ごはんジャパン

過去の放送

2018年3月17日放送 「愛媛県 新玉ネギ」

『‘玉ネギ島’の甘ーい新玉ネギ』
ロケ地:愛媛県松山市 津和地島

瀬戸内海に浮かぶ離島、津和地島。その温暖な気候で育てられた新玉ネギのおいしさの秘密を求めて、洋食界の巨匠、大宮勝雄シェフとつるの剛士さんが島を訪れる。

2人が訪ねたのは、新玉ネギ栽培の“匠”、福島岩雄さん(70)と妻の春美さん(69)。福島さん夫婦は2人とも島育ち。結婚して48年、朝から晩までずっと一緒に仕事をしているという。
津和地島の人口は、303人。65歳以上が7割と高齢化が進んでおり、急峻な段々畑で作業する玉ネギ農家たちもほとんどが高齢。中には80歳、90歳を超えた生産者もおり、「津和地島は大家族」と語る福島さんは皆の様子を見て回っている。

島で新玉ネギ栽培がはじまったのは、1991年の台風がきっかけ。島を直撃した台風により、特産物であったみかん畑が多くの被害を受け、その代わりに選んだのが新玉ネギだったという。

そんな津和地島の玉ネギ畑で収穫を手伝った2人が、取れたての新玉ネギを生でかじってみると…甘さとみずみずしさにビックリ! 奥さんの作る天ぷらはさらに、うまみに凝集するという。

そしていよいよ大宮シェフが腕を振るう番! 島の集会所のキッチンを借りて、この日限定の“レストラン大宮イン津和地島”を開くことに…!
レストランのない、島の人々のために洋食界の巨匠が作るのは、洋食の王道“ハヤシライス”。津和地島の新玉ネギをふんだんに使った特別バージョンに仕上げるという。
他にも、この新玉ネギをたっぷり使ったメンチカツも披露! 大宮シェフの料理を味わった島の人々の反応は…!?

また番組では、津和地島の新玉ネギがなぜ生でかじれるほど甘いのかを、科学的な視点から検証! 新玉ネギを使ってハヤシライスにコクを出す大宮シェフの驚きの技も紹介する。

今回のシェフ・レポーター

つるの剛士(俳優・歌手)
大宮勝雄(『レストラン大宮』オーナーシェフ)

地元の匠

新玉ネギの匠
福島岩雄さん
奥様
福島春美さん

今回登場した料理

大宮勝雄シェフ
レストラン大宮 in 津和地島
「新玉たっぷりハヤシライス」

大宮勝雄シェフ
レストラン大宮 in 津和地島
「新玉たっぷりメンチカツ」

『新玉ネギ』

津和地島の新玉ネギがおいしい理由

瑞々しくて、甘味があるのが、新玉ネギの特長ですが、
中でも津和地島のものは「極早生種(ごくわせしゅ)」と言って、
日本で一番早く収穫される新玉ネギの一つ。
瀬戸内海の温暖な気候のおかげで、ほかの産地より、早く収穫できます。
おいしい理由は、この畑の土に。
土の畑だと固くなりますが、ここは水はけのよい砂地で、砂もサラサラしています。
粒子が粗く、砂まじりの土は、日光をよく通します。
すると、地中の温度が上がるので新玉ネギの成長が促進されます。
また、砂地は水はけが良い半面、乾燥しやすいので、玉ネギがストレスを感じます。
その乾燥ストレスへの対応として、生体内に糖類を蓄積するため、
新玉ネギが甘くなるのです。

飴色玉ネギの風味を、簡単に生み出す技
&鍋でおこる二つのおいしさの化学反応

甘味と苦味が欲しい時に使うのが洋食に欠かせない「飴色玉ネギ」
大宮さんのお店では、3時間じっくり炒めて…ハヤシライスに使います。
今回教えてもらったのは、10分で、飴色玉ネギの風味を簡単に生み出す技。

(1)すりおろした玉ネギを搾り、搾り汁を火にかけます。
  (搾った玉ネギはお肉にまぶして使います)
(2)沸騰してから6分ほど…水分が飛んで、きつね色になってきます。
(3)一旦火を止めて、水を加え…さらに沸騰させて3分
  香ばしいきつね色のペーストが出来上がり。
  これをハヤシライスにたすと、苦味とコク、ソースの深みを出すんです。

この時、鍋の中で二つの反応が起きています。
ひとつは、搾り汁のアミノ酸と糖が結びついてメラノイジンという褐色の物質や
様々な香りが生まれる「メイラード反応」。
もうひとつ、大事なのが、糖分が茶色に変化して苦味が生まれる「カラメル化」
飴色玉ネギを長時間炒めるのと、同じ化学変化が、
10分ほどのうちに起きているんです。