競泳:今村元気インタビュー Chapter2
「努力は才能を超える」

Q 改めて、予選のレースを振り返っていただくと

今村元気(以下、今):予選はもう絶対、自分が調子良いのはわかってたし、アップした感じも50m、100mより良くて、疲れもなくて、これは絶対今日はタイム出るぞって思ってたし、だから、もう予選はあせらず、隣がちょうど、マイク・ブラウン(アメリカ・200m平泳ぎ銀メダル)だったので、彼をみて、落ち着いて、泳げば、いいかなくらいのつもり。泳ぎながら、これは絶対、準決勝には残ったなという手ごたえはあったし、あせらず、リラックスして、泳げましたね。

Q 続いて、準決勝は?

今:決勝進出が目標だったんで、準決勝からベスト狙ってハンセンについていってやろうと全力で行きました。

Q タイム的にはいかがでした?(2分11秒77)

今:あとちょっとでベストというところだったんですけど、もう少しあがりそうだなという感覚はあったし、準決勝泳いで3番だったので、明日はチャンスだという感じでさらに気が引き締まったという感じでしたね。

Q アメリカのハンセン選手が今村選手の名前を知っていて、世界からマークされる選手になってきている実感は

今:そういうのは別にないですけど、周りが、そうですね、ハンセンが僕のこと知っていてくれたのは嬉しかったですけど、僕の中では。まぁ、マークされていても、水泳は泳ぐのは自分のコースでしかないし、自分との戦いなので、マークされているからどうこうというのは別にないですし、やるだけです。

Q 水泳人生、本格的に取り組んでから9年、それがメダルを取るというのは

今:その、日本では経験が浅いのは僕だけかもしれないんですけど、世界ではそういう選手結構いたし、エドモーゼスもそういう選手なので、僕なんかより全然、水泳経験無い状態でシドニーでメダルとっているので、そうですね、特にそこの点に関しては驚いたりとかは無いですし、水泳だけに限らず、そういう経験とか、浅かったりしても努力さえすれば、夢はかなうんだぞ、と色々な人にこれからも伝えていきたいし、そうですね、これからも努力は才能を超えるって去年から言っているんですけど、そういうのを僕が証明していきたいです。

Q 実際、今はその証明の途中にいますよね?

今:最終目標は北京オリンピックなので、そこに向けて、もっともっと努力は積み重ねていきたいです。

Q 話は戻りますが、決勝のレースのポイントは

今:最初の50mを、準決勝のときは力んで入って、最初の50mが速かった分、最後ばてたんですよね、準決勝のとき、だから、まず、一番気にしてたのはそこですね。最初の50m落ち着いて。ハンセンが飛びぬけるだろうなと思っていたので、ハンセンが前に行っても慌てずに。本当、予定通りというか、もう少し、後半上げられる予定だったんですけど、レース展開としては予定通りでしたね

Q アテネ五輪ではハンセン選手、北島選手とは一緒に泳げなかったですよね、今回背中を見ながらの泳ぎでしたが、

今:今年もまた、1秒以上自己ベスト更新できたし、世界との差は毎年どんどん縮まっているので、今後が楽しみですね。

今村元気(以下、今):去年、結果が出せなくて悔しい思いしたんですけど、今年はもう絶対結果出してやるっていう気持ちで臨めたし、メダルという結果を残せて、凄く嬉しかったですし、結果残せたからかもしれないですけど、凄い楽しめたかなという風に思っています。

 

Q 前に聞いたとき、自分はまだまだ限界は見えない。とおっしゃっていましたが、それは今も変わらない?
今:全然、絶対まだまだ伸びると思ってるんで、北京までに康介と並んで泳げるようにしたいです。

Q まだまだ限界はこない?

今:そうですね、まだまだこないです。あっは(笑)。限界は。まだまだ伸びます。

Q 期待に応えたメダルという結果はどんなものですか?

今:康介が出なかった分、今村元気に期待してくれていた人はたくさんいたと思うし、僕自身プレッシャーはあったんですけど、そういうプレッシャーの中でこういう結果を出せたのがうれしかったですし、応援してくれてた人たちに感謝したいです。

Q そのプレッシャーは尋常じゃなかったのでは?

今:やっぱり緊張しましたね。俺がやらなきゃって思ってたし、康介をやっぱ、がっかりさせたくなかったし、俺が出なくても元気さんがやってくれたって康介に思わせたかったし、そういうプレッシャーのかかったレースは昔から得意だったというか、うわー、緊張してるって時こそタイムは出せてたので、まだ絶対いけるって信じて泳ぎました。

Q 今後ユニバとか、東アジア続いていきますが、来年に向けた今後の目標は?

今:ユニバと東アジアはタイムを狙える試合では無いと思っているので、そこではなんとか、勝負という点で、結果を残していきたいし、また来年以降に向けての課題も見つかったので、今年の冬はものすごく、追い込もうと思っています。

Q 伸びしろはどんなところですか?

今:本当に僕はどこも完成されていないというか、身体能力も低いですし、どこから見てもまだまだこれからの選手だと思っているので、伸び白ばかりだと思うし、加藤コーチと世界一を狙っていく、そういうトレーニングをしていきたいと思っています。

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【取材後記】
水泳を始めてわずか8年で掴んだ銅メダル。
彼はインタビューエリアでそれを誇るどころか、
「康介が出ていたら僕は4番だった」という
こちらが耳を疑うような言葉を発しました。

ビデオテープを擦り切れるほど見るなどの
研究熱心さに代表されるように、
水泳に対しての取り組み方は実に真摯なもので
その謙虚さはメダリストとなった今も変わっていません。

彼は2006年正月、日本選手権に向けて
「連覇」を公言しました。
それはあの北島康介にもう一度勝つということです。

4月20日、どんな運命が待ち受けているのか、
また特集を予定しておりますので、楽しみにしていてください。

【GET SPORTS ディレクター 山西雄大】



 
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