２００５年６月２３日。
大打者の証・２０００本安打達成後、
真っ赤に染め上げられたスタンドへ向けて、
背番号７は噛み締めるようにそう言った。

果たして、その野球人生に何があったのか。

広島東洋カープ、野村謙二郎、３８歳。

プロ１７年目にしてたどり着いた金字塔。
これまでにこの大記録を達成した３２人とは全く違う、その生き様。

公私に渡って親交の深いスポーツジャーナリスト・義田貴士が、
その心の内に迫った。

桜花爛漫の季節に行われた日本選手権
対日本人選手５年ぶりの敗戦は
大いなる衝撃を与えた

更に追い討ちをかけるかの如く

世界水泳前哨戦とも言える
ミッションビエホ国際大会で
まさかの２連敗を喫した

北京までの壮大なる４年計画の１年目
まさかの敗北によって何かが変わり始めていた

屈強な猛者たちが凌ぎを削る
モントリオール世界水泳まであと１ヶ月
再び、世界は男に微笑むのか・・・

だが、数々の栄光を手にしても尚
世界最強スイマーが満足することはなかった

２００５年　２０歳を迎えた怪物は
来るべきモントリオール世界水泳に向け
新たな進化を遂げていた！

キーワードは「Freestyle」

「もっと速くなりたい」
その飽くなき追求は
男を誰も到達したことのない異次元の領域へと誘おうとしていた！