ごはんジャパン

過去の放送

2016年12月3日放送

『玄界灘の魚 福岡県 玄界島』
ロケ地:福岡県福岡市西区玄界島

今回注目する食材は、玄界灘の魚、とりわけ冬が旬の高級魚クエ。イタリアンの巨匠・片山護シェフと遼河はるひさんが、そのおいしさの秘密を求めて、玄界島を訪れる。

玄界島は、島の一周が4.4キロ、人口475人の島。信号はもちろん、交番もない。

2人が訪問したのは、島いちばんの腕前といわれるクエ漁師の“匠”、森田武常(たけつね)さんと、その弟子・久保田健嗣さん。森田さんは若い漁師たちを集めた“玄界灘漁師会”のリーダー。この会は後継者不足を解消するべく発足したもので、森田さんは島で最も若い漁師である久保田さんを一人前に育てるべく、自らの船に引き取ったという。今回、番組ではこの師弟コンビのクエ漁に密着する。

森田さんが率いる玄界灘漁師会のメンバーたちと一緒に島のごちそうのクエ鍋をいただくことに。クエからよいだしが出るため、味付けは昆布だけ。2人はうま味のつまったクエ鍋の味わいにびっくりする。
番組では、匠が獲る玄界島の魚のおいしさの秘密を科学的な視点から解説する。そのキーワードは、“0度以下でも凍らず新鮮”。実は、森田さんたちが引き上げたクエは東京など遠方に送る場合、鮮度を保つべく、ある保存法を用いているという。はたして、その保存法とは…!?

そしていよいよ片岡シェフが、島の人々に絶品メニューを振る舞う番が…!
玄界島訪問にあたり、50人前を作ることができる巨大な鍋を持参してきたシェフ。島唯一の飲食店のキッチンを借り、クエをはじめとする玄界灘産の魚介類を使って作るのは、“イタリアン寄せ鍋風スープ”。これまでイタリア料理を食べたことがないという島民も多数存在する中、片岡シェフの料理は島の人々の口に合うのか…!?

今回のシェフ・レポーター

遼河はるひ(タレント)
片岡護(『アルポルト』オーナーシェフ)

地元の匠

クエ漁師の匠・森田武常さん、匠の弟子・久保田健嗣さん

地元の店

「福玄丸」
福岡県福岡市西区玄界島33-17
TEL:092-809-2020
漁師が営む島唯一の飲食店
完全予約制 コース料理のみ(2500円~)
※必ず事前に連絡してから訪れて下さい



今回登場した料理

漁師さんの料理
「クエ鍋」

片岡護シェフ
「クエのカルパッチョ」

片岡護シェフ
「サワラのイタリアンカルパッチョ」

片岡護シェフ
「玄界島のとれたて魚の寄せ鍋風スープ ズッパ・ディ・ペッシェ」

片岡護シェフ
「スープパスタ」

『玄界灘の魚』

匠の魚がおいしい理由
キーワードは「シャーベット氷」

魚は冷凍すると味が落ちると言います。


福岡伸一(生物学者、青山学院大学教授)
「凍っちゃうと、魚の身って細胞の中に氷の結晶ができちゃいますから、色々傷んだり、おいしくなくなる。
0度より低くして、そして凍らない状態をいかに保つかということが大事なんです。」


魚を凍らせると、膨張した氷が細胞を傷つけ、解凍した時に、味や食感が悪くなります。
そこで、匠の森田さんが採用したのが…
海水を凍らせて作る「シャーベット氷」で魚を保存すること。
融けかけのシャーベット氷の温度は、約マイナス1℃~マイナス1.8℃。
匠が試行錯誤の末たどりついた、魚の身が凍らず、活きの良さを保つ、絶妙な温度です。


「何事も『過ぎたるは猶及ばざるが如し』
温度が低すぎると凍結反応が進んで、細胞がダメになる。」


魚の活きの良さを保つ秘密。それは匠のシャーベット氷でした。

片岡シェフのイタリアン寄せ鍋風スープ
おいしさの秘密は「クエの頭」

クエを始め、頭の大きな魚は、一見奇妙なその顔においしさの秘密があります。


「餌の魚をあまり捉えられないから、魚をバカっと食べるためにも口が大きい必要があるんですけども入れる頭蓋骨も大きくならざるえないので、頭部が大きいとそれだけゼラチン質が含まれるし、うま味が沢山入っているので、おいしい一つの理由だと思います。」


クエの頭には、コクを出すコラーゲンやうま味成分がたっぷり含まれています。そこに、トマトのうま味成分が加わって…漁師さんも感動する「イタリアン寄せ鍋風スープ」ができあがったわけです。