競泳:佐藤久佳×南原清隆 Chapter 1
「世界と比べると、まだ1秒以上遅れているので。」


唯一とも言える弱点『自由形』の強化に取り組みだした水泳ニッポン
2006年1月、運命のカギを握る若きスイマーに南原清隆が直撃!
そのインタビューの全貌を明らかに!

南原清隆(以下、南):手がね、凄い綺麗な手をしてるんですよ。先にいけばいくほど、細くなっている。これでかけるんですか?

佐藤久佳(以下、佐):腕でかくのはあまり得意じゃない、キックのほうが得意なんですよ。

南:マジで!?そうなんですか?佐藤君の特徴はキャッチのときに泡が立たないということで?

佐:1回注意されたことあるんですけど、あんまり意識しないほうがいいと思って。

南:それは、どういう注意?

佐:腕の入水が下手だったというのが昔あったので、もう少し、指先から入るように、したほうがいいという注意を受けてから、あんまり力いれないで、しっかり水をつかむことを意識して。

南:しっかり水をつかむというのはどういうことですか?

佐:肘からひいてきてしまうと水がどんどん抜けていってしまうので、しっかり肘を立てて、思い切り立てるわけじゃないけど、水に乗る感じというか。抑える感じ。昔、高校時代の先生に遠くの水をつかむようにと教わったので、入水して、若干伸びてから、かきの動作をする感じです。

南:VTRで見させていただいたのですが、世界水泳とインカレ、素人目に見て、泳ぎが変わっている。

佐:日本選手権のときは高校で教わっている泳ぎしかしてなかったので、大学入って注意もしてもらってなかった。大学入ってから、こうしたほうがいいという注意をいただいて、世界水泳ではそれなりの泳ぎができた感じですね。

南:こういうところがポイントだったってありました?

佐:自分でも日本選手権のビデオと世界水泳のビデオを見たんですけど、日本選手権の時はまだ、かき終わって、腕を出すときに、腕が伸びた状態で出てしまっていたのが(世界水泳では)大きい円ではなくて、小さい円でまわすようになりました。それと、(腕を)上に上げてから、水面をこするようにしましたね。

 

南:49秒出たじゃないですか。これ、どんな感覚だったんですか?

佐:あの時は今までとは違ったレースをしようと思っていたので・・・

南:それはどういう狙いだったんですか?

佐:世界水泳まではやっぱりスピードがあまり無いほうなので、

南:ええ!?ないの?日本で一番早いでしょ今?それは世界に行ってスピードが無いって思ったの?

佐:それは、元々は中距離をやっていたので、どっちかというとスピードはなかったんですけど、後半には自信あったんですよ。

南:後半というのは自分が伸びているんですか?それとも、相手が疲れてバテてるんですか?

佐:どっちかというと僕はラップを見てもそんなに落ちている感じじゃないので、世界と比べると当たり前のようなラップなんですけど、日本の中で見れば、周りの人から0.5秒~1秒速いから伸びているほうだと思いますね。

南:49秒出したときのレース展開は?

佐:今までは、スピードが無かったので、それで逆に前半から行こうとして力んでしまう部分があったので、前半を行ったことがなかったんですけど、インカレのときは何も考えずに、最初からいってみようと。決心して。

南:前半からいってみてどうでした?

佐:75m付近くらいまではよかったんですけど、今までと違って、前半を飛ばしていったというのがあったんで、最後はバテてしまった。今まで50秒誰も切ってなかったというところではワンステップあがったかもしれないですけど、世界と比べると、まだ1秒以上遅れているので、

南:世界水泳が初の日本代表、どうでした?

佐:はじめての国際大会で、緊張している部分もあったんですけど、経験を積むことが大事だと思っていたんですけど、楽しみながらできたというか。一番、最初のレースがリレーだったので、緊張というより楽しめました。

南:世界水泳で感じた、足りなかったことはありましたか?

佐:やっぱり、僕の場合、体の線が細いので、やっぱりパワーが足りないというのもありましたし、そういう、スタートであったり、細かいところの技術が足りないと身を持って感じられましたね。

南:でも北島選手とかも日本人体型じゃないですか、話とかはしました?

佐:レースというか、世界水泳が始まる前に、全員集合のときに、北島康介さんとか中西悠子さんが外人の選手はデカいけど、やってみないとわからないっていう風にいってくれていたんですけど、いざ、同じ召集所に集まるとやっぱりちょっとビビってしまうというか。

佐藤久佳×南原清隆 インタビューChapter2に続く


佐藤久佳(日本大学1年) プロフィール
1987(昭和62)年1月12日、北海道・苫小牧市生まれ、19歳。3歳から地元のスイミングクラブで水泳を始める。東京・日大豊山高に進学し、3年時の昨年はインターハイ200個メ1位、400個メ2位。日大に進学した昨年、日本選手権100自2位、世界水泳100自予選敗退、400継予選ではアンカーを務めた。1メートル79、67キロ。

【編集:GET SPORTS ディレクター 山西雄大】


 
【バックナンバーはこちら】