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#686
2019年8月4日

第50回テレビ塾
「ミュージックステーション」のできるまで!
~名シーンを生む演出とデザインの企て~

【司会】寺崎貴司(テレビ朝日アナウンサー)萩野志保子(テレビ朝日アナウンサー)
【ナレーター】田中萌(テレビ朝日アナウンサー)
【VTR出演】山口一郎(サカナクション Vo&G)
【講師】演出 藤沢浩一(テレビ朝日 総合編成局第1制作)
    デザイナー 井磧伸介(テレビ朝日クリエイト デザイン部)
【イベント進行】並木万里菜(テレビ朝日アナウンサー)

<内容>
「テレビ塾」は2006年にスタートし、6月26日の開催で第50回目を迎えました。

今回の題材となるのは「ミュージックステーション」。
演出と美術デザインを担当する2人の視点から番組のできるまでを紐解きます。


(1)番組の制作体制
【本番1週間前の木曜日】
「美術打ち合わせ」から始まる。

【金曜日(本番終了後)】
2回目の「美術打ち合わせ」

【月曜日】
美術デザイナーは「作図」をして、電飾や大道具など各方面に発注。

【火・水曜日】
発注の修正や予算の調整。

【木曜日(本番の前日)】
「総合打ち合わせ」を行う。
各部署のチーフが集まり台本を見ながら曲を聴き、最終的な打ち合わせをする。
長年の相棒として「10年以上使っているラジカセ」もご紹介。

◆普段写る事のない「第1スタジオ副調整室(サブ)」の紹介
 音声チーム
 照明チーム
 電飾チーム
 CGチーム
 ビデオエンジニアチーム の配置を説明


(2)演出の仕事
台本にカメラのカット割りを入れていく台本「歌詞台本」を作ること。
これが全ての設計図となり、この台本をもとにリハーサルを行い、本番の生放送に挑む。

【サカナクション 山口一郎 テレビ塾来場者へ向けてのコメント】
「ミュージシャンはCDとライブでしか表現をすることができません。

テレビにはプロモーションという、
CDのリリ-スなどの時にしか出演することができないですが、
テレビに出るときは演出等をお任せして、
出ることしかできませんでした。

ミュージックステーションで藤沢さんと、
チーム組むことができるようになってからは、
テレビという場を借りて表現するという、
ひとつのクリエイティブを見つけることができました。

お越しになってる方の中にもテレビ業界や映像業界を、
志してる方もいると思いますが、
その時代 時代を見つめながら、
一緒に戦っていけるような、
そういった空間を僕らの時代が、
作っていけたらなと思っております。

また次のリリ-スではミュージックステーションで、
とんでもないことを考えて仕事で遊べたらなと思います。」


(3)体験コーナー
◆サカナクションの曲「忘れられないの」を題材に、カット割りの体験を行いました。
歌手役1名 
1カメ・3カメ2名 が体験。
(2カメはプロのカメラマン)

◆「歌詞台本」の説明
① ② ③カメラの番号

FFフルフィギュア
  足から頭までを構図に入れる。

WSウェストショット
  腰から頭までを構図に入れる。

BSバストョット
  胸から頭までを構図に入れる。

FF BS
  矢印はズームイン。

◆カメラ体験者の感想
「ズームはちょっと力を入れただけで、グワーッとスピードが上がってしまった。」


(4)質問コーナー
◆来場者からの番組に関する質問と講師の答え

Q1.かぶらないように演出する方法は?
<答え>
普段から映画もドラマも極端な話スーパーのチラシも見て、インプットを作っておく。
新しい曲聞いた時 これとこれを組み合わせたら、面白いんじゃないかと発想して組み立てる。

Q2.テレビならではの演出方法は?
<答え>
ライブはひとつのシーンを広い画でしか観られない。
テレビはカメラを切り返しいろんな画を観られる。
ダンスの細かい所などはテレビのほうが観られると思うが、ライブのダイナミックさに勝てなかったりすると思う。
魅せ方の差がすごくあると思うので、テレビならではの演出にも注目してほしい。

Q3.いままでで一番良かった演出は?
<答え>
1番最近やった回が1番です。
過去が面白かったねって言われると僕は失格だと思う。
「先週やったのが一番だったね」と言えるのがいい。


(5)仕事の魅力・やりがい
◆デザイナー井磧伸介
「テレビの仕事とデザイナーの仕事をやりながら、色々なスタッフと切磋琢磨しながらやれる。
常に自分を高みにもっていける、やりがいがあり楽しい仕事だと思う。」

◆演出 藤沢浩一
「この仕事は全力で遊べること。
演出っていうのは皆さんでいう「サプライズ」だと思う。
みんなで生放送やった気持ちよさは、スポーツの終わった後とかに似ている。
この気持ちよさはなにものにも変えられない。
長くやっていても毎週毎週、新鮮な思いがある。」


(6)2006年に始まった「テレビ塾」
50回目を終えて、テレビ塾を企画・担当する、
松井英光(テレビ朝日 お客様フロント部)の感想
「今までテレビ局が自分の手の内となる舞台裏は見せてこなかった。
テレビは大変だとか3K職場というイメージがあるが、実際はやりがいのある仕事。
そういう事を若い人たちにわかってもらいたい。
もう一度テレビって面白いなと実感してもらえたらと思う。」

◆今後の開催予定は、<テレビ朝日 テレビ塾>で検索!