短い言葉で答えていた。

全てを凌駕した言葉にしびれ、日本語にして米倉涼子に頭の中で言わせてみた。
「私、失敗しないので。」
そしたら大門未知子というキャラクターが動き出した。




◆今のテレビドラマ◆

ラブストーリーを書かせてもらいたい。
漫画や原作がある作品もいいけれど、オリジナルドラマを全く作らなくなると「大切なドラマの心」のようなものがなくなってしまうような気がする。
怖いけれどオリジナルでゼロから作る事に挑戦し続けたい。




◆テレビドラマとは◆

「人生のピンチ」のときの命綱。
10歳で父、19歳で母が亡くなり、記憶がないぐらい辛かった時の自分を支えてくれたのがその頃見たテレビドラマだった。
倉本聰、山田太一、向田邦子のドラマは鮮烈に覚えている。
「作ったもの・虚構のもの」がないと生きていけなかったと思う。
そんな、人のピンチが救えるようなドラマが書けているかはわからないが、今そういう仕事が出来ているのは幸せである。