ごはんジャパン

過去の放送

2017年12月23日放送 「新潟県 鮭」

『村上市 伝統の“塩引き鮭”』
ロケ地:新潟県村上市 

今回注目する食材は、新潟県村上市に伝わる“塩引き鮭”。そのおいしさの秘密を求めて、イタリアンの“匠”・片岡護シェフと、五輪3大会で4個のメダルを獲得した競泳元日本代表・松田丈志さんが現地を訪れる。

村上市は、日本有数の“鮭の街”。2人が訪ねると、家庭の軒先では鮭が干されていた。村上では年末、塩引き鮭を作るため、多くの家庭の軒先で鮭を干しているのだという。2人はそんな鮭の漁の“匠”、大滝三兄弟に会いに行く。
長男・大滝一郎さん(81歳)、次男・幸吉さん(79歳)、三男・清治さん(75歳)は70年近く漁を続けてきた大ベテラン。2人の仲間を加え5人で船に乗り、約300年も前からこの地域だけに伝わる伝統漁法“居繰り網漁”を行っているという。番組では三兄弟の息の合った漁に密着する。

2人は塩引き鮭を作るところを見せてもらおうと、三兄弟の長男、一郎さんのお宅へ。古くから村上に伝わる、その作り方とは…!?
その後、塩引き鮭の炭火焼をご馳走になった2人は、単なる塩鮭とは異なる深い味わいに感動! 塩引き鮭を、そのまま1年干した“酒びたし”はうま味がさらに凝縮するという。

そしていよいよ片岡シェフが、三兄弟に腕をふるうことに。作るのは“村上 塩引き鮭のクリームパスタ”。一郎さんのひ孫まで家族全員がかけつける中、片岡シェフはどんなパスタを作り上げるのか…!? 鮭料理にはうるさい三兄弟、しかも人生で初めてクリームパスタを食べるとのことだが、「おいしい!」の声は上がるのか…!?
番組では、塩引き鮭のおいしさと村上の気候の関係について、科学的な視点から分析する。

今回のシェフ・レポーター

松田丈志(元競泳日本代表)
片岡護(『アルポルト』オーナーシェフ)


地元の匠

居繰り網漁の匠 大滝三兄弟
長男 大滝一郎さん

居繰り網漁の匠 大滝三兄弟
次男 大滝幸吉さん

居繰り網漁の匠 大滝三兄弟
三男 大滝清治さん

地元の店

三面川鮭産漁協・鮭直売所
住所:新潟県村上市羽下ケ渕2135
営業時間:午前8時~午後5時
※鮭が獲れるシーズンのみ営業しています
(10/21~12月上旬)



今回登場した料理

「塩引き鮭の炭火焼」

「村上塩引き鮭のクリームパスタ」

『鮭』

塩引き鮭 おいしさの秘密

古くから鮭の街として栄えてきた村上市。
冷凍保存の技術がなかったころ、鮭を長く保存するため生まれたのが、
塩引き鮭です。
塩で菌の増殖をおさえ、鮭が腐るのを防いだのが始まりでした。
普通の塩鮭は「定塩法」といって、身を塩水に漬けたものがほとんど。
同じ塩漬けでも、なぜ、村上の塩引き鮭がおいしいのかと言うと…
鍵となるのが、村上の風と気温と湿度。
鮭が遡上してくる11月、村上には、北西の冷たい風が、海から吹きつけ、
鮭を乾燥させます。
平均気温は約7度、平均湿度は87%という気候が、絶妙で、塩引きしているので、
鮭は腐らず、夜も凍るほど低温にはなりません。
また、湿度も高いので、少しずつ水分が抜け、ゆっくり乾燥させることができます。
2週間から3週間干している間に、酵素がタンパク質を分解し、うま味が凝縮。
食感もよくなり、村上の塩引き鮭はおいしくなるのです。

片岡シェフ直伝 クリームパスタの味を引き立てる酒粕の活用術

イタリアンでよく使う、スモークサーモンの代わりに
村上の塩引き鮭を使ったクリームパスタ。
年配の匠たちの口に合うように仕上げたポイントは…
「日本酒」「酒粕」と「鮭の酒びたし」でした。

日本酒を煮詰めて、炒めた野菜に加えて、隠し味にします。
生クリームを加えて、少し混ぜて、酒粕をちぎって入れ、少し煮詰めます。
酒粕と生クリームを合わせると、まるで濃厚なチーズのようなコクと風味を
生み出すのです。
そして、パスタをよく絡めて、最後に細かく砕いた「鮭の酒びたし」を
ふりかけました。

※「鮭の酒びたし」は「塩引き鮭」を約1年熟成させたもの。
カラスミのような凝縮された濃厚な風味があります。
地元では日本酒をかけて食べるので「酒びたし」と呼ばれます。
ご家庭では鮭とばなどで代用可能。