ごはんジャパン

過去の放送

2016年7月23日放送 「ウニ ~岩手県洋野町~」

『天然昆布で育つ 極上ウニ』ロケ地:岩手県洋野町

今回注目する食材は、岩手県洋野町産のウニ。そのおいしさの秘密を探るため、フレンチの有名シェフ・下村浩司氏と、元シンクロナイズドスイミング日本代表選手の青木愛さんが、ウニ漁の“匠”のもとを訪ねる。

2人が訪ねたのは、岩手県洋野町の伝説の漁師・吹切信夫さん。吹切さんは22年連続で、町で最も多くウニやアワビを採り続けているベテラン漁師。2人は、吹切さんの仕事場でもある、“ウニ牧場”とよばれる場所に案内してもらう。

実は、洋野町の海は遠浅で平らな岩礁が広がる、日本でも珍しい平岩盤。40年程前、県と漁協が共同で岩礁に溝を掘って作ったのがウニ牧場で、この溝には太平洋から新鮮な海水が流れ込む上、遠浅で日当たりがよいため、ウニの餌となる昆布がよく育つのだという。ウニ牧場のウニは、この昆布をたっぷり食べて育っているのだ。
2人は、このウニ牧場でウニ漁に初挑戦!
はたしていくつ採ることができたのか…!?

番組ではこのほか、資源を守るため、ウニの赤ちゃん“稚ウニ”を育てる洋野町の“うに栽培漁業センター”の取り組みも紹介。さらには、生物学者の福岡伸一氏が、昆布を食べるウニがなぜおいしくなるのか、科学的な視点から謎を解き明かしていく。

さらに、このウニが東日本大震災で大きな被害を受けた町の復興のシンボルでもあると聞いた下村シェフは、洋野町の宝物でもあるウニを使った料理を、吹切さんファミリーにふるまうことに。
下村シェフが考え出したのは、“雲丹の滑らかプリン ビーツのコンソメうま味ジュレ”。生ウニだけでなく、ウニの塩漬けを作るときにウニから染み出す、うま味たっぷりの“かぜ水”を使って作ったレシピだ。さらには、“下村流フレンチ雲丹丼”も披露!
そこに秘められた、シェフならではの技とは…!?

その後、東京に戻った下村シェフは自身の店で、洋野町のウニを使った、新たな絶品メニューを作り上げる。

今回のシェフ・レポーター

青木 愛(元シンクロナイズドスイミング日本代表)
下村浩司(『エディション・コウジ シモムラ』オーナーシェフ)

福岡伸一(生物学者、青山学院大学教授)

地元の匠

吹切信夫さん(漁師)

地元の店

はまなす亭 産直店(たねいち産直ふれあい広場)
岩手県九戸郡洋野町種市32-95-1
TEL:0194-65-3910

今回登場した料理

はまなす亭 産直店
「焼きウニ(700円)」

はまなす亭 産直店
「はまなす定食(3300円)」
※いちご煮・生うに丼

はまなす亭 産直店
「厚焼きたまご(200円)」
※かぜ水を使った一品

下村浩司シェフ(産地)
「雲丹の滑らかプリン ビーツのコンソメうま味ジュレ」

下村浩司シェフ(都内店舗)
「雲丹とキャビアを纏ったトウモロコシのガレット」

下村浩司シェフ(都内店舗)
「仔鴨のロースト セップ茸とミニ人参」

『ウニ』

教えて福岡博士
~ウニが甘いのは なぜ?~
  • 草野満代
    (ごはんジャパンナビゲーター)

  • 福岡伸一
    (生物学者、青山学院大学教授)

「ウニのおいしさと昆布って関係があるんですか?」

「あるんです。英語のことわざで、You are what you eat. っていう言い方があるんです。
つまり、「あなたというものは、あなたが食べたものでできています」
これは全ての食材に言えることです。
例えば、イベリコ豚っていうのはドングリだけを食べさせて、ドングリの持っている脂肪酸をお肉に移行させて、おいしい「ベジョータ」という生ハムを作りますよね。

それと同じように、ウニは野生にほっておいたら結構雑食で雑味がでちゃうわけです。
でも、おいしいものだけを食べさせたウニは当然おいしくなる。
そして昆布は、日本の出汁の基本ですよね。
昆布のうま味が全部 ウニにやってくるわけです。

洋野町のウニと外国産のウニを比べてみると、洋野町のウニは甘味が強く、苦味が少ないんです。
ウニの甘味とうま味は、昆布と深く関わっていると言われています。」

「ウニにとっては(洋野町のウニ牧場は)エリートパラダイス学校!」

下村シェフの「雲丹の滑らかプリン ビーツのコンソメうま味ジュレ」
おいしさの秘密は?

ウニらしい味を生み出すのは、メチオニンなどの苦味成分。
ウニからメチオニンなどの苦味成分を抜くと、カニのような味になってしまうんです。
昆布をたっぷり食べている洋野町のウニは、甘味やうま味が強い代わりに苦味が少ないという特徴がありました。

そこで、下村シェフが組み合わせたのが「ビーツのコンソメジュレ」。
コンソメとウニのうま味の相乗効果に加え、ビーツの甘味と苦味がウニの風味に、一層のコクをもたらします。
かぜ水を使ったのも、ウニらしさを引き立てるため。
生の味わいを損ねず、ウニらしい風味を補ったグランシェフの技です。