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#691
2019年9月8日

やすらぎの刻~道で2役を演じる
「俳優 橋爪 功」後編

【司会】寺崎貴司(テレビ朝日アナウンサー)萩野志保子(テレビ朝日アナウンサー)
【ナレーター】田中萌(テレビ朝日アナウンサー)
【ゲスト】橋爪 功


【内容】
テレビ朝日開局60周年記念 帯ドラマ劇場『やすらぎの刻~道』
1人で2役を演じている橋爪さん。

老人ホームの中では元歌舞伎俳優の水沼六郎(ロク)を演じ、石坂浩二が演じる脚本家、菊村栄が昭和初期から令和までを執筆したシナリオ『道』の中では、平成編の根来公平(ねごろ・こうへい)を演じています。
役者人生の始まりから現在までを「俳優 橋爪 功」に伺います。
橋爪功が思う「役者」とは?


◆役者になったきっかけ◆

高校1年の時大阪から東京に転校してきた。
都立青山高校に入り都会というカルチャーショックを受け、さらに文化祭で演劇部の芝居を観て魅力に引き込まれてしまった。



◆文学座◆

大学受験を諦めた時に、文学座が研究生を募集している記事を新聞で見つけ試験を受けた。
研究生から昇格できたのは、文学座の野球部でピッチャーとして活躍した時に、野球部の監督でもあった先輩役者「仲谷昇」に見初められたから。

同期には寺田農や樹木希林。
先輩には師・芥川比呂志、岸田今日子、山崎努などがいた。

当時文芸部にいた三島由紀夫の家まで、原稿を受け取りに3回位行ったことは、忘れられない出来事。



◆演劇集団 円◆

1963年 現代演劇協会 劇団雲 入団
1975年 演劇集団 円 設立参加

<VTR「やすらぎの刻〜道」で橋爪功の妻役である風吹ジュンからのコメント>
私が26歳の頃に「円」の舞台に呼んでいただいたのが初めて。
あの時橋爪さんは37歳、イケメンで髪が長かった。

私には厳しいが、他の役者さんにはすっごく優しい。
若い方へのアドバイスが羨ましかったので、今日「これでいいですか?」って聞いてみたら、「自分で考えろ」と言われてショックだった。



◆テレビ出演◆

初出演はNET。現テレビ朝日の生放送ドラマ。
21~2歳だったと記憶しています。
NHKの朝のテレビ小説「青春家族」に出てから、テレビの仕事がもらえるようになりました。

忘れられない役柄は、全部忘れてしまうので「ない」。
代表作を聞かれますが、「次回作です」と言うようにしています。



◆原風景◆

昭和20年 当時4歳で見た「大阪の焼け野原」が原風景かもしれない。

何も残っていない焼け野原で凧揚げをした子どもの頃の楽しい思い出。
「人間は一瞬で変わってしまうんだろうな」という考えが、いつも自分の周りにあるような気がしています。

どこか世の中を仮の姿だと思ってみているところが、あるような気がします。



◆役者とは◆

作品とお客さんの間に立つ翻訳者。

何かの役をやるから役者ではなく、監督や作家、客の役に立つから役者だと思う。

フィクションというドラマ・映画の作品の中で、必要最低限のことを橋渡しすることが、私が思う役者の理想。